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ジェイコブの断罪ー(ジェイコブ視点)

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 「さて、ジェイコブとやら、メイソンが学校で一番になって、悔しかったなぁ。できれば、学校からも街から追い出したいよな?」




 僕は、王様が言った言葉に震えていた。なんで、僕の気持ちがわかるんだろ? 僕は、あの学校で一番だった。だから、他に優秀な奴が来る度に、嘘の罪をなすりつけたんだ。

 最初は、本当にお金がなくなったんだ。お財布から紙幣が一枚、消えていた。貧乏人の子供のくせに優秀な奴がいて、そいつのせいかもしれないって言ったんだ。

 そしたら、先生が、その時はカーター先生じゃなかったけど、僕の言葉を信じたんだ。僕の親とその子の親が学校に呼ばれた。

「そんな泥棒は、学校から退学させろ! この親の職場にも言ってやれ! この街から追い出されればいいんだ」

 お父様は、そう言って、その言葉通りになった。僕は、また一番になれた。あとから、なくなったはずの紙幣がカバンの底から出てきたけれど、怖くて黙っていた。財布にちゃんと入れてなくて、カバンの底にあったなんて言ったら、僕がきっと怒られるもん。だから、誰にも言わなかった。

 その半年後にまた、頭の良い奴が入ってきた。わざと、高いペンを持って行って、誰も見ていない隙をみて、そいつのカバンに入れた。僕はまた、騒いだ。

「僕の大事なペンがなくなっている。誰だ! このクラスには泥棒がいる!」

 先生は、全員の持ち物を調べた。その頭の良い奴のカバンの底にペンはあった。
やっぱり、そこでも親達が呼ばれた。

あの子は泣いて無実を訴えたけれど、僕のお父様がせせら笑った。

「貧乏人のくせに、勉強を頑張ろうとするからだ! 貧乏人はそのまま無教養でいればいいんだ。底辺の仕事をしてゴミみたいに生きる人間が世の中には必要だからな!」

 そうか・・・・・・だよね? この世界は平民だって、ちゃんと色分けしてる。商売を営む僕のお父様のような豪商と、そこで働く使用人では全く違う。世の中には掃除夫とか日雇い労働者とか、いろんな人達がいるけど勉強ができなくてもできる仕事はたくさんあるんだ。それは、底辺がする仕事だってお父様は言った。だから、こいつらは、皆、僕より上の成績をとるべきじゃないんだ!

 それからは、何の躊躇もなく、優秀な子に罪をきせた。

「ジェイコブは、とても良い子だ。社会の役に立つとは、こういうことだ。しかし、この学校はなぜ、こんなにも泥棒が多いんだ?」

 ふふふっ、それは、僕が・・・・・・



 
 つい、前のいろいろなことを思い出していると、また文官が書類を持ってきて王様の前に広げた。王様の顔の形相が鬼のようになった。

「子供用のムチで、まず10回叩け!」

 
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