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Side - 15 - 26 - せいじょさまはおかねがだいすき -

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Side - 15 - 26 - せいじょさまはおかねがだいすき -

「どうだ・・・何とかなりそうか」

タダーノさんが聞いています、私は男の人を前にして震えながらですが・・・我慢して・・・腕を怪我した男の人の診察をしています・・・。

私は怖くて喋れないから筆談、男の人はその紙を読んで私に答えます、人見知りで喋るのが苦手っていう設定?なのです!。

「・・・少し神経の状態を見るの・・・、痛かったら声を出して、・・・ただ右手は動かさないで・・・我慢して」

「・・・!、いててて!、・・・ぐぁっ!、・・・今の痛かった!」

「うん、大体分かったの・・・神経は完全に傷んではないと思う・・・たぶん大丈夫、筋肉・・・筋が切れてるかも・・・」

「手の感覚が無くて・・・剣も握る力が出ない」

「・・・街のお医者さんは・・・何て言ってるのです?」

「残念だが治らない、もう剣は握れないだろう・・・って」

「・・・時間がかかってもよければ、・・・剣を振ることくらいはできるかもしれないの、まず・・・僕のお家に知り合いのお医者さんを呼ぶの、・・・それで診てもらって、手術・・・治療する、・・・それから僕の指示に従って薬を使いながら指や腕の運動を少しづつやって治していくの」

「あぁ、剣がまた握れる可能性があるならお願いしたい、俺はこれ以外金を稼ぐ方法を知らないからなぁ」

「最低でも・・・1年以上はかかると思うの、・・・大丈夫?」

「大丈夫だ、ただ、・・・お金の事なんだが」

「いいの、娘さんが産まれて大変でしょ、タダーノさんにはお世話になってるから、・・・タダーノさんのお友達からそんなにお金取れない・・・僕が休憩時間の時の暇つぶしにやるって事で、お金は薬代だけ・・・どうしても払いたいなら・・・あなたが払えるだけでいい、・・・もちろん気持ちだけでもいいよ」

「すまない、今は礼を言うことくらいしかできないが・・・必ず恩は返す」

「僕への恩返しは・・・腕を治すこと、それと、これから開業する薬屋の宣伝を知り合いにお願い・・・」

かっこいいことを言ってますが、内心は本当に怖いのです!、身体の大きな男の人、躍動する筋肉・・・あぅ、怖すぎて漏れそうなのです、でも困ってるから、・・・仲良くなったタダーノさんのお願いだから・・・。

「お前は腕が治るまで弟の宿屋で受付や簡単な雑用を頼みたい、左手でも文字は書けるだろ、衛兵の時みたいな高給は出せないが・・・夫婦が食っていくには困らないくらいは出せる」

「ありがとう、タダーノ、それとリゼルくん、感謝するよ」


あのクソガキどもに腕を斬られて怪我をした衛兵さん、クック・グリンベーレさん、メールセデェェス共和国出身のお父様がこの国に移住してきてコルトの街で衛兵さんになった人です、あの3人も小さい時からよく知っていて外面に騙されたのか留置場にいる時は完全に油断していたと言っていました。

そしてここはトシのお家、宿屋トゥーリックの一室、この宿屋でクックさんが雇ってもらう相談に来ていた所、私が医療免許を持っている事を知ったタダーノさんに相談されて今ここでクックさんの腕を診ているのです。

向こうではリックさんとシャルロットさんがまた頬を染めて見つめ合っています、お仕事しようよ・・・。



「・・・博士に処置してもらって・・・お金は・・・私が前払いで出せばいいかな、お願いして安くしてもらうのです!、・・・いっぱい持っててもお金は大事・・・、私は1000年も2000年も生きるんだから・・・いくらあってもいいの・・・治療は1日おきに宿屋の休憩部屋で・・・っと、・・・お店になる予定の・・・納屋のお掃除、早めにやっちゃおうかな・・・、ってシャルロットさん?」

「・・・え、あ、・・・はいなんでしょうリゼルくん!」

「シャルロットさん、・・・昨日からポンコツになってるよ、・・・僕の前ではいいけど、お父様に会う時はちゃんとしてないと・・・怒られるよ、・・・はぁ・・・恋ってすごいな・・・」

「え、何言ってるんっすか、私はポンコツになんてなってないっすよ!、ほら今日だって朝から腹筋1000回しちゃいましたし!、リゼルくんも前世では24歳の女性だったんでしょ、当然恋くらいしたっすよね!」

・・・シャルロットさんが痛いところを突いてきました、・・・言えないの・・・死ぬまで彼氏いなかったなんて・・・

「・・・そうだね・・・恋かぁ・・・」

小説ではいろんなパターンの恋を読んできたけど自分では何かよく分からないのです、婚約破棄されて、・・・傷心して、手を差し伸べられた美形に「トクン・・・」、学園で、婚約者に冷たくされて、平民のワイルドな男の子に出会って「ドキッ・・・」、何だかなぁ、そんなの読んで、「なに頭の中ピンクのお花畑になってんだよ!、リア充爆発しやがれ!」っていつも思ってた私に・・・恋かぁ・・・無いだろうなぁ・・・。





「・・・で、痛みはあるから神経は大丈夫そうなの、尺側の腱も大丈夫だと思う、親指を動かす腱が切れてるのかも?」

「嬢ちゃんの居た前世ではこんな場合どうやってた?」

「手術なの、切れた腱をくっつける、向こうのネットで調べて来たから多分これでいけると思う」




「やり方は分かった、この、「タブレット?」ってやつは便利だな・・・軽い縫合や骨が砕けて折れたやつは腕の肉を開いて骨を修復したことあるが、腱の縫合はやった事ねぇぞ、だが医者として興味はある、できたとしたらこの世界で初だ、医学が進むのは俺としても歓迎だな、論文出してまた金が入るだろうからタダでやってやる、嬢ちゃんも腕の手術観るのは初めてだろ、やり方教えてやるから補助しろ、但し確実に治る保証はせんぞ」

「いいの、腱さえくっ付いたらリハビリでなんとかいけると思うの」

「なら行くか、・・・向こうの美味い物食わしてくれるんだろ、・・・っとそうだ、嬢ちゃんがさっきから言ってるリハビリも論文にして出すといい、また陛下から何かもらえるかもしれんぞ」

「・・・もうご褒美はいらないの・・・」





結果として手術はうまく行ったのです!、私の作った・・・じぃじに教えてもらった麻酔をして半日かかりました、消毒は今や博士の使いっ走りになっている知り合いの聖女様、今日もお休みのところを押しかけてコルトの街にまで連れて来られてます、泣きながら博士の横で浄化の重ね掛けしてたけど・・・博士とはどういう知り合いなんでしょうか?、・・・クックさんはというと今は腕を固定して絶対に動かさないように言ってあるのです、傷が治ったら・・・ゆっくり時間をかけてリハビリかな、この世界で初の腱の修復手術、大成功なのです、これで怪我をした人が少しでも助かるといいな・・・。





「お疲れっす!、・・・私は何もしてないっすけどね!」

「おう!、今日は俺の奢りだ、それに新鮮な魚たくさん仕入れたから味には自信がある、遠慮なく食ってくれ!」

「・・・博士も、今日はありがとう、ここ、いつも僕が話してるレストラン・タダーノ、この人がマスターのタダーノさん、このお店は魚介料理がすごく美味しいの」

「確かに美味そうだ!、こりゃ楽しみだな」

「・・・私も、ご一緒して・・・いいの?」

「・・・インデクスさん、・・・あなたも・・・浄化頑張ってやってくれたから・・・お礼・・・いっぱい食べて」

聖女様のお名前はトアール・インデクスさん、私と同じくらいの身長だから13歳くらい?って思ってましたが、魔力量が多い17歳でした、多いって言っても平均よりはって感じらしいので普通の人の1.5倍から長くて2倍くらいの寿命があるだろうって博士は言ってます、外見はお父さんが見ていたアニメに出てくるインデックスちゃんによく似てますが性格はすごく落ち着いていて大人しい人っていう印象です、っていうかこの人、いつも博士に引っ張って来られて泣いてますが大丈夫なのでしょうか・・・。

「インデクスちゃん!、ここは夕日も綺麗っすからね!、眺めも最高だし、テラス席にして正解だったっす!」

「・・・そう・・・ですね・・・とても綺麗?」

あれ、なんだか聖女様、とても悲しそうな顔をしていますね、夕日に何か嫌な思い出でもあるのでしょうか?。

「ほら、魚のムニエルに貝のパスタ、ミートパスタもあるぞ、それに魚介リゾットだろ、焼き魚のソース掛けたやつ、鳥も良いのが入ったからソース付けて焼いたのと塩で焼いたの作ったぞ、シャルちゃんと博士?は酒大丈夫か、ワインの良いのがある、魚料理によく合うぞ」

「わぁ!、美味しそうっす!」

「美味そうだな!、酒は大好きだぞ」

では!、食べましょうか!。





「博士!、とインデクスさん、・・・今日はありがとう、私の寝室片付いてなくてごめんね、ここに小さいけど魔法陣置いてあるんだぁ・・・これから転移魔法陣で王都に送るね」

「あぁ頼む、俺は手術で疲れたから魔力は温存したい、トアール嬢ちゃんも俺の研究室でいい、あとで教会に送って行く」

「・・・よろしく・・・です」

「・・・じゃぁ送るからまず博士ね、そこの丸い輪の中に入って・・・ほい!、転移!」

「次は、トアールさん、・・・同じようにそこの丸い輪の中に入って・・・もらえますか」

「あの・・・」

「・・・はい?」

「この事は、・・・ドックさん以外には、内緒にして欲しいのですが・・・」

「・・・うん」

「私は目が全く見えません、だから・・・輪がどこにあるか・・・わからない・・・」

「・・・え?、・・・でも・・・そんな感じは全然・・・」

「気付かないですよね、・・・ドックさんのくれたこの指輪があるから、人や物の輪郭だけは・・・線みたいなので感じて・・・分かるの、・・・でも色や光、模様や、人の表情は・・・見えない」

「・・・こっち・・・です」

「ありがとう」

「じゃぁ・・・いきますね・・・転移!」

・・・全然そんな感じには見えなかったのに、・・・普通に歩いて、ご飯も食べてたし・・・。






「おう、おかえり、初めての転移魔法陣はどうだった?」

「私には・・・景色も見えないし、転移は・・・一瞬でよくわからないよ・・・あ、でも海の香りは・・・したかな、お料理も美味しかったなぁ・・・」

「あぁ、確かに料理は美味かったな、また転移して食いに行く価値はある、次行く時、どうだ、一緒に行くか」

「ドックさんの・・・奢りでしたら喜んで」

「相変わらず金に汚ねぇ奴だな」

「・・・お金は・・・裏切ったり、私に・・・痛いことや・・・酷いことしませんから・・・大好きですよ・・・ふふっ」

「それにしても、あの嬢ちゃんは毎日あんな美味いもん食ってるのか、羨ましいな」

「あぁ、リゼちゃんにバレちゃいました、・・・私の目が見えない事、・・・ドックさん先に帰っちゃうから・・・魔法陣の目印に立って・・・なんて・・・私には見えないからわからないよぅ・・・」

「あぁ、すまん、うっかりしてたな、だがあの嬢ちゃんは大丈夫だ、信頼できる」

「そうですか・・・じゃぁ、私は教会に帰りますね、浄化の報酬も・・・ちゃんと払ってくださいよ」

「分かってる、出張料金も上乗せしてやるよ、送って行くから待て・・・あ、そうか転移させてやれば済むな、あの懺悔室でいいか」

「・・・うん」
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