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1章

13話.天国か地獄か (※12話と全く同じ内容を誤って投稿していたので修正しました)

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よく寝たな……。そろそろ起きないと。 

 んん……。身体が重たいな。

  かなり疲れていたのかな? 背伸びをしようとしてふと違和感に気づく。

  そう、腕が上がらないのだ。 仕方ない、もう一度寝よう……。 っていかんいかん、今日はゼウリアスに行く日だ、気を引き締めないとだ。

  重たい身体に鞭打って起き上がろうとする。しかし金縛りにあったかのように動けない。

 
  正・確・に・は・全・身・に・誰・か・が・覆・い・か・ぶ・さ・っ・て・い・る・よ・う・な・、・そ・ん・な・感・覚・だ・。・ 


 それをどかそうと右手を動かす。 

 むにゅむにゅ。 

 弾力があり何故か中毒性がある。 

 むにゅむにゅ。

  左手を動かすと右手とは違った感触。 


「んっ……」

「あっっっ……」 


 左右から色っぽい声が聞こえてきて、だんだんと目が冴えてける。

  まさか……最悪の事態が頭の中を埋めつくし、恐る恐る右を見てみる。

  バハムートさんが僕の右手を抱き枕にし、その大きな胸の平に指が置かれている。

  バハムートさんって意外と巨乳だったんだな。へたしたらミユよりもデカいんじゃないか? そんな馬鹿なことを考えながら、反対も見てみる。 

 当然のようにミユが同じように抱きついている。

  まさか師匠とユナまで抱きついてないよね? 師匠はまだ分かるがユナは曲がりも何もこの国の第三王女だ。

  この事が外に広まれば僕は国民の人達に切り殺されるのでは……と心配になる。

  寝る前までは部屋に居たけど流石に自分の部屋に戻っているだろう。 

 絶対にそうだ、ユナは王女……だから足に重みがあるのも気のせいだ。 うん……気のせい……気のせい。 

 そう考えながら、下を向く。 すると当然かのように師匠と王女様が居るではないか。 


「なんで全員が抱きついてるんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?!?! 」 


 朝一番の大絶叫である。
 いや嬉しいか嬉しくないかで言ったら嬉しいに決まってるよ!? だけど朝起きたら両腕両足に可愛い女の子が抱きついてるなんて少しホラーだよ!? 


「朝からうるさいのぅ……もう少し静かにせんか……」 

「あら、もう朝ですか……ユリア様、おはようございます」


  僕の大声で目が覚めてしまったのかバハムートさんとミユが眠たそうな声で起きてくる。


 「ああ、おはよう」


  ミユはメイドの時の癖が染み付いたのか起きるのが早い。 いつも僕のために早起きして、ご飯を作ってくれたり着替えを用意してくれたりしていた。 ……本当に僕なんかには勿体ないメイドさんだ。

  僕を信じて着いてきてくれたからには絶対に苦労はさせないし幸せにしてあげたい。 


「そんなにじっと見られると照れちゃいます……」 

「ご、ごめん!! 」 


 恥ずかしそうに口元を服の裾で隠しながら小声でそう言ってくる。 

 そんなミユに僕は反射的に謝ってしまう。 


「ユリア様ーー」

 「ふわぁ……。あれ?弟子君もう起きてたの?ってミユも起きてる……」 


 ミユが何かを口にしようとしたと同時にアリスがもぞもぞと起きてくる。 


「師匠、おはようございます。 っ、ミユ何か言おうとしーー」 

「な、なんでもありません!!?」


  気のせいだったか。 あとはユナだけだが……。 


「すぴーすぴー」


  幸せそうな寝顔で眠っていて微笑ましい。 ……僕の脚に抱きついて寝ているのを除けばだが。 

 起こすか悩んでいると コンコンッと音がなり、寝室のドアが開くーー 

 やばい、この状況を誰かに見られる訳には!?


「わざわざ起こしに来てあげたわよ、って……ばかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!! 」 


 ああ、アリスさん!?誤解です!! 

 いや、逆にアリスさんで良かったよ。

やっぱよくねええええ!!


「なんで友達の私には手を出さないでユナ王女に手を出すのよ!?逆ヘタレって呼ぶわよ!?!?もう知らないんだから! 」 


 そう言うと走り去ってしまった。 やばい……絶対誤解されてるよね!? 急いで追いかけないと。 


「おはようごじゃいましゅ……」 


 ユナが丁度起きてくれた。 そうだ、ユナからアリスに説明してもらおう。 ただ一緒に寝ただけだって。
……はい、問題でした。


 「なぁ、ユナ!って……どうしたの? 」


  顔を背けられ体育座りをして丸まっており、耳も赤い。 体調が悪いのかなと思い声をかけるが反応が無い。 そして五分の沈黙の後、 


「さ、さぁ!お父様に挨拶しに行きましょう! 」


  元気を取り戻した(?)ユナの言葉に 


「なんか結婚の挨拶みたいだな」 


 と、からかうと、ユナだけでなくこの場にいる皆がザッ!と音が鳴る勢いでこちらを見てきたのは少し……いやかなり恐怖を感じた。 

 やはり慣れてない事は言うものではないな。
僕は冗談とやらが下手らしい。

 パチンと頬を軽く叩いて目を覚ます。集中しないと。
ーーー今日は昨日見つけたスキルを皆に披露する日でもあるんだから。
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