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ヒロセ、スラちゃんと朝食を食べる

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 「ヒロセ、この仕事まだ終わってないぞ」
 「ヒロセ、24時まで残業行けるか? もちろん、タイムカードは切っておけよ」
 「ヒロセ、休日なんてあると思うなよ。休日でも常に会社からの電話に備えておくんだ」
 「ヒロセ、お前ここミスっただろう? 残業決定な」
 「ヒロセ…………」
 「ヒロセ……」
 
 「ヒロセ……」

 「ヒロセ…」
  
 ……
 …

 「うわっ」
 「スラー、スラ、スラー」

 なんだ、スラちゃんか。 

 俺が夢から覚めると、スラちゃんが顔の上に乗っかってふにふにしていた。
 
 ああ、犬になめられるってこういう感じなのかな。俺は犬を飼ったことがないので、スラちゃんが顔の上でふにふにしていると、そんな感じなのかなと想像してしまう。

 よいしょっと。
 「スラー」

 俺は顔の上に載っているスラちゃんを片手でひょいと持ち上げて、床にそっと置いた。あいかわらずスラちゃんはいい感触だ。

 とても嫌な夢をみたけど、スラちゃんがスラスラ言っているだけで癒される。

 このスラちゃんの癒し効果だけでも、このボロアパートを購入した甲斐があるのか?

 「ふあー、眠たい」
 ボロアパート備え付けのベッドから起き上がって俺はあくびをした。

 今俺は購入したボロアパートの101号室にいる。止まり木亭から引っ越したのだ。

 看板少女ミーアちゃんのモーニングヴォイスを聞けなくなるのは残念だけど、ボロアパートにはスラちゃんとちみっこ妖精しかいないから、大家として住み込むことにした。

 ちみっこ妖精は102号室だ。スラちゃんはもともと前の大家と101号室に住んでいたらしい。
 
 だから、スラちゃんは俺が101号室に住んで面倒みることになった。

 で、引っ越してきて驚いたのは、見た目ほどこのボロアパートはボロくなかったことだ。

 外観のロボさを見たときは、雨漏りしてたり、風が吹き込んできたりしてそうだったけど、その心配はなかった。

 部屋は殺風景ながらきれいだったし、備え付けのベッドもついていた。まあ、それだけだから他は購入する必要があるけど、あとでちみっこ妖精に案内でもしてもらおうか。

 だから、しばらくはこのままのボロさでいくことにしよう。気が向いたら、リペアする方向で。

 「スラー、スラー」
 俺がぼけーっと考えてたら、スラちゃんが足元にふにふにぷにぷにと近寄ってきて、ぷにぷにすりすりと頬ずり?をしてきた。

 「よし、スラちゃん、朝食にするか?」
 「スラ~~~♪」

 ◇
 
 こうして俺はボロアパートに引っ越してきた。
 微妙になんか投資になってない気がするが、まあ何とかなるだろう。

 さて、俺は適当にパンでもかじるとして、スラちゃんは……。


 
 あれ? スラちゃんって何食べるんだっけ?
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