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ヒロセ、大家になる
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結果的に言うと話はスムーズに進んだ。
ちょうど大家の息子だという人がニアの街に滞在していので、
「あなたがあのアパートの今の所有者ですか?」
「はいそうです。この街に住んでいた父が亡くなったため相続することになったのですが、私自身は遠くの街に住んでいるのでできれば処分したいのですよ」
「そうですか? いくらほどをお考えで?」
「高く売れればよかったのですが、裏通りにある上にボロいのでなかなか売れないのですよ。ですから……、1000万マネーでどうですか?」
「1000万マネーですか。はい、いいですよ」
という感じだ。
スラちゃんの後をつけてから数時間で俺は物件を手に入れて、大家になった。超簡単にマネー製造物件を手に入れることができた。
◇
「大家になったぞ」
俺はボロアパートの庭で胸をでんと張って、スラちゃんとちみっこ妖精に宣言した。
スラちゃんとちみっこ妖精は互いに相手の顔を見ると(スラちゃんはどこが顔かよく分からないが)、
「やったよー、これでアパートを追い出されないで済むんだ~~~。やっほー」
「スラ、スラ、スラ~~~~~」
はしゃぎにはしゃぎだした。
スラちゃんは相変わらず、ぷにぷにふにふに、庭をジャンプして走り出し、その後をちみっこ妖精はかわいい羽根でパタパタと追いかけている。
あっ、スラちゃんが急に止まるから、スラちゃんの背中?にちみっこ妖精がぶつかって地面に落ちた。
「いててて、もー、スラちゃん。急に止まると。危ない~~~」
ちみっこ妖精は地面にお尻をついて、いたたたとさすっている。
「スラー↷」
スラちゃんは、しゅんとした感じでごめんなさいとしているようだ。
それでも二人はなんだか、ニンマリとしている。家がなくなることがよっぽど心配だったようだ。大きな心配ごとが減ったから、気持ちに余裕ができたのかもしれない。
そりゃそうだろうな。。
俺だって、あんなに残業残業また残業のブラック企業で働いていたのは、住んでいる賃貸の部屋を維持するためというのが大きかったしな。
まるでメルヘンの物語の中に飛び込んだような光景だけど、もちろんこれは商売だ。一人と一匹の家賃がどうなっているか聞いとかないとな。。。
「はしゃいでいるとこ悪いんだが、このアパートの家賃はどうなってるんだ?」
「家賃? あ~~~、あれのことかな~」
「スラ~~~? スラー、スラ~」
あれのことかな~、だと。なんか嫌な予感がしてきた。普通は家賃の支払いで、あれのことかな~、なんてないはずだ。
「そうだ。部屋を借りているんだから、大家に月一でマネーを払っていたんじゃないのか?」
「月一でマネーなんて払ってなかったよ~~。大家さんにはわたちが集めているお花の蜜をたまにおすそ分けしてたの~」
「な、なに~。お花の蜜だと。お花の蜜なんかで大家さんいいって言ってたのか?」
「そうだよ~。お花の蜜だよー。大家さん、わたちが集めてくるお花の蜜とってもおいしいって言ってくれてたんだよー」
俺は本当に仰天した。それはそうだろう。ちみっこ妖精にいくら家賃払ってるの?と聞いたら、帰ってきた答えがお花の蜜だとよ。それで驚かないやつがいたら見てみたいくらいだ。
「ス、スラちゃんは?」
まったくあてにはできなかったけど、俺はスラちゃんにも聞いてみた。
「スラー。スラ、スラ、スラー」
「なんて言ってるんだ?」
「スラちゃんは大家さんに拾われて、ペットになったの~。だから、たぶん何も払ってないよー。わたちもスラちゃん語は分からないけど」
……、思っていた通りの回答だった。やはり、スラちゃんはペット要因だった。
「ほかの住人は?」
「ほかの住人? いないよ~。ここに住んでいるのはわたちとスラちゃんだけだよー」
◇
俺は大家になった。
ただし、家賃はマネーではなくて、ちみっこ妖精がたまに持ってくるお花の蜜だけ。
いや、スラちゃんはふにふにぷにぷにと俺に癒しをくれるから、一応それも家賃の一部なのかな~。
まあ、いいか。本当にちみっこ妖精が持ってくる花の蜜おいしいかもしれないし。
よ~し、不労所得目指して頑張るぞー。
≪ピロリーん。ボロアパートを手に入れた≫
◇
【ヒロセの持ち物】
1000万マネーのボロアパート、現金 9068万マネー
【ボロアパートから入ってくるお金?】
プラス:たまにお花の蜜、スラちゃんの癒し
マイナス:維持費年間50万マネー
ちょうど大家の息子だという人がニアの街に滞在していので、
「あなたがあのアパートの今の所有者ですか?」
「はいそうです。この街に住んでいた父が亡くなったため相続することになったのですが、私自身は遠くの街に住んでいるのでできれば処分したいのですよ」
「そうですか? いくらほどをお考えで?」
「高く売れればよかったのですが、裏通りにある上にボロいのでなかなか売れないのですよ。ですから……、1000万マネーでどうですか?」
「1000万マネーですか。はい、いいですよ」
という感じだ。
スラちゃんの後をつけてから数時間で俺は物件を手に入れて、大家になった。超簡単にマネー製造物件を手に入れることができた。
◇
「大家になったぞ」
俺はボロアパートの庭で胸をでんと張って、スラちゃんとちみっこ妖精に宣言した。
スラちゃんとちみっこ妖精は互いに相手の顔を見ると(スラちゃんはどこが顔かよく分からないが)、
「やったよー、これでアパートを追い出されないで済むんだ~~~。やっほー」
「スラ、スラ、スラ~~~~~」
はしゃぎにはしゃぎだした。
スラちゃんは相変わらず、ぷにぷにふにふに、庭をジャンプして走り出し、その後をちみっこ妖精はかわいい羽根でパタパタと追いかけている。
あっ、スラちゃんが急に止まるから、スラちゃんの背中?にちみっこ妖精がぶつかって地面に落ちた。
「いててて、もー、スラちゃん。急に止まると。危ない~~~」
ちみっこ妖精は地面にお尻をついて、いたたたとさすっている。
「スラー↷」
スラちゃんは、しゅんとした感じでごめんなさいとしているようだ。
それでも二人はなんだか、ニンマリとしている。家がなくなることがよっぽど心配だったようだ。大きな心配ごとが減ったから、気持ちに余裕ができたのかもしれない。
そりゃそうだろうな。。
俺だって、あんなに残業残業また残業のブラック企業で働いていたのは、住んでいる賃貸の部屋を維持するためというのが大きかったしな。
まるでメルヘンの物語の中に飛び込んだような光景だけど、もちろんこれは商売だ。一人と一匹の家賃がどうなっているか聞いとかないとな。。。
「はしゃいでいるとこ悪いんだが、このアパートの家賃はどうなってるんだ?」
「家賃? あ~~~、あれのことかな~」
「スラ~~~? スラー、スラ~」
あれのことかな~、だと。なんか嫌な予感がしてきた。普通は家賃の支払いで、あれのことかな~、なんてないはずだ。
「そうだ。部屋を借りているんだから、大家に月一でマネーを払っていたんじゃないのか?」
「月一でマネーなんて払ってなかったよ~~。大家さんにはわたちが集めているお花の蜜をたまにおすそ分けしてたの~」
「な、なに~。お花の蜜だと。お花の蜜なんかで大家さんいいって言ってたのか?」
「そうだよ~。お花の蜜だよー。大家さん、わたちが集めてくるお花の蜜とってもおいしいって言ってくれてたんだよー」
俺は本当に仰天した。それはそうだろう。ちみっこ妖精にいくら家賃払ってるの?と聞いたら、帰ってきた答えがお花の蜜だとよ。それで驚かないやつがいたら見てみたいくらいだ。
「ス、スラちゃんは?」
まったくあてにはできなかったけど、俺はスラちゃんにも聞いてみた。
「スラー。スラ、スラ、スラー」
「なんて言ってるんだ?」
「スラちゃんは大家さんに拾われて、ペットになったの~。だから、たぶん何も払ってないよー。わたちもスラちゃん語は分からないけど」
……、思っていた通りの回答だった。やはり、スラちゃんはペット要因だった。
「ほかの住人は?」
「ほかの住人? いないよ~。ここに住んでいるのはわたちとスラちゃんだけだよー」
◇
俺は大家になった。
ただし、家賃はマネーではなくて、ちみっこ妖精がたまに持ってくるお花の蜜だけ。
いや、スラちゃんはふにふにぷにぷにと俺に癒しをくれるから、一応それも家賃の一部なのかな~。
まあ、いいか。本当にちみっこ妖精が持ってくる花の蜜おいしいかもしれないし。
よ~し、不労所得目指して頑張るぞー。
≪ピロリーん。ボロアパートを手に入れた≫
◇
【ヒロセの持ち物】
1000万マネーのボロアパート、現金 9068万マネー
【ボロアパートから入ってくるお金?】
プラス:たまにお花の蜜、スラちゃんの癒し
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