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20 訓練開始
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母上と食堂に向かうと扉の前に立っていたメイドが扉を開けてくれた。
食堂の中にいた別のメイドが僕と母上を座席へと案内してくれる。
父上は先に座席に着いていたが、僕と母上が席に着くのを見届けると給仕に合図を送った。
父上の合図でテーブルの上に料理が並べられる。昨日と同じように誰も喋らない食事の時間が始まった。
僕は食事中に話をして良いのかわからなくて話しかけられずにいるんだけど、父上と母上はどうなんだろう。
そう思ってチラチラと二人の様子を探ってみるけれど、二人共食事に集中しているように見える。
そうなると食事中に話をするのは貴族としてはマナー違反になるのだろう。
そう思って食事を続けていると何やら母上がチラチラと父上の様子を伺っているようなシーンを目撃した。
どうも父上に話しかける機会を伺っているようだ。
だが、結局母上は父上と会話をすることもなく父上は食事を終えてしまった。
するとそれを待っていたかのようにバトラーが父上に近付き、何やら父上に耳打ちをしている。
バトラーの報告を受け取った父上は「お先に失礼する」と告げて食堂を出ていってしまった。
僕も食事を終える頃には、体のだるさも抜けて力がみなぎってくるような感覚を覚えていた。やっぱり食事は大事って事かな。
僕が食事を終えるとバトラーが僕の元にやってきてお茶を入れてくれた。
「ジェレミー様。森に訓練に行くと伺っております。しばらく休憩をされた後でご案内させて頂いてもよろしいですか?」
食後すぐに体を動かさない方がいいよね。消化に悪そうだし、下手すると吐いちゃうかも。
僕はゆっくりとお茶を楽しんだあとで立ち上がると、バトラーの後を付いて行った。食堂の隅で食事をしていたシヴァとアーサーも僕に続く。
母上に「気を付けて行ってらっしゃい」と見送られて食堂をあとにする。
バトラーと一緒に玄関を出るとそこには馬車が用意されていた。
その馬車がまた豪華なのなんのって、昨日の馬車が酷くみすぼらしく思える位だった。
父上はこの家の裏手にあるって言って無かったっけ? 馬車で移動ってどんだけ広いんだよ。
バトラーは馬車に僕とシヴァとアーサーを乗せると「失礼いたします」と言って僕の前の座席に座った。
バトラーの合図で馬車が走り出す。窓から外を眺めていると。馬車は屋敷をぐるりと回って屋敷の裏手に回ると庭園の脇を走り抜けた。
やがて前方に森が見えてくる。
魔獣がいるって言っていたけど。森を出て屋敷を襲ったりしないのかな?
だが森が近付くにつれてその疑問は解消された。その森は大きなドーム型の結界に覆われていたのだ。それに森の入り口には門番が二人立っていた。
馬車が門番達の前に止まると、門番が扉を開けてバトラーが先に降りた。僕が馬車から降りるのに手を添えてくれる。
森全体を覆った結界に扉があって、その扉には魔石が付いていた。
「ジェレミー様。こちらの魔石に触れますと扉が開きます。出られる時も内側の魔石に触れてください。それではお気を付けて行ってらっしゃいませ」
僕が軽く魔石に触れるとスッと扉が開いた。扉の奥にはどこにでもあるような森が広がっている。
僕とシヴァが中に入るとすぐに扉が閉まった。
あれ? そう言えばアーサーは?
置いてきてしまったかと思って後ろを振り返ろうとするとスッと目の前にアーサーが現れた。
どうやら僕の体に張り付いていたようだ。
「この森も久しぶりだな。アルフレッドの奴、学院を卒業すると訓練をしなくなったからな」
アーサーが懐かしそうに辺りを飛び回る。さっきまで意識がなかったのに僕が魔力を与えた途端に元気いっぱいだ。僕が魔力を与えたからだとわかっていても無性に腹が立つ。父上がアーサーに対して辛辣な理由がなんとなくわかった。
あいつは放っておけ、とばかりにシヴァが森の中に足を踏み入れる。置いて行かれまいと僕はシヴァの後を追った。
森の木々を抜けて少し開けた場所に出ると、シヴァは振り返るとニヤリと笑った。
「ここならば森の中でも火魔法を使っても大丈夫だぞ」
いつの間にかシヴァにまでその話が伝わっている。そんなにやらかした覚えはないんだけどね。
アーサーが僕の目の前にスッと現れる。
「さあ、始めようか、ジェレミー」
僕がアーサーの柄を握りしめるとペーパーナイフから普通の剣のサイズに変わる。それを両手で握りしめると「ファイヤー!」と唱えた。
途端に剣身が炎に包まれる。
「ふむ。なかなかやるじゃないか。あそこにグリズリーがいる。それで切ってみろ!」
シヴァに言われた方向に目をやると、グリズリーがこちらに向かって突進してくる所だった。
ちょっといきなりすぎない?
ワタワタしているとアーサーが叫んだ。
「ジェレミー! グリズリーに向かって炎を飛ばすように私を振れ!」
アーサーに言われた通りに剣を振り下ろすと、切っ先からグリズリーに向かって炎が飛び出した。
炎が当たった所に黒い焼け焦げが出来るが、その一撃だけてはグリズリーを倒せなかった。
だが足止めにはなったようで、グリズリーはこちらに攻撃してくるのを躊躇っている。
「今度は風魔法だ」
アーサーに言われて炎を消して切っ先に風を纏わせ、グリズリーに向かって振り下ろす。
風の刃がグリズリーに向かって繰り出され、グリズリーを真っ二つに切り裂く。
「フン! まぁまぁだな」
アーサーは素っ気ないがシヴァは「良くやった」と褒めてくれた。
僕は褒められて伸びるタイプなんだよ。
シヴァに褒められて悦に入っていると、何処からともなく変な匂いが漂ってきた。
何だ、コレ?
食堂の中にいた別のメイドが僕と母上を座席へと案内してくれる。
父上は先に座席に着いていたが、僕と母上が席に着くのを見届けると給仕に合図を送った。
父上の合図でテーブルの上に料理が並べられる。昨日と同じように誰も喋らない食事の時間が始まった。
僕は食事中に話をして良いのかわからなくて話しかけられずにいるんだけど、父上と母上はどうなんだろう。
そう思ってチラチラと二人の様子を探ってみるけれど、二人共食事に集中しているように見える。
そうなると食事中に話をするのは貴族としてはマナー違反になるのだろう。
そう思って食事を続けていると何やら母上がチラチラと父上の様子を伺っているようなシーンを目撃した。
どうも父上に話しかける機会を伺っているようだ。
だが、結局母上は父上と会話をすることもなく父上は食事を終えてしまった。
するとそれを待っていたかのようにバトラーが父上に近付き、何やら父上に耳打ちをしている。
バトラーの報告を受け取った父上は「お先に失礼する」と告げて食堂を出ていってしまった。
僕も食事を終える頃には、体のだるさも抜けて力がみなぎってくるような感覚を覚えていた。やっぱり食事は大事って事かな。
僕が食事を終えるとバトラーが僕の元にやってきてお茶を入れてくれた。
「ジェレミー様。森に訓練に行くと伺っております。しばらく休憩をされた後でご案内させて頂いてもよろしいですか?」
食後すぐに体を動かさない方がいいよね。消化に悪そうだし、下手すると吐いちゃうかも。
僕はゆっくりとお茶を楽しんだあとで立ち上がると、バトラーの後を付いて行った。食堂の隅で食事をしていたシヴァとアーサーも僕に続く。
母上に「気を付けて行ってらっしゃい」と見送られて食堂をあとにする。
バトラーと一緒に玄関を出るとそこには馬車が用意されていた。
その馬車がまた豪華なのなんのって、昨日の馬車が酷くみすぼらしく思える位だった。
父上はこの家の裏手にあるって言って無かったっけ? 馬車で移動ってどんだけ広いんだよ。
バトラーは馬車に僕とシヴァとアーサーを乗せると「失礼いたします」と言って僕の前の座席に座った。
バトラーの合図で馬車が走り出す。窓から外を眺めていると。馬車は屋敷をぐるりと回って屋敷の裏手に回ると庭園の脇を走り抜けた。
やがて前方に森が見えてくる。
魔獣がいるって言っていたけど。森を出て屋敷を襲ったりしないのかな?
だが森が近付くにつれてその疑問は解消された。その森は大きなドーム型の結界に覆われていたのだ。それに森の入り口には門番が二人立っていた。
馬車が門番達の前に止まると、門番が扉を開けてバトラーが先に降りた。僕が馬車から降りるのに手を添えてくれる。
森全体を覆った結界に扉があって、その扉には魔石が付いていた。
「ジェレミー様。こちらの魔石に触れますと扉が開きます。出られる時も内側の魔石に触れてください。それではお気を付けて行ってらっしゃいませ」
僕が軽く魔石に触れるとスッと扉が開いた。扉の奥にはどこにでもあるような森が広がっている。
僕とシヴァが中に入るとすぐに扉が閉まった。
あれ? そう言えばアーサーは?
置いてきてしまったかと思って後ろを振り返ろうとするとスッと目の前にアーサーが現れた。
どうやら僕の体に張り付いていたようだ。
「この森も久しぶりだな。アルフレッドの奴、学院を卒業すると訓練をしなくなったからな」
アーサーが懐かしそうに辺りを飛び回る。さっきまで意識がなかったのに僕が魔力を与えた途端に元気いっぱいだ。僕が魔力を与えたからだとわかっていても無性に腹が立つ。父上がアーサーに対して辛辣な理由がなんとなくわかった。
あいつは放っておけ、とばかりにシヴァが森の中に足を踏み入れる。置いて行かれまいと僕はシヴァの後を追った。
森の木々を抜けて少し開けた場所に出ると、シヴァは振り返るとニヤリと笑った。
「ここならば森の中でも火魔法を使っても大丈夫だぞ」
いつの間にかシヴァにまでその話が伝わっている。そんなにやらかした覚えはないんだけどね。
アーサーが僕の目の前にスッと現れる。
「さあ、始めようか、ジェレミー」
僕がアーサーの柄を握りしめるとペーパーナイフから普通の剣のサイズに変わる。それを両手で握りしめると「ファイヤー!」と唱えた。
途端に剣身が炎に包まれる。
「ふむ。なかなかやるじゃないか。あそこにグリズリーがいる。それで切ってみろ!」
シヴァに言われた方向に目をやると、グリズリーがこちらに向かって突進してくる所だった。
ちょっといきなりすぎない?
ワタワタしているとアーサーが叫んだ。
「ジェレミー! グリズリーに向かって炎を飛ばすように私を振れ!」
アーサーに言われた通りに剣を振り下ろすと、切っ先からグリズリーに向かって炎が飛び出した。
炎が当たった所に黒い焼け焦げが出来るが、その一撃だけてはグリズリーを倒せなかった。
だが足止めにはなったようで、グリズリーはこちらに攻撃してくるのを躊躇っている。
「今度は風魔法だ」
アーサーに言われて炎を消して切っ先に風を纏わせ、グリズリーに向かって振り下ろす。
風の刃がグリズリーに向かって繰り出され、グリズリーを真っ二つに切り裂く。
「フン! まぁまぁだな」
アーサーは素っ気ないがシヴァは「良くやった」と褒めてくれた。
僕は褒められて伸びるタイプなんだよ。
シヴァに褒められて悦に入っていると、何処からともなく変な匂いが漂ってきた。
何だ、コレ?
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