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49 婚約発表

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 夕方になり、王宮の大広間は華やかな夜会のために飾りつけられた。今日は私とライオネル殿下の婚約発表がされる日なのよ。
 シャンデリアからは優雅な光が降り注ぎ、壁にはシルクで作られた美しいドレープが掛けられ、そこにはゴールドやシルバーの刺繍が施されていた。

 貴族たちは美しい衣装に身を包み、私は特別なドレスを纏い、颯爽とした姿のライオネル殿下と共に大広間に立っている。
 私のドレスはシルクのアイボリー色の生地で、繊細な刺繍が施されていた。その刺繍は花や蔓のモチーフで、鮮やかなブルーの糸で描かれており、ドレス全体に優雅で華やかな雰囲気を与えていた。ちなみにブルーはライオネル殿下の瞳の色だ。

 腰から広がるスカートは、ウエストを引き立てるようにシェイプされており、ゆったりとしたフレアがある。ドレスの背中は、繊細なレースの透かし模様で飾られていた。レースの模様は花や葉が繊細に表現されており、私の肌を美しく引き立てていた。
 ドレスの裾は床に優雅に広がるようなデザイン。裾の部分にも鮮やかなブルーのオーガンジー素材が重ねられ、一層華やかな印象を与える。
 ライオネル殿下から贈られたドレスは、彼の瞳のブルーがところどころに反映されていて、私が深く愛されていることを公に示すものでもあったのよ。
 
 夜会の始まりを告げる音楽が奏でられ、アルフォンソ国王陛下が高座に立つ。大広間の中には熱狂的な期待と興奮が渦巻いていた。

「我らの大いなる王国に、更なる喜びと繁栄の節目が訪れた。今宵、この場において、第二王子ライオネルとソフィ嬢の婚約を発表する。二人の結びつきは、王家の栄光と国家の一層の繁栄を約束するものと確信しておる。この喜び溢れる日を共に祝おう!」

 アルフォンソ国王陛下の言葉が響き渡った。

 すると、大広間は一瞬にして沸き立ち、拍手と歓声が広がった。貴族たちは心から祝福し、喜びの笑顔を浮かべながら、新たな私達の未来を祝福してくれた。その中にはもちろん、マリエッタ様やジョディ様にアーリン様もいたわ。

 ライオネル殿下と私は、微笑みながらお互いの手を取り合った。二人の手が触れ合った瞬間、周囲の貴族たちは、新たなるカップルの幸せを願いながら、温かい拍手と称賛の言葉を送ってくれた。

 祝福の声が響く中、ライオネル殿下が膝を床につけて、私に婚約指輪を手渡した。その指輪は大粒のダイヤモンドで飾られ、二人の愛の証として輝く。私は指輪を受け取り、感謝の意を込めてライオネル殿下に微笑み返した。


 さらに、今日はニッキーの爵位叙任式があった。ライオネル殿下の記憶をよみがえらせた彼の功績は、大いに評価され伯爵を叙爵されたのよ。

「ニッキーよ。そなたの功績は我が国に輝きをもたらした。ライオネルの記憶をよみがえらせたことに、心から感謝と敬意を捧げよう。それゆえ、余は喜んで叙爵を行い、そなたを伯爵に引き上げることとする!」

 アルフォンソ国王陛下からのお言葉を受けて、ニッキーは膝を折り頭を下げて誓いの宣誓をした。真っ先に、ニッキーにお祝いの言葉をかけに行ったのが、マリエッタ様だったのには驚いた。ニッキーはまだ独身だし、お付き合いをしている女性はいないようだった。

 もしかして、この二人って・・・・・・私は楽しい予感に心を弾ませた。

 アルフォンソ国王陛下は、大広間の隅にいた王室の伝令使いに、民衆に知らせるよう合図を送った。響き渡るトランペットの音に合わせて、公式な発表が始まる。

「第二王子ライオネル殿下とソフィ嬢の婚約が発表されました! 彼らの愛と絆は世界に広まり、私たちの国にとっても喜びとなります。彼らの結びつきは、愛と調和の象徴となるでしょう!」

 王室の伝令使いが、ニッキー作成の魔道具(拡声器)を手にして、外に向かって大声で叫んだ。

 私とライオネル殿下は手をつなぎ、王宮前の広場に向かい、民衆の前でにこやかに手を振った。皆が喜んでくれる今の状況は、ライオネル殿下の記憶喪失の件も絡んでいた。
 ライオネル殿下の記憶喪失で私たちの関係が揺らぎ、市井にはそのような悲恋の劇が流行している最中だったのよ。

 婚約発表の瞬間を見逃がしたくない民衆たちは、王宮前の広場に詰めかけていた。彼らは耳を澄ませ、興奮と喜びに溢れた表情を浮かべ、婚約のニュースを待ち望んでいた。

 喜びの歓声と拍手が広場に響き渡る。人々の顔には笑顔が満ち、喜びと祝福の気持ちが心からこみあげているかのようだった。

 民衆たちは互いに抱き合い、喜びの涙を流しながら、ライオネル殿下と私の幸せを願ってくれた。その後、広場では祝福の祝宴が催された。

 王家はこの特別な日を祝うため、広場に広いテーブルを設け、民衆にワインを振る舞った。テーブルの上には、豪華な食べ物や飲み物が並べられている。喜びに満ちた民衆は、感謝と興奮の気持ちでワインを受け取った。広場は歓喜の歌声や笑い声で満ち溢れ、祝祭の雰囲気が一層高まっていく。

 ライオネル殿下と私はそのような民衆の喜ぶ姿を眺めながら、お互いの指を絡め合って幸せを噛みしめていた。やがて、ニッキーも広場にやって来て、空を見上げながら花のモチーフで飾られた杖を天空に向けた。すると、空からピンクの花びらがひらひらと雪のように舞い降りて、私達の婚約発表を美しく彩ったのだった。
 
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