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19 魔力枯渇
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僕の訓練について話をしている所に着替えを終えた母上が戻って来た。
「お待たせいたしました。楽しそうだけれど何のお話をしていらしたのかしら?」
着替えを終えた母上は薄く化粧を施されて輝くばかりの美貌を放っている。
母上は父上の隣の一人がけのソファーに腰を降ろすとニコリと微笑んだ。
「ジェレミーの魔法の訓練について話をしていた所だ。魔力に目覚めたばかりで魔法の使い方もあまりわかっていないようだ」
父上の説明に母上は顔を曇らせた。自分の行動のせいで僕が孤児院に入れられてしまった事を思い出したのだろう。
「本来ならば既に魔法を使いこなせている年齢ですのに、わたくしのせいでごめんなさいね、ジェレミー」
父上は優しく母上の手を取るとその手の甲にそっと口づけをした。
「先程も言ったが心配はいらない。神獣様がついておられるからな」
やれやれ。
子供が見てるっていうのに良くやるよ。いちゃつくのは二人きりの時にしてほしいもんだよね。
だけど、アーサーが言うには父上は母上に向き合わなかったと言ってたけど、僕が見る限り母上に愛情たっぷりなように見えるんだけどな。この10年で態度を改めたのかな?
母上もそんな父上に少し戸惑いつつもうっとりとしている感じだし、まぁ両親の仲が良いのは良しとしよう。
そのうち弟か妹が…。
と、考えた所で思い出した。
公爵家には子供は一人しか生まれないとアーサーが言っていた。
いくらアーサーかグィネヴィアを受け継ぐ為とはいえそんな事が可能なんだろうか。
まぁ、ここは異世界だからな。
前世の常識とは違った常識があるんだろう。
「魔法の訓練をするのに何処か魔獣が出る森はあるか? 手っ取り早く実戦を積んだ方がいいだろう」
「それならばこの屋敷の裏に我が家が管理している森がある。そこそこ強い魔獣がいるが神獣様が一緒ならば問題無かろう」
僕がぼんやりとしている間に父上とシヴァの間でどんどん話が進んでいた。
なんか凄いスパルタ教育みたいなんだけど、死んだりしないよね。
そんな事を考えていると、隣の部屋との境のドアがガタガタいいだした。
「…もう、動けるようになったのか?」
ポツリと父上が呟くと同時にドアがパンッと開いてアーサーがフラフラとしながらこちらに飛んできた。
あんなにフラフラしているって事は完全には回復していないってことだよね。
いつもならスッと飛んでくる距離をかなりの時間をかけて僕の側にやってきた。
柄の魔石を見るとまだ透明に近いくらいの色の状態だ。
「私も一緒に行くぞ。私の教育の一貫でもあるからな」
声も掠れ気味だし、相当無理をしてないか?
「アーサー、大丈夫なの? 辛いなら無理しない方が…」
言い終わる前にアーサーがいつものように僕を叩こうとするが、一回だけ僕を叩くとすぐにテーブルの上に落ちた。
ほら、言わんこっちゃない。
「ジェレミー。お前の手を私の魔石に重ねろ」
どうやら僕から魔力を吸い取るつもりらしい。
普段なら拒否をしてもいいんだけれど、母上を目覚めさせてくれたからな。感謝の意味も込めて少しは魔力を提供してやるか。
そう思ってアーサーの柄の魔石部分に触れると、ズワワワワッと物凄い勢いで魔力が流れ出した。
これってもしかしてヤバいパターン?
と、思う間もなく頭がクラっとし始めた。
手を離さなきゃヤバいとわかっていても体が動かない。
「アーサー! 止めろ!」
「やり過ぎだ! この馬鹿!」
父上とシヴァの焦った声を遠くで聞き、シヴァの足で手を払い除けられるのを感じながら僕は意識を手放した。
僕は意識が沈んだまま誰かに抱きしめられるような感覚を覚えた。柔らかく抱きしめられて、それにとってもいい匂いがする。
母上に抱きしめられるってこんな感じかな。
「…母上?」
ポツリと呟くと優しく頭を撫でられた。
その手がとても気持ちよくて思わず微笑むといきなりパシッと叩かれた。
「もう、目が冷めてるんだろう、起きろ!」
アーサーの声が耳元で響く。
せっかくいい気持ちに浸っていたのに、なんて事をするんだ。
目を開けるとそこにはアーサーが浮いていた。どうやらそのままソファーに寝かされていたようだ。横には心配そうな顔をした母上が僕の顔を覗いていた。
「ジェレミー、大丈夫なの?」
どうやらアーサーに魔力をあげすぎて魔力枯渇を起こしたようだ。
体を起こそうとすると少しふらついたが、母上が助け起こしてくれて何とかソファーに座る事が出来た。
「ジェレミー、大丈夫か? 神獣様が回復させてくださったが、訓練には行かれそうか?」
父上に聞かれて体調を確認するが、特に問題はないようだ。
「はい、大丈夫です」
「そうか。これから昼食だ。しっかり食べて体調を整えてから行きなさい」
父上は満足そうに頷くと立ち上がりなからアーサーをパシリと叩いた。
アーサーは父上に向かって何やら喚いていたが父上はそれを無視してさっさと執務室を後にした。
「ジェレミー、行きましょうか」
僕も母上と一緒に食堂へと向かった。
「お待たせいたしました。楽しそうだけれど何のお話をしていらしたのかしら?」
着替えを終えた母上は薄く化粧を施されて輝くばかりの美貌を放っている。
母上は父上の隣の一人がけのソファーに腰を降ろすとニコリと微笑んだ。
「ジェレミーの魔法の訓練について話をしていた所だ。魔力に目覚めたばかりで魔法の使い方もあまりわかっていないようだ」
父上の説明に母上は顔を曇らせた。自分の行動のせいで僕が孤児院に入れられてしまった事を思い出したのだろう。
「本来ならば既に魔法を使いこなせている年齢ですのに、わたくしのせいでごめんなさいね、ジェレミー」
父上は優しく母上の手を取るとその手の甲にそっと口づけをした。
「先程も言ったが心配はいらない。神獣様がついておられるからな」
やれやれ。
子供が見てるっていうのに良くやるよ。いちゃつくのは二人きりの時にしてほしいもんだよね。
だけど、アーサーが言うには父上は母上に向き合わなかったと言ってたけど、僕が見る限り母上に愛情たっぷりなように見えるんだけどな。この10年で態度を改めたのかな?
母上もそんな父上に少し戸惑いつつもうっとりとしている感じだし、まぁ両親の仲が良いのは良しとしよう。
そのうち弟か妹が…。
と、考えた所で思い出した。
公爵家には子供は一人しか生まれないとアーサーが言っていた。
いくらアーサーかグィネヴィアを受け継ぐ為とはいえそんな事が可能なんだろうか。
まぁ、ここは異世界だからな。
前世の常識とは違った常識があるんだろう。
「魔法の訓練をするのに何処か魔獣が出る森はあるか? 手っ取り早く実戦を積んだ方がいいだろう」
「それならばこの屋敷の裏に我が家が管理している森がある。そこそこ強い魔獣がいるが神獣様が一緒ならば問題無かろう」
僕がぼんやりとしている間に父上とシヴァの間でどんどん話が進んでいた。
なんか凄いスパルタ教育みたいなんだけど、死んだりしないよね。
そんな事を考えていると、隣の部屋との境のドアがガタガタいいだした。
「…もう、動けるようになったのか?」
ポツリと父上が呟くと同時にドアがパンッと開いてアーサーがフラフラとしながらこちらに飛んできた。
あんなにフラフラしているって事は完全には回復していないってことだよね。
いつもならスッと飛んでくる距離をかなりの時間をかけて僕の側にやってきた。
柄の魔石を見るとまだ透明に近いくらいの色の状態だ。
「私も一緒に行くぞ。私の教育の一貫でもあるからな」
声も掠れ気味だし、相当無理をしてないか?
「アーサー、大丈夫なの? 辛いなら無理しない方が…」
言い終わる前にアーサーがいつものように僕を叩こうとするが、一回だけ僕を叩くとすぐにテーブルの上に落ちた。
ほら、言わんこっちゃない。
「ジェレミー。お前の手を私の魔石に重ねろ」
どうやら僕から魔力を吸い取るつもりらしい。
普段なら拒否をしてもいいんだけれど、母上を目覚めさせてくれたからな。感謝の意味も込めて少しは魔力を提供してやるか。
そう思ってアーサーの柄の魔石部分に触れると、ズワワワワッと物凄い勢いで魔力が流れ出した。
これってもしかしてヤバいパターン?
と、思う間もなく頭がクラっとし始めた。
手を離さなきゃヤバいとわかっていても体が動かない。
「アーサー! 止めろ!」
「やり過ぎだ! この馬鹿!」
父上とシヴァの焦った声を遠くで聞き、シヴァの足で手を払い除けられるのを感じながら僕は意識を手放した。
僕は意識が沈んだまま誰かに抱きしめられるような感覚を覚えた。柔らかく抱きしめられて、それにとってもいい匂いがする。
母上に抱きしめられるってこんな感じかな。
「…母上?」
ポツリと呟くと優しく頭を撫でられた。
その手がとても気持ちよくて思わず微笑むといきなりパシッと叩かれた。
「もう、目が冷めてるんだろう、起きろ!」
アーサーの声が耳元で響く。
せっかくいい気持ちに浸っていたのに、なんて事をするんだ。
目を開けるとそこにはアーサーが浮いていた。どうやらそのままソファーに寝かされていたようだ。横には心配そうな顔をした母上が僕の顔を覗いていた。
「ジェレミー、大丈夫なの?」
どうやらアーサーに魔力をあげすぎて魔力枯渇を起こしたようだ。
体を起こそうとすると少しふらついたが、母上が助け起こしてくれて何とかソファーに座る事が出来た。
「ジェレミー、大丈夫か? 神獣様が回復させてくださったが、訓練には行かれそうか?」
父上に聞かれて体調を確認するが、特に問題はないようだ。
「はい、大丈夫です」
「そうか。これから昼食だ。しっかり食べて体調を整えてから行きなさい」
父上は満足そうに頷くと立ち上がりなからアーサーをパシリと叩いた。
アーサーは父上に向かって何やら喚いていたが父上はそれを無視してさっさと執務室を後にした。
「ジェレミー、行きましょうか」
僕も母上と一緒に食堂へと向かった。
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