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第六話 慕われる魔女様
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村に戻った子供たちを出迎える村長たちは、言いつけを守らずに森に行った子供たちを叱った後、優しく抱きしめて、その身の無事を喜んだのだった。
子供たちを無事に連れ帰った騎士たちに村長が代表してお礼を言っていた。
「騎士様方。この度は、ありがとうございます。子供たちが無事に帰ってきたのは騎士様方のお陰でございます」
「いやいや、俺たちは、何もしてないよ。なあ、ユーリ」
「ああ。だから、そんなにかしこまるな。子供たちも無事だった。それで十分だ」
二人の騎士からそう言われた村長は、最後に深く頭を下げた後に、騎士たちに言ったのだ。
「ありがとうございます。それでは、夕餉は少し豪華なものにしますので、期待していてくださいね」
「おお、それは嬉しいな」
そう言って、オーエンが豪快に笑うと、その場は和やかな空気が流れ始めていた。
そんな中、子供たちの保護者の一人が、何故勝手に森に行ったのかと子供たちに聞いている言葉が耳に入ったユーリとオーエンは、そっとその話に耳を傾けたのだ。
「えっとね、魔女様がいつも作ってくれるお菓子のお礼をしたいって、みんなで相談して……」
「ごめんなさい。僕たち、魔女様に木の実をプレゼントしたかったんだ!!」
「そっか……。でも、お前たちが怪我をしたら、魔女様がすごく悲しむぞ?」
「うっ……。ごめんなさい。もう、言いつけを破らないから……」
泣きそうな顔の子供たちの言いたいことが分かった大人たちは、顔を見合わせて困ったように言うのだ。
「はあ……。今回だけは、魔女様には秘密にしておこう。自分のために子供たちが危険な目に遭ったなんて知ったら、魔女様は泣いてしまうからな」
「そうだねぇ……。魔女様を悲しませたくはないからねぇ」
村人たちのそんな話を聞いたユーリとオーエンは、ますます魔女様と呼ばれる少女のことが気になって仕方がなかったのだ。
オーエンは、それとなく村人たちに聞いてみるのだ。
「そんなにみんなに慕われている魔女様は、いったいどんな子なんだ? すごい魔法が使えて、可愛いって話だけど?」
オーエンの言葉に最初に反応したのは、子供たちだった。
子供たちは我先にと、大好きな魔女様のことを自分のことのように自慢するのだ。
「魔女様は、灰色の髪が綺麗で、お月様みたいなんだ!」
「違うよ! お花の妖精のお姫様だよ!」
「え~、りんごのお姫様だよ~。真っ白なほっぺが真っ赤になって、すごく可愛いんだ! 僕、魔女様と結婚したい!!」
「ずるいぞ! 俺だって魔女様と結婚するんだ!!」
いつの間にか、少年たちは、魔女様と結婚するのは自分だと言い合いになっていたのだ。しかし、少女たちは、そんな少年たちを残念そうに見て口を揃えて言うのだ。
「あんたたちじゃ無理よ」
「そうよ! それに、あんたたちにイヴくんの父親なんて無理に決まってるわ!!」
子供たちの言い合いに、大人たちは笑ってその微笑ましい光景を見守るのだ。
しかし、ユーリとオーエンの中の魔女様像は謎が深まっていくばかりだったのだ。
そうこうしているうちに、村長の妻の食事の準備ができたという声で、その騒ぎは納まるのだった。
子供たちを無事に連れ帰った騎士たちに村長が代表してお礼を言っていた。
「騎士様方。この度は、ありがとうございます。子供たちが無事に帰ってきたのは騎士様方のお陰でございます」
「いやいや、俺たちは、何もしてないよ。なあ、ユーリ」
「ああ。だから、そんなにかしこまるな。子供たちも無事だった。それで十分だ」
二人の騎士からそう言われた村長は、最後に深く頭を下げた後に、騎士たちに言ったのだ。
「ありがとうございます。それでは、夕餉は少し豪華なものにしますので、期待していてくださいね」
「おお、それは嬉しいな」
そう言って、オーエンが豪快に笑うと、その場は和やかな空気が流れ始めていた。
そんな中、子供たちの保護者の一人が、何故勝手に森に行ったのかと子供たちに聞いている言葉が耳に入ったユーリとオーエンは、そっとその話に耳を傾けたのだ。
「えっとね、魔女様がいつも作ってくれるお菓子のお礼をしたいって、みんなで相談して……」
「ごめんなさい。僕たち、魔女様に木の実をプレゼントしたかったんだ!!」
「そっか……。でも、お前たちが怪我をしたら、魔女様がすごく悲しむぞ?」
「うっ……。ごめんなさい。もう、言いつけを破らないから……」
泣きそうな顔の子供たちの言いたいことが分かった大人たちは、顔を見合わせて困ったように言うのだ。
「はあ……。今回だけは、魔女様には秘密にしておこう。自分のために子供たちが危険な目に遭ったなんて知ったら、魔女様は泣いてしまうからな」
「そうだねぇ……。魔女様を悲しませたくはないからねぇ」
村人たちのそんな話を聞いたユーリとオーエンは、ますます魔女様と呼ばれる少女のことが気になって仕方がなかったのだ。
オーエンは、それとなく村人たちに聞いてみるのだ。
「そんなにみんなに慕われている魔女様は、いったいどんな子なんだ? すごい魔法が使えて、可愛いって話だけど?」
オーエンの言葉に最初に反応したのは、子供たちだった。
子供たちは我先にと、大好きな魔女様のことを自分のことのように自慢するのだ。
「魔女様は、灰色の髪が綺麗で、お月様みたいなんだ!」
「違うよ! お花の妖精のお姫様だよ!」
「え~、りんごのお姫様だよ~。真っ白なほっぺが真っ赤になって、すごく可愛いんだ! 僕、魔女様と結婚したい!!」
「ずるいぞ! 俺だって魔女様と結婚するんだ!!」
いつの間にか、少年たちは、魔女様と結婚するのは自分だと言い合いになっていたのだ。しかし、少女たちは、そんな少年たちを残念そうに見て口を揃えて言うのだ。
「あんたたちじゃ無理よ」
「そうよ! それに、あんたたちにイヴくんの父親なんて無理に決まってるわ!!」
子供たちの言い合いに、大人たちは笑ってその微笑ましい光景を見守るのだ。
しかし、ユーリとオーエンの中の魔女様像は謎が深まっていくばかりだったのだ。
そうこうしているうちに、村長の妻の食事の準備ができたという声で、その騒ぎは納まるのだった。
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