【R-18】気がついたら未亡人伯爵夫人になってて後宮で愛された

みるく

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また一波乱

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「・・・今・・・なんと言った・・・?」
「身籠ったのです。 王様のお子をここに・・・」


─────


兵士からリズが倒れたと聞き、貴族が何か疑いをかけられた際に入れられる尋問部屋にいるリズの元へ向かうと、既に医師がベッドに横になるリズの診察をしていた。

「医師よ。リズは・・・」
僕がそう尋ねると医師は立ち上がりこちらを向いて頭を下げる。
「王様、おめでとうございます。ご懐妊です。」

「なんだと?」
「まだ初期ですので安静が必要です。」
医師の言葉が全く入って来ず何を言っているのかさっぱりわからない。

「違う・・・そうではない・・・今・・・なんと言った・・・?」
僕から出た声は何とも間が抜けていて情けなさすら感じた。
それをわかっているのかいないのか、嬉しそうにリズが笑いこう言った。
「身籠ったのです。 王様のお子をここに・・・」
そう言って嬉しそうにお腹を撫でるリズに目の前が暗くなった気がした。

「このようにまた、この身に王様の子を宿せる日が来るなんて私は本当に幸せです。」
ガツンと後頭部を殴られたような気持ちになり、立っているのがやっとだ。

「そう・・・か・・・」
「王様、この度の王妃様の事。 母である私の責任ですが、本当に何も知らなかったのです・・・どうかお腹の子の為にも一度ひとたびだけ、お見逃し下さいませ。」
聞いてもいないのに話し続けるリズに苛立ちグッと手を握る。

そして、何も言わない僕にリズがまた口を開いた。
「そういえば、王妃様のお子様は無事にお産まれになりましたか?」
その言葉にカッとなった
「リズ!!!」
「は、はいっ」
「そなたの処分等はまだ決まっておらん。」 
「王様っ」
「・・・そなたは何もしていないと言ったが、例えそなたがあのような事をしろとリズリンに言っていなかったとしても、あんな事にならぬように教える事も『していなかった』のだ。」
「そ・・・れは・・・」
「それは紛れもなく母として疎かにしてはいけない部分であったはず。教育係を付けてもあのように抜け出す姫に母として何も『していなかった』罪。今後処分を考える故、それまでここで過ごすのだ!!」
僕がそう言うと、リズは青ざめ「王様!!王様っ!!」と大声で僕を呼んだ。


その声を無視して僕は部屋を後にした。




─ダンッ

部屋から出て暫く歩いた後、近くの壁をたたく
「なんて星周りなんだ・・・クソッ!!!」
サーシャの子が亡くなって翌日の昼過ぎにリズの懐妊がわかるなんて・・・
「クソッ!クソッ!クソッ!!」
「王様・・・どうか御心を御鎮め下さい。」
後ろから付いてきていた側近が声を掛けてくる。
「お疲れでしょう・・・一先ずお休みになって下さい。」
「このような状況の中どう休めというんだ? ただでさえ我が子を失った悲しみの中にいる王妃に・・・側室の懐妊を伝えねばならんのだぞ?」

サーシャは突き落とされ産み月よりも早く出産となり、やっと腕に抱いた我が子は死んでいたと言うのに。
突き落とした子の母はまた懐妊。
「なんと残酷な事だ・・・」
ギリギリと奥歯を噛み締め怒りを鎮めようと努力するが、サーシャばかりこんな事ばかり・・・



「王様が直接お伝えにならずとも、別の者からお伝え致しましょうか?」
「いや・・・私から言おう・・・」
僕はそのままの足でサーシャの元に向かった。






「リズが・・・懐妊・・・」
「・・・。」
部屋に行くと少し寝たのか昨日よりか顔色はマシになっているが、目は赤く腫れやつれていた。
サーシャが座っているベッドの端に座りサーシャの手を握って額にキスを落とし、リズの懐妊を伝えた。

「サーシャ・・・こんな時に君に伝えるのは心苦しかったんだが・・・」
「いいえ、これも王妃として知らなければならない役目よ。 リズに祝いの言葉と何か栄養のあるものを贈らなければね。」
力なく笑うサーシャに心がギュッと締め付けられて思わず抱きしめた。

「クラウス?」
「サーシャ・・・ごめん・・・」
「もう、貴方が謝ることじゃないわよ。」
サーシャは泣かないで、と言って僕の背中に手をまわしてぽんぽんと優しく叩く
「それに、この王室にまた王子が増えるかも知れないのでしょう?」
「だが、君を階段に突き落とす事を指示した疑いもある。 出来ることならもう追い出したいくらいだ。」
娘であるリズリンですら、今顔を見れば嫌悪感でどうにかなりそうだ。

「そんな事を言ってはダメよ。 わたくしも・・・今はリズもリズリンも見るのは辛いけれど、王室にはやはり王子が必要だし、許す訳ではなくて処遇は子どもが産まれるまで伸ばしても良いと思うわ。」
「サーシャ、君はどこまで優しいんだ?1番辛いのは君のはずだ。」
「優しくなんてないわ。今だってどうにかなってしまいそうだけど、クラウスが寄り添ってくれているからなんとか気持ちを保っていられるのよ。」
そう言うサーシャをまた抱きしめる
「サーシャ、僕はまだ許せそうにない。処遇については少し考えさせてくれ」
「もちろんよ。最後は王様である貴方に任せるわ。」

「ありがとうサーシャ・・・じゃあ一先ず、旅立ってしまった僕たちの王女の名前を一緒に考えて大切に埋葬してあげよう。」
「っ・・・えぇ!そうね。」
サーシャの瞳から涙が溢れた。
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