20 / 22
15-1 シェリルside セオとの出会い
しおりを挟む
「セオさまぁ ~、これってぇ、どうすればいいですか?」
シェリルは部署内の上司の上司の上司セオにしつこく付きまとっていた。
その様子を直属の女上司が苦い顔で見ているが、そんなことはお構いなしのシェリルである。
若くして役職についたセオは出世頭で顔もいい。セオは既婚者だけれどこの世の中には略奪愛なんてざらにあるからシェリルはセオを虜にしたいのだ。
(どんな略奪愛だって月日が経てば真実の愛に変わっていくものよ。不倫で始まった恋は最初こそ騒がれるけれど数年も経てばおしどり夫婦なんて言われているセレブはたくさんいるわ)
シェリルが目指すのは略奪愛の末に正妻に収まった貴婦人達だ。そのためには爵位持ちか大金持ちの男をまず捕まえる必要があった。それゆえのセオなのだった。
「セオ様は既婚者よ? ベタベタとまとわりつくのはおやめなさいよ」
直属の女上司の忠告をまるっと無視するシェリル。
(うるさい女ね! 私が誰にベタベタしようと大きなお世話だわ! だって高位貴族の独身の男性だとまず相手にされないもの。家柄や学歴、家族構成、全部を調べ上げられ親戚一同に反対されてお付き合いも出来ない。でも既婚者なら奥さんへの小さい不満は誰でも抱えているじゃない? だからそこを聞いてあげてお付き合いするのよ。上手いこと付き合えたら相手の家庭に乗り込んでいって奥さんを追い出しちゃえばいいもの)
不埒な考えのシェリルは臨時雇いの同僚や女性の上司が大嫌いで話をすることも避けていた。あのような忠告も自分が可愛すぎるから妬んで言っているものだと思い込んでいるのである。
ターゲットをセオに決めたシェリルは事あるごとにセオに近づく。
「セオ様。奥様はセオ様のような仕事ができる出世頭と結婚ができてとても幸せですね。いつも感謝されているのでしょう?」
「感謝…はされているかな? よくわからないよ」
「だってセオ様は出世頭ですよ! こんな立派な旦那様を持てて幸せじゃないですか? それなのに日々感謝の気持ちも伝えないのですかぁ? 最低の奥様ですねぇ」
シェリルはここぞとばかりにセオの妻を貶める言葉を口にした。
「ありがとう。君だけだよ、そう言ってくれるのは……」
悲しげな表情のセオにシェリルは応援したい気持ちでいっぱいになった。
(きっと奥さんに虐められているんだわ! 気の利かないバカな女なのよ)
「セオ様は有能なとても素敵な男性ですわ! きっと奥様にはそれがわからないのでしょうね。奥様はどこのご令嬢だったんですかぁ?」
「え? …、そうだなぁ…私の妻は貴族では無いから」
シェリルは気まずそうに目を逸らすセオの表情には気づかない。
「奥様は貴族ではない? そういえばセオ様はポワゾン侯爵様にはいつなるんですか?」
シェリルは平民だし臨時雇いの書類整理係り(古い書類を年代別に綴じ書類整理箱につめ書類保管室に持っていく仕事)なので王宮に働きに来ていても貴族のことはほとんどわからなかった。
「……」
「やっぱり侯爵様となると気品が違いますものね。嫡男様でしょう? でなければその若さで文官の役職になどつけませんよね? 長官にも気に入られているって聞きました」
シェリルは思いつく限りのお世辞を言いまくった。とにかくシェリルは貴族を褒めちぎるのが1番だと思っている。貴族はプライドが高いからきっといい気分になるはずなのだ。
何度もセオに話しかけて親しくなっていくシェリル。そのうちセオはシェリルと一緒にいると楽しいと言い出すようになった。
(そりゃそうよ。言葉の端々には必ず褒め言葉を入れているし、セオ様をこの世で1番できる男として扱ってあげているもん。男って単純なのよね)
シェリルがタネをまいている男は他にもいたけれど、セオはその中で1番お金持ちだった。
シェリルは部署内の上司の上司の上司セオにしつこく付きまとっていた。
その様子を直属の女上司が苦い顔で見ているが、そんなことはお構いなしのシェリルである。
若くして役職についたセオは出世頭で顔もいい。セオは既婚者だけれどこの世の中には略奪愛なんてざらにあるからシェリルはセオを虜にしたいのだ。
(どんな略奪愛だって月日が経てば真実の愛に変わっていくものよ。不倫で始まった恋は最初こそ騒がれるけれど数年も経てばおしどり夫婦なんて言われているセレブはたくさんいるわ)
シェリルが目指すのは略奪愛の末に正妻に収まった貴婦人達だ。そのためには爵位持ちか大金持ちの男をまず捕まえる必要があった。それゆえのセオなのだった。
「セオ様は既婚者よ? ベタベタとまとわりつくのはおやめなさいよ」
直属の女上司の忠告をまるっと無視するシェリル。
(うるさい女ね! 私が誰にベタベタしようと大きなお世話だわ! だって高位貴族の独身の男性だとまず相手にされないもの。家柄や学歴、家族構成、全部を調べ上げられ親戚一同に反対されてお付き合いも出来ない。でも既婚者なら奥さんへの小さい不満は誰でも抱えているじゃない? だからそこを聞いてあげてお付き合いするのよ。上手いこと付き合えたら相手の家庭に乗り込んでいって奥さんを追い出しちゃえばいいもの)
不埒な考えのシェリルは臨時雇いの同僚や女性の上司が大嫌いで話をすることも避けていた。あのような忠告も自分が可愛すぎるから妬んで言っているものだと思い込んでいるのである。
ターゲットをセオに決めたシェリルは事あるごとにセオに近づく。
「セオ様。奥様はセオ様のような仕事ができる出世頭と結婚ができてとても幸せですね。いつも感謝されているのでしょう?」
「感謝…はされているかな? よくわからないよ」
「だってセオ様は出世頭ですよ! こんな立派な旦那様を持てて幸せじゃないですか? それなのに日々感謝の気持ちも伝えないのですかぁ? 最低の奥様ですねぇ」
シェリルはここぞとばかりにセオの妻を貶める言葉を口にした。
「ありがとう。君だけだよ、そう言ってくれるのは……」
悲しげな表情のセオにシェリルは応援したい気持ちでいっぱいになった。
(きっと奥さんに虐められているんだわ! 気の利かないバカな女なのよ)
「セオ様は有能なとても素敵な男性ですわ! きっと奥様にはそれがわからないのでしょうね。奥様はどこのご令嬢だったんですかぁ?」
「え? …、そうだなぁ…私の妻は貴族では無いから」
シェリルは気まずそうに目を逸らすセオの表情には気づかない。
「奥様は貴族ではない? そういえばセオ様はポワゾン侯爵様にはいつなるんですか?」
シェリルは平民だし臨時雇いの書類整理係り(古い書類を年代別に綴じ書類整理箱につめ書類保管室に持っていく仕事)なので王宮に働きに来ていても貴族のことはほとんどわからなかった。
「……」
「やっぱり侯爵様となると気品が違いますものね。嫡男様でしょう? でなければその若さで文官の役職になどつけませんよね? 長官にも気に入られているって聞きました」
シェリルは思いつく限りのお世辞を言いまくった。とにかくシェリルは貴族を褒めちぎるのが1番だと思っている。貴族はプライドが高いからきっといい気分になるはずなのだ。
何度もセオに話しかけて親しくなっていくシェリル。そのうちセオはシェリルと一緒にいると楽しいと言い出すようになった。
(そりゃそうよ。言葉の端々には必ず褒め言葉を入れているし、セオ様をこの世で1番できる男として扱ってあげているもん。男って単純なのよね)
シェリルがタネをまいている男は他にもいたけれど、セオはその中で1番お金持ちだった。
126
あなたにおすすめの小説
皇帝の命令で、側室となった私の運命
佐藤 美奈
恋愛
フリード皇太子との密会の後、去り行くアイラ令嬢をアーノルド皇帝陛下が一目見て見初められた。そして、その日のうちに側室として召し上げられた。フリード皇太子とアイラ公爵令嬢は幼馴染で婚約をしている。
自分の婚約者を取られたフリードは、アーノルドに抗議をした。
「父上には数多くの側室がいるのに、息子の婚約者にまで手を出すつもりですか!」
「美しいアイラが気に入った。息子でも渡したくない。我が皇帝である限り、何もかもは我のものだ!」
その言葉に、フリードは言葉を失った。立ち尽くし、その無慈悲さに心を打ちひしがれた。
魔法、ファンタジー、異世界要素もあるかもしれません。
もうあなた達を愛する心はありません
佐藤 美奈
恋愛
セラフィーナ・リヒテンベルクは、公爵家の長女として王立学園の寮で生活している。ある午後、届いた手紙が彼女の世界を揺るがす。
差出人は兄ジョージで、内容は母イリスが兄の妻エレーヌをいびっているというものだった。最初は信じられなかったが、手紙の中で兄は母の嫉妬に苦しむエレーヌを心配し、セラフィーナに助けを求めていた。
理知的で優しい公爵夫人の母が信じられなかったが、兄の必死な頼みに胸が痛む。
セラフィーナは、一年ぶりに実家に帰ると、母が物置に閉じ込められていた。幸せだった家族の日常が壊れていく。魔法やファンタジー異世界系は、途中からあるかもしれません。
結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。
佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のアメリアは幼馴染のジェームズと結婚して公爵夫人になった。
結婚して半年が経過したよく晴れたある日、アメリアはジェームズとのすれ違いの生活に悩んでいた。そんな時、机の脇に置き忘れたような手紙を発見して中身を確かめた。
アメリアは手紙を読んで衝撃を受けた。夫のジェームズは不倫をしていた。しかも相手はアメリアの親しい友人のエリー。彼女は既婚者で2児の母でもある。ジェームズの不倫相手は他にもいました。
アメリアは信頼する兄のニコラスの元を訪ね相談して意見を求めた。
妹に婚約者を奪われましたが、私の考えで家族まとめて終わりました。
佐藤 美奈
恋愛
セリーヌ・フォンテーヌ公爵令嬢は、エドガー・オルレアン伯爵令息と婚約している。セリーヌの父であるバラック公爵は後妻イザベルと再婚し、その娘であるローザを迎え入れた。セリーヌにとって、その義妹であるローザは、婚約者であり幼馴染のエドガーを奪おうと画策する存在となっている。
さらに、バラック公爵は病に倒れ寝たきりとなり、セリーヌは一人で公爵家の重責を担うことになった。だが、イザベルとローザは浪費癖があり、次第に公爵家の財政を危うくし、家を自分たちのものにしようと企んでいる。
セリーヌは、一族が代々つないできた誇りと領地を守るため、戦わなければならない状況に立たされていた。異世界ファンタジー魔法の要素もあるかも?
最近彼氏の様子がおかしい!私を溺愛し大切にしてくれる幼馴染の彼氏が急に冷たくなった衝撃の理由。
佐藤 美奈
恋愛
ソフィア・フランチェスカ男爵令嬢はロナウド・オスバッカス子爵令息に結婚を申し込まれた。
幼馴染で恋人の二人は学園を卒業したら夫婦になる永遠の愛を誓う。超名門校のフォージャー学園に入学し恋愛と楽しい学園生活を送っていたが、学年が上がると愛する彼女の様子がおかしい事に気がつきました。
一緒に下校している時ロナウドにはソフィアが不安そうな顔をしているように見えて、心配そうな視線を向けて話しかけた。
ソフィアは彼を心配させないように無理に笑顔を作って、何でもないと答えますが本当は学園の経営者である理事長の娘アイリーン・クロフォード公爵令嬢に精神的に追い詰められていた。
「本当に僕の子供なのか検査して調べたい」子供と顔が似てないと責められ離婚と多額の慰謝料を請求された。
佐藤 美奈
恋愛
ソフィア伯爵令嬢は、公爵位を継いだ恋人で幼馴染のジャックと結婚して公爵夫人になった。何一つ不自由のない環境で誰もが羨むような生活をして、二人の子供に恵まれて幸福の絶頂期でもあった。
「長男は僕に似てるけど、次男の顔は全く似てないから病院で検査したい」
ある日、ジャックからそう言われてソフィアは、時間が止まったような気持ちで精神的な打撃を受けた。すぐに返す言葉が出てこなかった。この出来事がきっかけで仲睦まじい夫婦にひびが入り崩れ出していく。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
「私も新婚旅行に一緒に行きたい」彼を溺愛する幼馴染がお願いしてきた。彼は喜ぶが二人は喧嘩になり別れを選択する。
佐藤 美奈
恋愛
イリス公爵令嬢とハリー王子は、お互いに惹かれ合い相思相愛になる。
「私と結婚していただけますか?」とハリーはプロポーズし、イリスはそれを受け入れた。
関係者を招待した結婚披露パーティーが開かれて、会場でエレナというハリーの幼馴染の子爵令嬢と出会う。
「新婚旅行に私も一緒に行きたい」エレナは結婚した二人の間に図々しく踏み込んでくる。エレナの厚かましいお願いに、イリスは怒るより驚き呆れていた。
「僕は構わないよ。エレナも一緒に行こう」ハリーは信じられないことを言い出す。エレナが同行することに乗り気になり、花嫁のイリスの面目をつぶし感情を傷つける。
とんでもない男と結婚したことが分かったイリスは、言葉を失うほかなく立ち尽くしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる