小林結城は奇妙な縁を持っている

木林 裕四郎

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豪宴客船編

20時58分

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 短剣を取ろうとする結城ゆうきを見て、オスタケリオンの目にはわずかに満足げな光が宿った。
 別にオスタケリオンに嗜虐性しぎゃくせいは存在しない。それどころか余分な感情もない。
 ただ与えられた役務を滞りなく、過不足なく、最良の形で進行し、結果を導くという指向性があるだけだった。
 満足感に似たものを得たことも、想定した実験に沿うように、結城が行動しようとしているという規定路線に乗ったからだ。
 北欧の山脈で発見された、獣の体毛と、ある繊維の化石。それらを解析した結果、繊維からは特殊な信号が検出され、それに体毛の化石が反応を示した。
 その信号を用いれば、体毛の主は行動を制御可能と判明し、体毛に秘められた潜在能力も非常に高かったことから、生体兵器への転用が開始された。
 しかし、様々な種族で試しても、体毛に適合できる者はほとんどいなかった。体毛に内在していた力が強すぎたため、大抵の実験体は耐え切れずに死亡してしまった。
 なかなか適合者に恵まれなかったが、唯一獣人が他よりも若干高い適合率を見せていた。
 獣人は容姿こそ獣の特徴が持っているが、現代となってはすでに野生も強靭な身体能力も失われ、ほとんど人間と変わらない種族となっていた。正体を隠して社会に溶け込んでいる者も珍しくない。
 そんな戦闘とは縁遠くなった種族ではあったが、他の実験体よりも生存時間が長く、さらには驚異的な身体能力の発揮や先祖返りまで起こす者が多くいた。
 実験体は獣人に絞られ、前提として妖怪の妖力を人間に移植する妖力者の実験から始まった。人間が妖怪になる事例が多数確認されていることから、人間は妖力との親和性が高かった。
 ある程度データが集まった時点で、再び獣人の実験体を使用するに至った。それが六人の獣人の兄弟姉妹だった。
 やはり能力の定着は難航したが、六人目でようやく成功した。その成功体は元来の性格がおとなしすぎるものの、見事に能力を定着させ、一切の状態異常が見られなかった。
 あとは繊維から検出された信号を元に、指令を送信するプログラムを完成すれば、いかなる命令も遂行する強力な獣人兵器として成立する。
 最終実験は、システムによる制御でいかなる相手でも殺傷できるか、という課題をクリアすることだった。
 そして今、『GLEIPNIR‐SYSTEMグレイプニール・システム』は完成に近づいている。与えられた役務が果たされようとしている。
 それこそが、オスタケリオンにとって至上にして唯一の歓喜だった。
 結城が短剣の柄を握った。
 元よりオスタケリオンは、結城の戦闘能力を大して評価していない。
 最終実験の真骨頂は、親しい間柄の相手との戦闘において、システムの動作状況を確認し、的確な運用数値を見極めるためだった。
 クロランに結城を対峙させ、問題なく結城が殺害されたならば、実験は完了する。
 短剣を渡したのは、戦闘というシチュエーションを整える以上の意味はなく、ほとんど余興のようなものだった。
 人質を取られている結城は、クロランとの戦いを拒むことはできない。勝利などありえない戦いに臨み、結城は命を落とす。
 オスタケリオンは、そう想定していた。が、
「くっ!」
 結城は短剣を背後に投げ捨てた。プールサイドを数回跳ねた短剣は、使い手のいないまま床に落ちて鈍く光っていた。
「……何の真似かな?」
 短剣を捨てた結城の考えが読めず、オスタケリオンは理由を問うた。
「僕を殺すっていうなら、それでいい。その代わり、媛寿えんじゅとクロランは助けてあげてほしい」
 結城は目を伏せたまま、しぼり出すような声でそう答えた。
「このとおり……」
 冷たく見下ろしてくるオスタケリオンに、結城は手をついて頭を下げた。
 媛寿を助けようとすれば、クロランの命を奪うしかない。しかし、クロランの境遇を知ってしまった結城に、クロランを手にかけることはどうしてもできない。
 媛寿の命を見捨てることも、クロランの命を見限ることも、結城にはできるはずもなく、また双方を救い出すだけの力もない。
 いまの結城にできることは、己の命と引き換えに二人の助命を懇願することだけだった。
 オスタケリオンの情にわずかでも訴えかけられれば、結城は二人のために命を差し出すつもりでいた。が、
「断る」
 オスタケリオンの口から出たのは、無情な拒否の言葉だった。
「F‐06」
 オスタケリオンが端末に指示を出すと、クロランの尾が機敏に動き、尾の先に生えていた人間の手が結城の首を捕らえた。
「あ……が……」
 首を絞められたまま、結城の身体は軽々と持ち上げられた。その結城を、オスタケリオンはより一層冷たい目で見つめる。
「君は思っていた以上に愚かだったようだ。私が出した条件は、ソレと戦うならば座敷童子ざしきわらしの命は保障する、だったはずだ。それ以外の条件も取引も不要だ。どうやら君にはそれを理解する頭もなかったらしい」
 絞め上げられる結城に、オスタケリオンはさもつまらない物を見るような目を向けている。特に期待していなかったが、それに輪をかけて期待はずれだったとでも言うように。
「まあ、いい。君がソレに殺されてくれれば、どちらにせよ実験は成功だ」
 オスタケリオンは端末を操作し、通信機能を起動すると覚獲かくえのインカムに繋いだ。
「ご苦労だった、覚獲。その座敷童子は好きにしていい」
「なっ!?」
 オスタケリオンの言葉を聞いた結城は、力なく右腕を伸ばした。
「どうし……て」
「君が死ぬなら、もう人質も不要だ。処分を命じたまでだよ」
 何ら心の動きを感じ取れないオスタケリオンの言葉に、結城は自身の落命以上に絶望感を覚えた。媛寿を捕らえている覚獲が、一体どんな行動に出るのか、想像するだけでも恐ろしくなってくる。
「ほとほと君は愚かだったな。そんな試作品のために命を投げ出そうとするとは。データさえ取れば用済みとなる物を」
「っ!」
 結城は驚愕を通り越し、聞いた言葉を信じたくないとさえ思った。オスタケリオンは、最初から媛寿もクロランも助けるつもりはなかったのだ。
 悪辣という表現では到底収まりきらないオスタケリオンという男を、結城はいよいよ人間として見ることができなくなってきた。
「ヒャッハハ! 残念だったなクソが! テメェは安心して死んどけよ! このガキはオレがたっぷり遊んでボロクソにしてやっからよぉ!」
 覚獲が飛び込み台の上から暴言を吐く。結城は媛寿とクロランの身に起こる悲惨な未来を想像し、視界が闇に塗りつぶされていった。
「F‐06、その男の心臓をえぐり出せ」
 オスタケリオンは端末にそれだけ言うときびすを返した。もう用はないとでもいうように。
(フェンリルの定着実験は、これで成功と見て良いだろう。システムも感度を上げればノイズは消失する。あとは複数体を同時操作し、連携させるようにできれば…………?)
 プール施設を後にしようと歩き出していたオスタケリオンは、十歩ほど進んだ時点で違和感に気付いた。
 クロランが結城の心臓を抉る音と、結城の断末魔が聞こえてこない。
「!?」
 オスタケリオンが振り返ると、クロランはまだ結城を絞め上げたままだった。結城の左胸を突き抜こうと、右手の爪も構えている。
 だが、そこで止まっていた。
「う……うぅ……」
 鋭い牙の並んだクロランの口から、苦しげな嗚咽おえつが漏れ聞こえている。
 狼人間となったクロランの両眼からは、止め処なく涙がしたたっていた。炎のような毛並みにも負けない、紅い涙が。
「クロ……ラン?」
「うぐ……ぎいぃ……」
 結城が名前を呼ぶと、狼人間の顔がより悲しげにゆがんだ。
 結城は痛いほどに理解した。クロランは強制される命令に、必死に抵抗を試みているのだ。まさに血の涙を流すほどに。
「……F‐06、その男を殺せ」
「あぐっ! あああ!」
 オスタケリオンはなおも端末に指示を出すが、クロランは頭を抱えて苦悶するだけで実行には移さない。
 目を細めたオスタケリオンは、端末のゲージを最大まで引き上げた。
「あああああ!」
 クロランが苦しみに耐えかねて絶叫する。
 震える手で結城の胸に爪を刺そうとするが、クロランはその手を自ら噛んでさえ止めようとした。
「……この期に及んで欠陥が浮き彫りになるとは。どうやら失敗作だったようだな。実にくだらない結果だ」
「そんな風に……言うな!」
 クロランに侮蔑の視線を浴びせるオスタケリオンに、結城が怒声でもって一喝した。
「クロランを物扱いするな! クロランに何したか知らないけど、勝手に縛りつけていいはずない! 勝手に何でも決めていいはずない! クロランはクロランなんだ! だから……だからクロランを……泣かせるな!」
 プールサイドを越えて海上に届きそうなほどに、結城の声が大きく響いた。殴打にさらされ、左腕と右脚を切り裂かれた、満身創痍であることなど一切構わない、心の底からの声だった。
「『イーグニス』」
 突如、クロランの背後で小さな爆発が起こった。
「ギャアア!」
「うあ!」
 爆炎と爆風を受けたクロランは結城の拘束を解き、結城は床に放り出された。
「いっ痛痛痛つつつ……いったい何が―――」
「なかなか男らしいところ、見せていただきましたわ、小林くん」
 そう言いながら結城の横に並んだのは、黒い三角帽とマーメイドドレス、そして帽子から伸びる灰色の髪と、泣き黒子ぼくろを持つ美女。
わたくしも、久々に熱くなってきましたわ」
 杖を正面に軽く構え、カメーリアは不敵に微笑ほほんだ。

「何だ、あの女? 加勢か?」
 飛び込み台の上から様子を見ていた覚獲は、カメーリアの登場に目をらした。
「はっ! だが今さら誰が来たって意味ねぇぜ。あのクソが死ぬことに変わりねぇ。あいつの前でテメェをグッチャグチャにってやれなかったのが残念だがな」
 覚獲は鎖で拘束された媛寿を見下ろした。媛寿はうつ伏せで息も絶え絶えながらも、覚獲を結城のかたきと言わんばかりににらみつけてくる。
「睨んだところでコイツがあるうちは、テメェはなんにもできねぇんだよ。お生憎様だったな」
 力を発揮できない媛寿を嘲笑あざわらいながら、覚獲は媛寿の背を踏みつける。
「このあと思い知らせてやんよ。オレのイチモツなんていわねぇ。エグい張形はりがたブチ込んで泣きわめかせてやっからよぉ。んでボロクソになったあとはピラニアのクソにして――――――ん?」
 意気揚々と言葉責めをしていた覚獲だったが、次の瞬間には目に映ったものが信じられず、ほうけた声を出して首をかしげた。
 踏みにじっていたはずの媛寿が足の下から消え、代わりにそこにあったのは、熊の脚さえも噛み千切ってしまえるのではないかという巨大なトラバサミだった。
「は?」
 覚獲が状況を認識するより速く、凶悪なトラバサミの合わせが閉じた。
「へ―――ぎゃあああ!」
 ようやく気付いた時には、覚獲の膝から下は無くなっていた。
「ぎゃああ! ああああ!」
 唐突な身体の喪失にパニックになる中、覚獲は右手を見て目を見開いた。
 巻きつけていたはずの鎖は、極彩色の蛇に変わってしまっていた。
「うわあ! あああ!」
 蛇が毒牙を突き立てようとしてきたので、慌てて蛇を振り払う覚獲。
 わけも分からず振り返って逃げようとした先には、牛すら飲み込んでしまいそうな大蛇アナコンダが鎌首をもたげていた。
「あ――――――」
 今度は悲鳴を上げる間もなく、覚獲は大蛇に巻きつかれてしまった。
「ひいいいぃ!」
 恐るべき力で絞め上げられ、覚獲の両腕の骨はあっさりと砕かれた。
 このまま全身の骨を砕かれて丸飲みにされるかと思われたが、
「は~い、お疲れ様でした~」
 気付けば覚獲は、狐耳を頭に生やした黒いチャイナドレスの美女の前にいた。
「お楽しみいただけましたか~? わたくしの幻術は~」
 おっとりした笑みを浮かべて、九尾の狐ことキュウは覚獲に感想を求めた。
 覚獲が周りを確認すると、大蛇などどこにもいなかった。身体に巻きついているのは、キュウの尾の一本だった。
 全てが幻だったと安心しかかったところ、覚獲は右脚の違和感を感じてもう一度周りを見て、全身の血が凍る思いをした。
 床には、覚獲の右脚が置き去りになったまま立っていた。
 そして両腕の粉砕骨折も本物だった。
「うぅ……きゅう……さま?」
「媛寿さ~ん、よ~く頑張りましたよ~。いまは少~し休んでくださいね~」
 いつの間にかキュウの腕の中にいた媛寿は、キュウの姿を確認すると、ふっと静かに眠りについた。
神封鎖レージング複製品レプリカですか。これで縛られたら媛寿さんではひとたまりもありませんでしたね)
「さ~て、あなたですが~」
 床に落ちていた鎖を一瞥いちべつすると、キュウは尾で縛り上げている覚獲に目を向けた。
 当の覚獲は、震えながら泣き出しそうになっている。
 覚獲の持つ『さとり』の妖力は、嫌でもキュウの正体を知らしめてくるのだ。九本の尾を持つ、天にも届きそうな巨大な獣の影を。
「あなたはですね~」
 尾を手前に引き、キュウは覚獲の顔を眼前に寄せた。
 覚獲は完全に戦意喪失し、もはや命乞いの言葉すら出なくなっている。
 なので、目で何とか訴えようとした。どうか命だけは助けて欲しい、と。
 だが、
「全然好みじゃありません」
 笑みを浮かべていた美女の面貌が、一瞬金色こんじきの獣のものへと変わった。
 それを見た覚獲の思考は真っ白になり、次に気が付いた時にはプールに向かって真っ逆さまに落ちていた。
「せめて断末魔くらいはわたくしを楽しませてくれるでしょうか」
 キュウは飛び込み高さ調整用の昇降装置リフトを降ろすため、ゴンドラの角にあるパネルにゆっくりと足を向けた。
 その背後からは、盛大な水音と、この世のものとは思えない叫び声が上がってきた。
「……聞くにえないものでしたね」
 特に反応する様子も見せず、キュウは 操作パネルの↓ボタンを押した。
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