〜隻眼の令嬢、リーゼロッテさんはひきこもりたい!〜

柚亜紫翼

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Side - 15 - 27 - へいかによばれました -

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Side - 15 - 27 - へいかによばれました -

こんにちは、リーゼロッテ・シェルダン15歳です。

私は今、王城をチベットスナギツネみたいな表情をして一人で歩いているのです、後ろにはお城の衛兵さんが2人、気を遣ってくれたようで2人とも女性の騎士様です。

今朝、私はコルトのお家でのんびり朝寝坊、・・・午前中はお店になる納屋の掃除をして・・・ってお布団の中で考えていた所にシャルロットさんが慌ててお部屋に飛び込んで来たのです。

「リゼルくん!、大変っす!、お家の方から魔法陣で緊急のお手紙届きました、王命でお昼に登城せよって!」

「ひぃっ!、・・・急に入ってこないで・・・びっくりしたのです・・・」

一瞬で目が覚めたのです!、びっくりしてお漏らししなかった私を褒めて欲しいのです!。

「・・・何で、・・・って・・・理由は・・・書いてあるのかな」

「いえ、とにかく今すぐに王都のシェルダンのお家に戻って、お家に王城から人が迎えに来るからその人と一緒に登城するようにって」

「・・・うぇぇ・・・やだぁ・・・王城怖い・・・」

「そんなこと言ってないで、時間ないっすからこのまま転移してくださいっす!」

「え、でも私今芋ジャージ・・・」

「王都邸のお部屋で着替えればいいっす、どうせドレスに着替えるんだから、さぁ急いで転移するっす」

「・・・わかったの、・・・そこの魔法陣に立って・・・狭くて2人はきついから、・・・先にシャルロットさん送るよ・・・」

「絶対!、絶っ対に!、後からリゼルくん来てくださいね、王命っすから!」

「・・・」

「お返事が聞こえないっす!」

「・・・うん、・・・じゃぁ送るよ・・・ほい転移!」

・・・やだなぁ、何の用だろ、私最近何かしたっけ?、・・・あ、リィンちゃんに陛下脅して旅行の許可取れって言ったから・・・その件かも・・・、え、・・・陛下ひょっとして怒ってる?。

「・・・行かない・・・訳にはいかないよね・・・転移・・・」




「娘がだらしない・・・」

「お父様ひどい・・・」

王都邸の私のお部屋に転移したらそこにはお父様とお母様、弟と執事長のセバスチャンさん、それと先に転移させたシャルロットさんが居ました。

私はというと髪は寝起きでボサボサ、ほっぺたにはヨダレの跡、芋ジャージの上下を着て、サイズがちょっと大きいからズボンがズレた半ケツ状態、片手には枕を抱えてっていう自分で言うのもアレだけどひどい格好・・・。

「って、・・・なんでみんな居るのです?、自分のお部屋に転移するから、格好なんて気にしてなかったし・・・」

「いや久しぶりに帰ってきた娘を抱きしめようかと・・・」

「・・・ん」

ぎゅー

お父様とお母様、弟のコナンザが順番に私を抱きしめます、セバスチャンさんが両手を広げてスタンバイしていますが・・・いやあなたにハグされたら私確実に漏らす自信があるのです・・・とりあえず無視するのは悪いから・・・握手・・・これでも慣れた人だからできる事なのです。

「で、陛下は何の用って言ってるの?」

「・・・ここじゃぁ誰の耳があるか分からんから向こうで話すよ、私はリゼたんの顔を見たから先に王城に行ってるからね、ちゃんと綺麗にして来てね」

「・・・え、なんで呼ばれたのか分からないって、・・・王城行くまで不安で私の胃が痛いのです・・・」

「大丈夫、悪い話じゃないから」

「・・・」

そういうのってお父様には悪い話じゃないかもですが、私にとっては悪い話かもしれないのです、あぅ・・・もう胃が痛くなって来たのです・・・。

「さぁリゼたん、お着替えしましょうねー」

「いや、・・・何でお母様が私を着替えさせるの?、ってコナンザとシャルロットさんもどうして当然のようにソファに座って見学してるのです!」




そんなゴタゴタを経て今私は王城に来ているのです。

「こちらでお待ちください」

「・・・はい、ありがとう・・・ございます」

王様のプライベートなお部屋に通される前に待機する部屋ですね、何度か来たことがあるのです、あ、テーブルの上に美味しそうなケーキがある、・・・じゅるり・・・。

騎士様を一人残して、入れ替わりにメイドさんが入って来て私に紅茶を用意してくれています、おや、紅茶のお皿の下にお手紙・・・何でしょう?、メイドさんが私に顔を近づけて・・・。

・・・待つのです!、近い近い!、き・・・キスされるのかと思ったのです・・・驚いた顔をしている私に優しく微笑んだメイドさんが小さな声で・・・。

「後でこっそりお読みください・・・」

って言われました、・・・ラブレター的なものでしょうか?、私はそちらの方の趣味はないのですが・・・勇気を出して告白してくれたメイドさんを傷つけたら悪いので、とりあえずお手紙はポケットに入れておきましょう。

しばらくケーキをもきゅもきゅ食べていると別のメイドさんが来て陛下のプライベートなお部屋に案内されました、あ、もちろんケーキは完食したのです。

「失礼します」

私は腐っても高位貴族なので一応礼儀作法は綺麗にできるようになっているのです、お部屋に入って淑女の礼をします。

「よく来てくれたねリゼちゃん、さ、入って」

優しい声でそう言われて初めて頭を上げると、陛下の隣にはお父様が居ます、いやお父様、それなら私と一緒にこのお部屋に来てくれてもよかったのではないのですか、って考えてると。

「すまなかった!」

いきなり陛下が頭を下げられました。

多分私の腕輪の事でしょう、これはリィンちゃんに厳しく叱られたようですね、いい気味なのです!、ざまぁなのです!、そんな事は口に出せないので私は思ってもない事を言います。

「いえ、・・・陛下がそんな事をされてはいけません、・・・どうか頭をお上げください」

もちろんこれは社交辞令なのです、こう言っておく事で陛下には一つ貸しができたのです!、嫌なことを要求されてもこの貸しを使って逃げることが出来るのですよ、ふふふ・・・。

「そうか、・・・娘に厳しく叱られてしまったよ、万が一の為にどうしてもという申し出があったのでね、どうか私たち王族を嫌わないで欲しい」

「確かに・・・私が誰かに操られたり、・・・自分を無くして暴れた時の為にというのは・・・理解できますので、・・・国に危害を加えないよう対策をとるのは・・・仕方のない事かと」

「・・・今回の腕輪の安全対策についてはドック・フューチャ氏とは話し合ったのかな」

「いえ、リィンちゃ・・・第一王女殿下に頼まれて指輪の魔法陣を解析してからは、・・・特にそれについて話しては・・・おりません、博士・・・師匠もその件については話してくれなかったですし、・・・私に知られたくないのではと・・・思ったので・・・ひっく・・・」

「ドック氏は責めないでくれないかな、他から安全対策の要望が出たとはいえ、全て私が許可したものだから私の責任だ、ドック氏の立場では断れなかっただろう」

「・・・はい、・・・ぐすっ」

「君達はいい師弟関係だと思うから、その関係を壊すような事になったのも私の責任だ、すまなかったね」

「・・・いえ」

「それで、今日リゼちゃんに来てもらった目的なんだが、・・・少し我々に協力して欲しいんだ、お父さんには了承してもらってる、リゼちゃんには、・・・君の身体に消えない傷を付けた犯人達を・・・捕まえる協力をして欲しい・・・リゼちゃんも、そいつらが憎いだろ」
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