(完)悪役令嬢は惚れ薬を使って婚約解消させました

青空一夏

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効き過ぎた惚れ薬(ソフィア・ローズ公爵令嬢side)

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 私は絶句した。ロミオ様は酔っていらっしゃるに違いない。でも、もしかしたらあの薬が効いたのしら?まさかね?

「どうして、黙っているの? ソフィア? それにしても、なんだろう? 久しぶりに今日は気分がいいなぁ」

 蕩けるような笑顔で、そうおっしゃって、私のほうにやって来て手を取った。

「散歩をしよう? いつものように」

 私の手を取ろうとしたロミオ様に伯父様(王様)は苦笑した。

「婚約発表をパリセ男爵令嬢とする前に正気に戻ってくれたら良かったのに・・・・・・まぁ、いいか。パリセ男爵令嬢には、婚約解消を申し出よう」

 ロミオ様は、不思議な面持ちで伯父様の言葉を聞いていた。

「何の冗談ですか? 私がパリセ男爵令嬢と婚約? また、酷い冗談をおっしゃいますね? ソフィアを傷つけるのはやめてください!」

 おかしいわ。ロミオ様は、パリセ男爵令嬢とのことは、全て記憶がないとおっしゃった。こんなことってあるのだろうか?

 伯父様とロミオ様が帰られてから、私とお父様は青ざめながら相談した。

「これは、大事おおごとだ! あの薬は、本物の惚れ薬だったようだ。まずいな・・・・・・そんなものを王太子に飲ませたと、もしわかったら、姪のソフィアだとて厳罰に処せられる。よいか? これは、父が勝手にやったことだ。もし、発覚することがあったら『知らぬ存ぜぬ』で押し通すのだ」

「お、お父様・・・・・・ごめんなさい。こんなに効くものだなんて思わなかったの。私が、バカだった」

 私は、いざ望みが叶って、ロミオ様の気持ちが戻ってきたら、今度は罪の意識にさいなまれた。

 パリセ男爵令嬢と婚約解消をした王太子様は、前にも増して私を溺愛した。もちろん、学園でもその態度は一変した。パリセ男爵令嬢には、目もやらず、ひたすら私だけを見つめている。

「ねぇ、ソフィア様! 貴女がロミオ様になにかしたのでしょう? こんなに急に変わるわけがないわ。 貴女みたいに財力もある家柄なら、専属魔法使いぐらいいても不思議じゃぁないですね。 ロミオ様は私にぞっこんだったのに! 酷いわ・・・・・・魔法で操っているのでしょう? きっとソフィア様自身が魔女なのね・・・・・・」

 悲しげに泣いたレティシア・パリセ男爵令嬢は、あっという間に皆の同情を誘ったのでした。
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