メサイアの灯火

ハイパーキャノン

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運命の舵輪編

エルヴスヘイム事件プロローグ

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 時間軸がちょっと飛びますが、このお話は蒼太がまだ子供だった頃に行った、ある冒険のお話です。

 メリアリアちゃんのお話で、少し彼女の事を掘り下げてみたので、一緒に書いてみようかと思い、筆を執りました。

 ちなみにもう一つ、補足をさせていただきますが、蒼太の父、“綾壁清十郎”のイメージの元になったキャラクターは二人います。

 一人は“るろう○剣心”の比古○十郎、もう一人はとあるゲームの登場人物です(その人物がもし日本人だったらこんな感じかな?と言う気持ちでキャラの組み立てや肉付けを行ってみました)。

 二人とも滅茶苦茶格好良かったので、リスペクトの意味を込めてと言うか、“ああ言う人達がもし、父親だったら、それはそれで面白いかも知れない”と言う思いで二人をごちゃ混ぜにして、“綾壁清十郎”と言うキャラクターを作りだし、登場させてみました(残念ながら物語冒頭で既に故人となってしまいましたが)。

 悪しからずご了承下さい。
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「ん、んちゅ、ちゅるっ。ちゅぱ、むちゅうぅぅぅっ!!クチュクチュ、レロレロレロレロ・・・ッ。ちゅ、ちゅば、ちゅるちゅるっ、じゅるじゅるっ。ぢゅるるるるるるるるっ!!じゅるるるるるるるるるるるる~っっっ❤❤❤❤❤❤❤」

「んむ、ちゅむっ。レロ、ちゅぱっ、クチュクチュ、レロレロ、レロレロッ。ちゅる、ちゅぱっ。ちゅうぅぅっ!!じゅ、じゅるるる、じゅるるるるるるるっ!!!」

 その日も蒼太とメリアリアは互いにしっかりと抱き合ったままで、深くて激しい口付けを何度も何度も交わし続ける。

 まるで離れ離れになっていた時間を埋めようとするかのように繰り返し繰り返し為されるそれは、二人の相手への愛欲と情念の凄まじさを何よりもよく体現していたのだが、そんな彼等の関係は、単なる恋人同士のそれでは決して無かった、セイレーン時代には命を賭けた戦場において苦楽を共にして来た戦友、同志でもあったのだ。

 蒼太がセイレーンに入隊したのは11歳になったばかりの頃であり、それから次の年の5月には早くも行方不明扱いにされて除隊処分となったから、属していたのは正味、1年と3ヶ月程でしか無かったがその455日と言う短い期間の中でバディを組んでいたメリアリアと共に出動したのは176回と言う、中々に多忙な組織であり確かにこれでは入隊した者に、様々な特典が付いてくるのも頷ける話であった。

 最もその内の大半は、他の仲間のグループと共同で例えば街中の見回りだったり、行方不明(迷子)になってしまったセラフィムの学生の保護や誘導だったり、はたまた単なる誤報であり、出動する必要そのものが無かったりと、あまり秘密組織らしからぬ緩くて容易い任務であったがおよそ20回ほどは外国の諜報員の捕縛や敵性魔法使いと見られる輩との戦闘等本当に危険な任務に駆り出された事があり、その中でも更に7回ほどは、まさに“生きるか死ぬか”と言う極限状態に追いやられた事もあるほどの、本当に過酷で危険な現場を二人は手に手を携え合って踏み越えてきたのである。

 度重なる死線を潜り抜けて行く中で蒼太は何度となく彼女を守り、彼女もまた蒼太を庇い続けて来た、二人で死ぬ覚悟をした事だってザラだった、文字通り生死を共にして来た仲だったのであるがしかし、そんな彼等の内でも戦闘デビューを果たしたのは、実は蒼太の方が先だった、彼は8歳になって間もない頃にエルフ達の暮らす世界“エルヴスヘイム”へと招集されて、そこで3週間程ではあったけれども冒険の旅路に付いた事があったのだ。

 そしてその際にー。

 生まれて初めての、本格的な戦闘を経験したのであるがそれはまさに恐怖と緊張の連続だった、最初の内はまだ良かった、戦闘とはいっても小競り合いのような、喧嘩の延長線上にあるモノが殆どだったし、出て来るモンスターも小振りで弱く、最後の最後までやり合うような事はまず無かった、ある程度叩けば大抵は敵側がアッサリと退散して行ってくれた為に、“命のやり取り”と言った事を意識する必要も無かったのである。

 だがしかしー。

 後半になるにつれて様相が一変していった、出て来る敵が大型化、凶暴化して行くにつれてその攻撃が徹底的に、命を奪う事を目的にしたモノになって行き、“自分がいつ、死ぬかも知れない”と言う状況に追いやられて行ったのだ。

 当然、蒼太は気が気でなかった、特に彼の場合は“生命を傷付けること”それ自体に甚だしいまでの抵抗を感じていた少年であったから最初の内はどうしたって足が竦んで身が縮こまり、どうして良いのか解らなくなってしまう場面があった。

 それでも敵は待ってはくれなかった、追い詰められた彼は結局、自身と仲間の命を守るために“敵を殺す”と言う選択をせざるを得なかった、そしてその時の、命を奪った事に対する恐怖と葛藤は深い悔恨と自責の念となって彼の心に暗い影を落として行った。

 その呪縛は暫く続いた、その思いに苛まれている最中は蒼太は、表面上はいつもと変わらぬ風を装いながらもその実は寒くて寒くて仕方が無かった、自分に自信が持てなくなり何をやっても心の底から楽しむ、と言うことが出来なくなってしまったのだ。

 そんな彼を救ったのは“神”だった、蒼太はその時は気が付かなかったけれども、それが“神”である、と気付いた時に、彼の第二の人生がー。

 もっと言ってしまえば人生の逆転劇が始まったのである。

 これはそんな蒼太の逆転劇の、切っ掛けとなった物語りであるー。
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 読者の皆様こんにちは、いつもいつも“メサイアの灯火”を読んで下さり、誠に有難う御座います。

 今回はこの場をお借りしまして、前回のお話の、補足をさせていただくべく、筆を執らせていただきました、少し長くなるとは思いますがなるべく正直に、かつ正確にお話ししたいと思いますので、どうか最後までお付き合い下さいませ。

 実はあのお話は(つまり“メリアリアside3”は)二つのある明確な意図を持って書かれています、一つ目は“巨大化を使わない”と言う方向性をエッチで示す為の物語であること。

 もう一つは蒼太とメリアリアちゃんの精神的な繋がりを書きたかった、もっと言ってしまえば彼女の蒼太への気持ちみたいなモノが書きたかったのです。

 まず巨大化から言わせていただきますと、私自身は別に変なつもりであれを書いている訳では有りません(だから“今後も二度と使わない”と言う訳では有りません。ただ皆様方にどう思われているのかが恐かったので、今回は敢えて生身のまま?と言いますか、元のサイズの蒼太君のままで勝負をさせていただきました。要するに“彼はそのままでもやろうと思えばここまで出来るんだぞ”と言う事をハッキリと表しておきたかったのです)。

 蒼太君とメリアリアちゃんには元になったキャラクターがいる、と言うお話は以前にさせていただいたかと思いますが(勿論“元”にはなっていますがこのお話はあくまで私のオリジナルであることを、この場を借りてお断りさせていただきます)、私はそんな二人の純愛物語の延長線上で(つまりは彼等から発想をもらって)この物語を書いている訳なのです。

 そこでまず、蒼太君の(つまり“彼”の)側から説明をさせていただきますと、“彼”は序盤から魔物は次々と打ち倒すわ、奴隷にされても生き残るわで、最初からかなりの強さを誇っています(身体的にも精神的にも)、それもただ強いだけではありません、ちゃんと大切な人に寄り添えるだけの優しさと温かさとを兼ね備えているわけです(以前、“運とは実力の全てであり、そしてそれは=で人格や霊格の完成度、つまりは人間力の事だと思います”と言う旨の発言をさせていただいたかと思いますが、彼はそれをちゃんと最初から持っていると思うのです、だだそれが遺憾なく発揮されるようになるのは青年時代に入ってからの事になると思われます、幼年期の彼は、強いことは強いのですがまだまだ自覚が足りないと言うか、何処となく“ボケ~ッ”としているイメージがあるので。申し訳無いのですが・・・。真面目で一生懸命であるとは思うんですけどね)。

 で、終盤には“ド○ゴンの杖”と言う、とんでもな代物まで手に入れて、それを自在に使い熟す事が出来るようになる訳なのですが、あれって要するに神様の力と願いとエネルギーとをその身に宿すことが出来る、もしくはそれらが宿っているモノなんですよね?“彼”はそれを受け入れて、顕現させる(要するに聖なるドラゴンとなれる)だけの器となる、強靱な肉体と精神を持っている事になります。

 だったら巨大化や潜在能力の開放など、出来てもおかしくは無いと思うのですが(現にドラ○ンボールでも“スーパーサ○ヤ人”とか、“カメハメ波形態の亀○人”とか出て来るじゃないですか、あれだって立派な“肉体強化”だったり“潜在能力の開放”だったりするじゃないですか。私の世界ではだから、それらを遠慮無く登場させて見たのですけれども)、皆様方はどうお考えになられますか?

 次にメリアリアちゃんから見た蒼太君と言うか、蒼太君へのメリアリアちゃんの思いなのですが、人と言うのは色々な事を考えます、だからメリアリアちゃんが蒼太君へと向けて、そして何より自分自身へと向けて、あんな感じの思いを抱いていても、おかしくは無いのではないかと思ったのです(きっと“彼女”もそうだったんだと思うんです、メリアリアちゃんにしろ、あの娘にしろ、本当に色々と考えちゃう子なので・・・)。

 だけど。

 “きっと蒼太は本当に強い人間なんだ”、“きっといっぱい苦しんで、傷付いて来たんだろうな”。

 作中でそう言う表現が出て来ましたよね?敢えて書きませんでしたけれども皆様、メリアリアちゃんの面白い所ってどこだか知っていますか?(つまり“彼女”の面白い所ってどこだか知ってらっしゃいますか?)それは“自分もまた、それだけ強くて優しい人間なんだ”と言う事に気付けない、と言うよりも気付こうともしない所なのです。

 だってそうでしょう?どうして彼氏の強さが解るのか、と言ったらそれは自分もまた強い人間だからです、だから他人の強さが解るんですよ。

 きっといっぱい苦しんで、傷付いて来たんだろうな、等と言う言葉が自然と出て来るのも同じ事です、それは人の痛みを知ることの出来る、共有する事のできる、優しい人間だからでしょう(先にも書かせていただきましたが、自分がそうだから解るんですよ、そして多分、これを読んで“確かにそうだな”とお思いになったあなたもまた、そうかも知れません)。

 自分が本当に優しくて強いから、そして凄いから。

 相手の強さや優しさが、そして凄さが解るんでよね(だって“彼”も“彼女”もそうじゃないですか、普段は完璧じゃ無いけれど、いざという時に、物凄い勇気と力とを発揮する存在なんですよね、それにそう言うときにこそ、人間の本性って出るモノなんですよ)。

 それは現に彼氏の“傷”に付いての考察で明らかになるんです、メリアリアちゃんが色々と考えたのと同じように、きっと“彼女”もまた、色々と考えたと思うんです(自分の大切な、それこそ本当に掛け替えのない無いモノを傷付けた、こんな優しくて直向きな人に、これだけの傷を負わせた、これだけの仕打ちをしたんだ、なんて酷いことをするんだろう、絶対に許せない、と言う思いです、それだけ彼氏の事を、そして“夫”の事を大切に思っているんですよ)。

 彼女達だってきっといっぱい苦労して傷付いて、だけどその優しさに触れた瞬間、本当に救われたんだと思います(だからこの物語りではその部分を書きたかったんです、皆様に伝えたかったのです)。

 こちらも皆様はどうお考えになられるでしょう。

 もう一つ、話の中でメリアリアちゃんは自分の事を、影の存在のように思っていますがー。

 これは蒼太君からすると逆なんです、彼女の方が光であり、自分の方が闇というか、影みたいに彼は感じているのです、蒼太君にとってメリアリアちゃんと言うのは神秘の塊と言いますか、不思議の塊と言いますか、何というかこう、常に謎のベールに包まれている女の子なんです(変な意味では無いです)。

 だから例えば、彼女が何気なく空を見て物思いに耽っている最中でも、それを見て“何を考えているんだろうな”と、未だにドギマギしてしまうんですね、ウブと言えばウブなのですが、彼はそう言う所があるんです、だけど。

 それは一方で、メリアリアちゃんも同じなんです、要するに彼氏の事が気になって気になって仕方が無いんですよね。

 二人は相思相愛でお互いに深い領域にまで影響を及ぼし合っている間柄なんです、だから例えばメリアリアちゃんの具合が悪くなると蒼太君にもそれが伝播してしまいます、それだけ深く同調しているのです。

 それはもう、単なる愛情を超えた純粋なる愛とでも申しましょうか、なんて言いますか、(これは“彼”と“彼女”もそうだと思うんですけれども)互いに互いを勇気付けられる存在、本当に何があっても、それを手を携えて共に乗り越えて行く事が出来る存在、なのでしょうね(本当に強い絆を持っているのでしょうね、それこそ自分が幸せだと思う世界の中に“彼”ないし“彼女”の姿が常にある、自分の幸せが相手にとっても幸せに通じていると言う、物凄く深い状態まで繋がり合っている二人、それも無意識的にです。普通の人間関係の中では中々に有り得ない事です、そう言う意味では、この二人は勿論なのですけれども本当に愛し合っている世の夫婦、恋人同士の関係もやっぱり特別と言うか奇跡みたいなモノなんだと思うんです、如何にパートナーとは言えども自分以外の人の事を、そこまで大切に思うなんて、そこまで愛しく思うなんて、そんな人と巡り会えた事はまさしく奇跡と言っていいでしょう。そんな二人の事を、そして世の中の恋人達、夫婦の関係、そのあり方を皆様方はどうお考えですか?)。

 余計なお世話でしたでしょうか、申し訳ありませんでした。
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