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運命の舵輪編

エルヴスヘイム事件1

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 全然関係ないことで恐縮なのですけれども・・・。

 恐らく(と言うより絶対)、“彼”の男根て凄い大きいんじゃないかと思うんですよね(だってあの“父ス”の息子ですし、肉体的な強靱さをそのまま受け継いでいそう、って言うか受け継いでいるでしょう、間違いなく!!)。

 ちなみに蒼太君の男根はだから、かなり大きめに設定してあります(だって、あのパ○スと比古○十郎を足して二で割った人物の子供ですもの、そりゃ大きくて絶倫ですよね!!)。
ーーーーーーーーーーーーーー
「・・・誰!?」

「私が、見えるの・・・!?」

「・・・・・」

 その夜、蒼太はいつものように眠りに着こうとしていて、ふと何者かの気配を察して身構えるが意識を澄ませて感覚をシャープにすると、部屋の隅っこの方から僅かに青くて淡い、水色の光が漏れているのに気が付いた。

 それを更に凝視していると、その光は徐々に人の形になり始め、最終的には女の子のような形となって、蒼太の前にしずしずと近付いて来る。

「・・・君は一体、何者なんだ!?」

「・・・私はエルフ。エルフのサリナ」

「エルフ!?エルフってあの、伝説のエルフ!!」

 嫌な感じはしないな、と蒼太は素早く見て取って、自身も害意が無いことを相手にアッピールするために敢えて警戒を解いて落ち着いた声色で話し掛ける。

 すると相手も応えて来てくれた、どうやら相手はエルフ族の女の子でサリナと言う名前らしい。

「いきなりこんなところに出て来てごめんなさい。非礼はお詫びするわ、だけどお願い、話を聞いて!?」

「・・・・・」

 いきなりそんな事を言われてもな、と蒼太は思った、波長や声色から相手にもどうやらこっちをどうこうする、と言う意図は無いように思われるが、なんにせよ正体は不明であるし、しかも自分の事をエルフだという、考えてみれば実に胡散臭い状況下にあった。

「・・・なんだか知らないけれど。帰ってくれる?僕、もう寝ないと」

「ごめんなさい。でもお願い、話を聞いて!?とっても大切なお話があるの、私達の世界がいま、とっても大変な事になっていて、どうしても人間族の力が借りたいのよ!!」

「・・・・・」

 話くらいは、聞くけど。

 まだ多少の胡散臭さと言うか、正体を見せていない相手への不信感を捨てきれないまま、蒼太はそれでもそう語り掛けてみた、エルフの話に興味もあったし、それに目の前の女性(?)は本当に困っているようである、話くらいは聞いておくべきだろう。

「・・・じつは、私達の王様が、病気になっちゃって。直すには“ジガンの妙薬”と言われている、万能特効薬を手に入れなければならないの」

「“ジガンの妙薬”・・・?」

「どんな病気でも立ち所に治してしまう、と言われている万病に効く薬よ?こっちの時間軸で大体、500年くらい前までは、何処にでも錬金術師達がいて。事情を話せば彼らが直ぐに調合してくれてたのよ?その時はまだ、私達の世界とこの世界とは交流を持っていたみたいなのよ。だけど今はもう、その錬金術師達もいなくなってしまった・・・」

「そんな」

 と蒼太が思わず呟いた。

「・・・じゃあ、どうすることも出来ないじゃないか」

「いいえ、まだ方法があるの」

「・・・なにそれ」

「私達の世界の何処かに、その薬の調合に必要な薬草類と薬品類、そして調合の成分を記した処方箋があるはずなのよ。それを捜すのを手伝って欲しいの!!」

「・・・いや、いやいや。ちょっと待ってよ」

 と流石に蒼太は遮った、“そんな何処にあるのかも解らないモノなんて、捜しようが無いじゃないか”と。

「勿論、そんな無茶苦茶な事を言いに来た訳じゃないわ」

 ある場所の目星は着いているの、とサリナは続けた、私達も、ただ漠然とした話をしているわけでは無い、と言って。

「でもその為には、人間族の力がいるの。私達の世界にいる、大婆様の占いで、“人間の子供の力を借りれば事は成し得る”って出たのよ、それで・・・」

「・・・そう言えば最近、子供達が居なくなってるって聞いた事がある。寝ていると思ったらいきなり居なくなってたって」

 “サリナがやったの?”と蒼太が尋ねると、少女は(と言うよりこの段階では人型の形をした淡い水色の光でしかないが・・・)頭を振った、“だけど多分、無関係では無いと思う”と言って。

「もしかしたなら、相手方がやったのかも知れない。“奴ら”は絶えずこっちの動きを読んでいるのよ?もしかしたなら、それで・・・」

「・・・何をすれば良いのさ」

「まず、とにかく私達の世界に来て!?ここではこれ以上の話は出来ない!!」

「そんなの無理だよ、だってまだサリナのこと、信用したわけじゃ無いんだからね」

「それは解っているけど。お願い・・・」

 最後の方、もうサリナと言う少女は泣きそうな声でそう告げていた、それを聞いた蒼太は流石に考えてしまった、どうしようか、信用するべきか、どうするべきか。

 取り敢えず目の前の女の子からは、嫌な感じは全くしない。

 どんなに感覚を凝らしてみても、作為的な意識は出て来ない。

 それにもし、彼女が変な存在ならば、最初から有無を言わさず自分を連れ去ることも可能だったはずだ。

 だが彼女はそれはしていない、あくまでもこちらに選ばせる、と言う姿勢を貫いている。

 後は付いて行って見るべきか否か。

(うーん、どうしようか・・・)

 まだ幼い時分ながらも(ついでに就寝前で一日の疲れもあったが)蒼太は考えに考えた、もしこのサリナと言う少女の話が本当ならば、出来るのならば何とかしてあげたい、とは思うが確証は一切無い。

(お父さんなら、どうしただろう)

 子供の頃の蒼太はこんな時、いつも父を思うが実の子である蒼太から見た場合でも彼の父、清十郎は子供心に勇敢でとても強かった、それだけではない、とても理知的で優しい人でもあった。

 現に困っている人に手を差し伸べる場面を、蒼太も何度か見たこともあるものの、さて父ならば一体、どうしただろうか。

 事情を知ったなら、“案内しろ”と言って自ら飛び込んで行くに違いない。

 だけど。

 “子供の力が、必要だ”。

 占いでそう出てしまった以上、大人達は取り敢えず介在できない、とすれば、ここは自分が何とかするしかない。

「・・・解ったよ」

 蒼太は急いで机へと駆け寄ると鞄からセラフィムの稽古着を取り出し、着替え共々アーマーを装着した。

 そこへ更に、何があっても良いように聖なる力の宿っている“聖堂のナイフ”を装備し、“七枚の呪術札”と“薬草類”、“毒消し草類”を用いて準備万端。

 サリナに告げた。

「エルフの世界へ、行く。僕で良ければ力になるよ」

「ほ、本当に!?ありがとう!!えーと・・・」

「蒼太。僕の名前は綾壁蒼太だ!!」

「そっか。蒼太よろしく!!私はサリナ。サリアルジュナ・エスメル・メラニー。サリナって呼んで!!」

 そう言うとサリナは、何やら呪いを唱え始めて。

 その瞬間、景色が世界がグニャリと歪んだように感じられた、気を抜くと、まるで酔いそうな感覚の中で蒼太が思わず目を瞑るが、やがて“それ”が落ち着いて感覚が戻って来た時。

 目を開けたその前には、一人の少女が立っていた。

 歳の頃はメリアリアと同じくらいか、背丈も蒼太より少し大きい。

 顔は人懐っこくて長くて煌びやかな金髪に群青色の瞳、そして。

 ツンと尖った耳をしていた。

「ようこそ、人間族の戦士蒼太。我等の国“エルヴスヘイム”へー」
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