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ヒロセと、スラちゃん救出作戦6

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 「よしいけー、タマ~~~~~」
 
 タマが魔力を高めて超敏感魔法を放とうとしたとき、

 「あら~~~、いいのかしらね~。そんなことをして。このスライムがどうなっても?」

 悪役令嬢がそう言った瞬間、シツージが突然きたない袋を持って現れ、それを令嬢に手渡した。

 あれはもしかして……。

 「これが何か分かるかしら~~~」

 俺たちに見えるように袋を掲げて悪役令嬢はいやらしく笑った。その時、袋がちょっと動いた気がした。。

 「ス、スラちゃん?」

 ちみっこ妖精が袋に向かって話しかける。

 「……ㇲラ~~~~~」

 「「スラちゃん!!」」

 やっぱり、あの袋の中にはスラちゃんがいるんだ。くそー、あんな小汚くて狭い袋の中にスラちゃんを閉じ込めやがってー。。

 「ヒロセ、だめなのじゃ。このまま魔法を放ったら、スラちゃんに当たるかもなのじゃー」

 幼女エルフのタマが悔しそうに言う。そうだ、魔法を放ってスラちゃんに超敏感魔法が当たったら目も当てられないぞ。

 「くそっ、ダメか……」

 スラちゃんを助けるためにはもう。。

 俺は悔しさのあまり握りこぶしを握って下を向いた。

 くそ~~~~~~~~。

 そうだ。くやしい。こんな悪役令嬢に俺の超級マンションを取られたくもないし、土下座したくもない。

 でも………………。
 
 そんなものが、スラちゃんに釣り合うわけないんだ。そうだ。そんなものはスラちゃんの一万分の一の価値もない。

 俺は覚悟を決めた。

 「オーホッホ、オーホッホっホッホ、オーホッホっホッホホ」

 悪役令嬢の醜悪な笑い声が部屋中に響く中で、俺はゆっくりと土下座の体制をとる。

 「オーホッホ、これは見ものだわ。まあこれも私の顔に泥を塗った報いだとあきらめることね~~~。オーホッホっホッホ」

 「ひ、ヒロセー」

 ちみっこ妖精が蚊の鳴くような涙声で俺の名前を呼んでいる。

 「……、お嬢様、俺の……、俺のせいであなたに迷惑をかけたこと……申し訳ありませんでした。その代わりに俺のあの超級マンションをあなたに……。あなたに……」

 「オーホッホっホッホ、あたたになんですの?」

 「あなたに……」

 「じれったいわね。早くしないとこのスライムがどうなるか……」

 「あなたに献上いたします……」

 「オーホッホっホッホ、やりましたわ。これで、あの私の城よりも大きい超城がこの手に入りましたのね……。オーホッホっホッホ、オーホッホっホッホ、オーホッホっホッホ、オーホッホっホッホ、オーホッホっホッホ、オーホッホっホッホ、オーホッホっホッホ、オーホッホっホッホ」

 超級マンションを手に入れた喜びからか、悪役令嬢は延々と高笑いを続けている。俺は悔しと怒りで頭がおかしくなりそうだったけど、ここで切れるわけにはいかない。

 俺がそんなことを考えていると、

 ばた~~~~~~~~~ん。

 急に部屋のドアが開き、、

 「遊びにきたにゃ~~~~~~~~」

 あそびにきたにゃー?

 なんか、聞いたことがある語尾と声が聞こえてきたので、土下座体制から俺は顔だけを上げてそっちをみた。

 「あれ? なんでヒロセが土下座してるにゃー? 新しい遊びにゃー?」

 ふむ。にゃむだな。なんか知らんけど、にゃむがいる。

 「いや、新しい遊びじゃないけどな。。ちょっと、そっちのお嬢様に絡まれてな」
 
 俺は土下座の体制のまま答えた。答えたけど、いまだに頭は混乱状態だ。なんでここににゃむが?

 「にゃ~~~~~。ロッテどういうことだにゃー? なんでヒロセに絡んでいるにゃー」

 「にゃ、にゃむ様ではありませんか。。なぜ、このようなところににゃむ様が……。それに、この男とはどのような……」

 悪役令嬢の声が心なしか震えているように聞こえる。おや、これはどういうことだ? にゃむ様なんて、様付けもしているし。。

 「セバスに聞いたにゃー。なんか、ロッテの城で楽しいことやってるらしいってにゃー。
にゃー、ヒロセとは一緒に商会を運営している間柄にゃー。。」
 
 「……、なんでですの。。なんでこんな薄汚い男がにゃむ様と……」

 悪役令嬢は超狼狽している。なんか、こっちに風きてるぞ。

 「それより、なんでロッテの城のロッテの目の前でヒロセが土下座しているにゃー」

 「そ、、それは、、、」

 「にゃむ、それはだな。。」

 俺はチャンスだと思い、土下座体制をときにゃむに向かって話し始めた。

 「それはなにがあったにゃー」

 「ふむ。実はこの悪役令嬢が俺の超級マンションが自分の城よりでかいと嫉妬してな、俺たちの仲間スラちゃんを誘拐したんだ。それで、返してほしければ、土下座して超級マンションを献上しろと言ってきてな」

 「にゃ、にゃ、にゃに~~~~~~。それはひどいにゃー。ロッテ、これは、、、お仕置きだニャー。もちろん、首都にいるロッテの両親には話すにゃー。そのうえで、お仕置きだニャー」

 「!! にゃむ様それだけはどうか。お父様とお母さまに話すのだけはどうか~~~」

 「だめだニャー。話すにゃー。決定だにゃー」

 「そ、そんな~~~」

 にゃむの言葉に悪役令嬢が膝から崩れ落ちる。

 ……あの悪役令嬢でも両親が怖いとはな。ま、でも全く同情はできないぞ。スラちゃんにあんなことをしたんだしな。せいぜい、こってり絞られるがいいさ。
 
 それよりも。。

 「ス、スラ~~~~~」

 崩れ落ちた悪役令嬢が手放した袋からスラちゃんがはい出してきたらしい。ふにふにぷにぷにと、俺たちのほうにやってきた。

 「「す、スラちゃん」」

 やってきたスラちゃんをみんなが囲んでなでなでする。俺もほっとしてスラちゃんをなでなでする。

 ちみっこ妖精なんかはスラちゃ~~~~~んと言いながら、ちっこい体でぎゅーっとスラちゃんに抱き着いている。

 スラちゃんはやっぱりかわいいなー。

 ふにふにぷにぷにとするスラちゃんをなでながら、

 俺たちはスラちゃんをそれからしばらくふにふにぷにぷにと囲んでいた。

 

 よし、スラちゃんゲットだぜ。。

 ◇

 「セバスさん、にゃむって何者なの?」

 「知らないほうがいいですよ」

 「……」

 セバスからの返答ににゃむってチョー偉いの?と思いながら、悪役令嬢のロッテににゃむがおしりぺんぺんをするのを俺は眺めている。

 「あへ~~~~~、にゃむ様ご勘弁を~~~」I

 「にゃ~~~~~、まだまだにゃ~~~」

 ぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺち。

 ぺちぺちぺちぺちぺちぺち。

 ぺちぺちぺち。

 その日、その部屋からはいつもとは違う音が響き続けていたとさ。。




 「うむ、やはり超敏感魔法は効果絶大じゃな」
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