（完）悪役令嬢は惚れ薬を使って婚約解消させました

私が、本当にいる場所はここだった

　数日で、私が魔女じゃないか？　という噂が学園じゅうに広まった。

「ねぇ、もしかしたら、ソフィアは魔女の可能性があるのかい？　だとしても、大丈夫。私が、庇ってあげるから」

　ロミオ様は、私にそう言った。『だとしても』と、おっしゃったのは、私を信じていないということだ。

　その後に話をしたハロルドは私に、余計なことは言わなかった。ただ、そっと手を握って微笑んだだけだ。

「ハロルド。貴方も私を魔女だと思うのでしょう？」

　私が聞くと、ハロルドは笑い出した。

「まさか！　だとしたら、いつも、成績は一番だろうし、犬だって怖がらないよね？　魔女って、なんでもできるから、魔女なんでしょう？」

　あぁ、確かにね･･････全く、その通りだ。ハロルドといると、なぜ、こんなに気楽でいられるんだろう？


*:ﾟ+｡.☆.+*✩⡱:ﾟ



　あまりにも、噂が一人歩きし、収集がつかなくなって、私達は王家に呼ばれた。

「ちょっとした検証実験だよ？　すぐ、終わる」

　ロミオ様は、そう、おっしゃって微笑んだ。


　王家の魔法使いが、ロミオ様を見て首を傾げている。

「どこも、異常はないようです。魅了の魔法も、惚れ薬の類いを飲んでいる様子もありませんね」

「嘘だわ！　じゃぁ、これを飲ませてよ！」

レティシアは惚れ薬用解毒剤と書いてある小瓶の薬を、ロミオ様に無理矢理、飲ませた。

　たちまち、ロミオ様は、レティシアに抱きつき、激しいキスをしだした。

　私は、あの市井で薬を売っていた老女が、他になにか大事なことを、言っていたことを思い出した。

『惚れ薬を飲んで反応する時間は浮気性な男ほど早いよ』

　小さな声で、嬉しそうに呟いたんだった。



*:ﾟ+｡.☆.+*✩⡱:ﾟ



「こ、これは、解毒剤と瓶には書いてあるが、惚れ薬ですね」

　王家の魔法使いが、慌てて、その小瓶を調べて言った。

惚れ薬の効用が、解けたロミオ様は私にすり寄ってきたが、私はきっぱりと宣言した。

「この婚約は解消します！」



*:ﾟ+｡.☆.+*✩⡱:ﾟ


私は、ハロルドの屋敷に走って向かった。

「来ちゃった」

私が言うと、ハロルドはにっこり笑った。

「ずっと、待ってたよ。お帰り」

　私は、ハロルドの胸に飛び込んだのだった。


完