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ジグソウ ソウ・レガシー
第3の試練チョコレートミキサー
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*内容をさらにわかりやすくした『映画チャットノベライズ(笑)』のブログもよろしくお願いします。
映画ノベライズブログ(https://inaba20151011.hatenablog.jp/entry/2019/12/04/142825)
罠から脱出し、偶然口に入った金平糖の甘さを転がしながら、次の部屋に入る。
カビ臭い布をかぶった、俺の背丈を超えた何かがある。
となりには、子供が乗る、アニメ調のクマの自動車らしきものがあった。
「わあっ!」
美雪が目を輝かせて、クマの乗り物に近づく。
動物好きか?
20歳になっても心は少女である。
「なつかしいっ! 子供の頃、パパとよく一緒に行った遊園地にあったわ!」
「お金入れたら、音楽が鳴って動くやつだな。俺も乗った記憶があるなぁ。100円ぐらいだっけ?」
「ううん! 1万円もらうの! 強くしばいたら、猿ぐつわから悲鳴を上げるの!」
美雪はキラキラとした笑顔で言う。
うん。パパはものほんじゃないな。
大人の世界の遊園地に行ったんだろう。
美雪がベタベタさわっていると、何か見つけたようだ。
MP3プレーヤーだ。
「何これ? オッサンの悲鳴が収録されてるの?」
「おぞましいホラーだな」
「えいっ!」
美雪が再生ボタンを押すと、足がガクンと揺れた。
「へっ? うわあっ!?」
持ち上げられ、布が同時にはがされる。
縄が俺の足に巻きついている。
あらわれたのは、台所で見る、ミキサーみたいな装置だった。
そこへゲームセンターにあるクレーンみたいに運ばれる。
『にゃにゃにゃにゃにゃっ! ……えっと? なんだっけ? うーん』
萌美がセリフを考えている。
ちゃんとセリフの練習してから録音してっ!
ミキサーから茶色い液体があふれ出してきた。
『クイズ! その茶色いものなんだと思う? 甘くて、おいしいものだよ』
「えっ? チョコレート?」
『そう。宇宙を創成するビッグバン』
「壮大すぎないっ!?」
リアナが萌美にツッコむ。
完璧にチョコレートだろうがっ!
逆さづりだから、鼻水が脳みそに入り込みそうだ。
『大丈夫。チョコはあとでスタッフがおいしくいただくから。ちゃおっ!』
音声が切れる。
言って! どうすれば解放されるのか、ヒント言って!!
肝心なとこ録音し忘れてるっ!
「ふぬっ!」
言左衛門が刀を抜き、ミキサーに振り下ろす。
びくともしない。
両手が痛いのか、刀を床に落としている。
「貸して。私がやるわ」
美雪が刀を拾う。
「黒船に立ち向かうと申すのか?」
「そうよ。――ギブミーチョコレート」
美雪は仲間たちに向かって、カッコよくウインクした。
それ使い古されてるほど言われてる、敗戦国の遠ぼえ!
負けが確定している。
「はっ!」
美雪はミキサーに向かって、刀を持ち飛び上がる。
つり上げられている俺に届かず、巨大ミキサーの表面に体を強打。
鼻を押さえ座り込んだあと、テヘペロをして、脚立を持ってきて、リアナと言左衛門に支えてもらって俺に到達した。
「待たせたわね!」
「ほんとにね! 十分はたってるぞっ! もうすぐチョコにはまるっ!」
その間、俺はチョコレートに頭を突っ込みつつあった。
美雪は刀を肩にのせ、
「で。どうすればいいの?」
「ええっ!? その刀はなんのために持ってきたの!?」
「なんとなく」
「エンジンみたいなやつ刺してくれ! たぶん止まる!」
「あっ、これ?」
美雪は「えいっ!」と、俺をつり下げている滑車のモーターに刀を一撃。
刀は強度に耐えられず、剣身が折れて飛んでいき、言左衛門の額に切っ先が刺さった。
リアナの悲鳴が響き渡る。
「ふう。ごめん、助けらんないわ」
「何しにきたんだよ!!」
チョコレートが髪の毛にふれ始めた。
美雪はクラッと体を揺らすと、ミキサーから地面に落ちていった。
言左衛門は死にかけてるし、リアナは気絶している。
首を曲げてエンジンを見上げると、小さな影が立っている。
アニメ調のリスのかぶりものをした幼女だ。
「やっぱりチョコもったいないから、にいには気絶させて連れてくね」
巻き下げから、巻き上げに変わった。
俺はつり上げられていく。
前歯の飛び出した、リスのかぶりものをした幼女は、鉄の棒をパンパンと手でたたきながら、俺が持ち上がるのを待っていた。
殴られて気絶させられるやつだと、俺は気づいて覚悟を決めた。
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罠から脱出し、偶然口に入った金平糖の甘さを転がしながら、次の部屋に入る。
カビ臭い布をかぶった、俺の背丈を超えた何かがある。
となりには、子供が乗る、アニメ調のクマの自動車らしきものがあった。
「わあっ!」
美雪が目を輝かせて、クマの乗り物に近づく。
動物好きか?
20歳になっても心は少女である。
「なつかしいっ! 子供の頃、パパとよく一緒に行った遊園地にあったわ!」
「お金入れたら、音楽が鳴って動くやつだな。俺も乗った記憶があるなぁ。100円ぐらいだっけ?」
「ううん! 1万円もらうの! 強くしばいたら、猿ぐつわから悲鳴を上げるの!」
美雪はキラキラとした笑顔で言う。
うん。パパはものほんじゃないな。
大人の世界の遊園地に行ったんだろう。
美雪がベタベタさわっていると、何か見つけたようだ。
MP3プレーヤーだ。
「何これ? オッサンの悲鳴が収録されてるの?」
「おぞましいホラーだな」
「えいっ!」
美雪が再生ボタンを押すと、足がガクンと揺れた。
「へっ? うわあっ!?」
持ち上げられ、布が同時にはがされる。
縄が俺の足に巻きついている。
あらわれたのは、台所で見る、ミキサーみたいな装置だった。
そこへゲームセンターにあるクレーンみたいに運ばれる。
『にゃにゃにゃにゃにゃっ! ……えっと? なんだっけ? うーん』
萌美がセリフを考えている。
ちゃんとセリフの練習してから録音してっ!
ミキサーから茶色い液体があふれ出してきた。
『クイズ! その茶色いものなんだと思う? 甘くて、おいしいものだよ』
「えっ? チョコレート?」
『そう。宇宙を創成するビッグバン』
「壮大すぎないっ!?」
リアナが萌美にツッコむ。
完璧にチョコレートだろうがっ!
逆さづりだから、鼻水が脳みそに入り込みそうだ。
『大丈夫。チョコはあとでスタッフがおいしくいただくから。ちゃおっ!』
音声が切れる。
言って! どうすれば解放されるのか、ヒント言って!!
肝心なとこ録音し忘れてるっ!
「ふぬっ!」
言左衛門が刀を抜き、ミキサーに振り下ろす。
びくともしない。
両手が痛いのか、刀を床に落としている。
「貸して。私がやるわ」
美雪が刀を拾う。
「黒船に立ち向かうと申すのか?」
「そうよ。――ギブミーチョコレート」
美雪は仲間たちに向かって、カッコよくウインクした。
それ使い古されてるほど言われてる、敗戦国の遠ぼえ!
負けが確定している。
「はっ!」
美雪はミキサーに向かって、刀を持ち飛び上がる。
つり上げられている俺に届かず、巨大ミキサーの表面に体を強打。
鼻を押さえ座り込んだあと、テヘペロをして、脚立を持ってきて、リアナと言左衛門に支えてもらって俺に到達した。
「待たせたわね!」
「ほんとにね! 十分はたってるぞっ! もうすぐチョコにはまるっ!」
その間、俺はチョコレートに頭を突っ込みつつあった。
美雪は刀を肩にのせ、
「で。どうすればいいの?」
「ええっ!? その刀はなんのために持ってきたの!?」
「なんとなく」
「エンジンみたいなやつ刺してくれ! たぶん止まる!」
「あっ、これ?」
美雪は「えいっ!」と、俺をつり下げている滑車のモーターに刀を一撃。
刀は強度に耐えられず、剣身が折れて飛んでいき、言左衛門の額に切っ先が刺さった。
リアナの悲鳴が響き渡る。
「ふう。ごめん、助けらんないわ」
「何しにきたんだよ!!」
チョコレートが髪の毛にふれ始めた。
美雪はクラッと体を揺らすと、ミキサーから地面に落ちていった。
言左衛門は死にかけてるし、リアナは気絶している。
首を曲げてエンジンを見上げると、小さな影が立っている。
アニメ調のリスのかぶりものをした幼女だ。
「やっぱりチョコもったいないから、にいには気絶させて連れてくね」
巻き下げから、巻き上げに変わった。
俺はつり上げられていく。
前歯の飛び出した、リスのかぶりものをした幼女は、鉄の棒をパンパンと手でたたきながら、俺が持ち上がるのを待っていた。
殴られて気絶させられるやつだと、俺は気づいて覚悟を決めた。
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