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CASE12 異世界からの来訪者
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それから、レオンがこっそりアゲハの後をつけたけど、、マスターがやってるバー(今は昼だからコーヒーの店)に行ったんだって。
エドガーとギルバートさん・ゼロさんはそれぞれの仕事に戻って
アゲハが帰ってきたのは、外が真っ暗になった頃だった。
「アゲハ遅いよ!ご飯食べちゃったよ?」
すかさずアイさんがアゲハを捕まえたけど、一瞬、アゲハが怯えた顔をしたのを私は見逃さなかった。
「ごめん。食べてきたから……今日は早めに休むよ」
「えーっ!つまんないっ!!」
アイさんをかわして私とレオンには挨拶なしで部屋に戻ったアゲハ。
あからさまに避けられたから、レオンももう苦笑いしかできない感じだった。
**********
それから、私はずっと部屋には戻らなくて、レオンと一緒に夜中まで起きていた。
約束はしていないけど、エドガーが来るって思ったから……。
案の定、エドガーは日付が変わる頃にゼロさんと一緒にやってきた。
二人とも疲れた様子だったけど、それでも来た理由ってひとつだよね。
「アゲハは?あれからどうだった?」
ゼロさんは眠たそうに聞いてきた。
「夜に帰ってきて部屋に直行」
レオンが答えると「想定内」ってゼロさんが言って、それから大きな欠伸をしてからまた魔法で戻っていった。
残ったエドガーはちょっと引きつった顔で私の腕を掴んだ。
「さぁ…ソラは私と一緒に………」
意味は分かったから黙って着いていって
二人でアゲハの部屋の前。
ノックをしてしばらくしたらアゲハが顔を出してくれてた。
夜中だからか黙ってドアを大きく開けて招き入れてくれた。
ベッドの上には本が何冊か置いてあったから、読書中だったのかな?
「あのね、今日はごめん。ムカつくとか言った事……」
隣の部屋ではアイさんが寝てるから、迷惑にならないように小声で謝った。
「気にしないで。俺も悪いんだから」
そう言ったアゲハはちょっと元気なさそうで、散らかった本を片付けていた。
「アゲハ……私も、すまなかった。頬は……腫れなかったか?」
エドガーも気まずそうに謝ったら、アゲハがエドガーの目の前に行っていつもみたいに笑った。
「俺もごめんね。エドガーが心配してくれてるのは知ってたのに……。あと、顔は大丈夫」
「アゲハがあの女を前にして冷静でいられるとは思っていない。……けど、またアゲハが一人で決めてどこかへ行ってしまうのではないかと……そう、思ったよ」
そう言ってアゲハを抱きしめてて
なんか、ようやくいつものエドガーを見た気がするよ。
それから、久しぶりに三人でベッドに並んだんだけど全く眠たくなくて
色々な話をしている中で、アゲハが「父親に殴られたのは生まれてはじめて」って言ったから、エドガーがものすごい喜んでいた。
“父親”って言葉に反応してなんだけど、もう何回もアゲハはエドガーを父親って呼んでると思う。
何回言われても嬉しいんだね。
「エドガーならもっとアゲハを心配して『大丈夫か!?』とか言いながら駆け寄ると思ったのに……殴るのはビックリしたよ」
「確かに……俺もビックリしたけど、目が覚めたって感じがしたよ?それに、エドガーには口煩いくらい言われていた事を何一つ守らなかったんだし、まぁ怒られて当然かと」
アゲハはもう気にしていないみたいだし、落ち着いた様子だったから安心した。
きっと、心中穏やかって訳じゃないだろうけど……笑う余裕があるから大丈夫かな?
そのままアゲハの部屋で久しぶりに寝て
途中で起きることもなく、朝を迎えた。
私が起きた時間にはすでにアゲハは起きていたけど、目元にクマはないし、元気そう。
「おはよう。今日はありがとう。おかげで良く寝れたよ」
アゲハの言葉はたぶん嘘じゃない。
そう思えるくらい今日は元気そうだったから安心した。
エドガーとギルバートさん・ゼロさんはそれぞれの仕事に戻って
アゲハが帰ってきたのは、外が真っ暗になった頃だった。
「アゲハ遅いよ!ご飯食べちゃったよ?」
すかさずアイさんがアゲハを捕まえたけど、一瞬、アゲハが怯えた顔をしたのを私は見逃さなかった。
「ごめん。食べてきたから……今日は早めに休むよ」
「えーっ!つまんないっ!!」
アイさんをかわして私とレオンには挨拶なしで部屋に戻ったアゲハ。
あからさまに避けられたから、レオンももう苦笑いしかできない感じだった。
**********
それから、私はずっと部屋には戻らなくて、レオンと一緒に夜中まで起きていた。
約束はしていないけど、エドガーが来るって思ったから……。
案の定、エドガーは日付が変わる頃にゼロさんと一緒にやってきた。
二人とも疲れた様子だったけど、それでも来た理由ってひとつだよね。
「アゲハは?あれからどうだった?」
ゼロさんは眠たそうに聞いてきた。
「夜に帰ってきて部屋に直行」
レオンが答えると「想定内」ってゼロさんが言って、それから大きな欠伸をしてからまた魔法で戻っていった。
残ったエドガーはちょっと引きつった顔で私の腕を掴んだ。
「さぁ…ソラは私と一緒に………」
意味は分かったから黙って着いていって
二人でアゲハの部屋の前。
ノックをしてしばらくしたらアゲハが顔を出してくれてた。
夜中だからか黙ってドアを大きく開けて招き入れてくれた。
ベッドの上には本が何冊か置いてあったから、読書中だったのかな?
「あのね、今日はごめん。ムカつくとか言った事……」
隣の部屋ではアイさんが寝てるから、迷惑にならないように小声で謝った。
「気にしないで。俺も悪いんだから」
そう言ったアゲハはちょっと元気なさそうで、散らかった本を片付けていた。
「アゲハ……私も、すまなかった。頬は……腫れなかったか?」
エドガーも気まずそうに謝ったら、アゲハがエドガーの目の前に行っていつもみたいに笑った。
「俺もごめんね。エドガーが心配してくれてるのは知ってたのに……。あと、顔は大丈夫」
「アゲハがあの女を前にして冷静でいられるとは思っていない。……けど、またアゲハが一人で決めてどこかへ行ってしまうのではないかと……そう、思ったよ」
そう言ってアゲハを抱きしめてて
なんか、ようやくいつものエドガーを見た気がするよ。
それから、久しぶりに三人でベッドに並んだんだけど全く眠たくなくて
色々な話をしている中で、アゲハが「父親に殴られたのは生まれてはじめて」って言ったから、エドガーがものすごい喜んでいた。
“父親”って言葉に反応してなんだけど、もう何回もアゲハはエドガーを父親って呼んでると思う。
何回言われても嬉しいんだね。
「エドガーならもっとアゲハを心配して『大丈夫か!?』とか言いながら駆け寄ると思ったのに……殴るのはビックリしたよ」
「確かに……俺もビックリしたけど、目が覚めたって感じがしたよ?それに、エドガーには口煩いくらい言われていた事を何一つ守らなかったんだし、まぁ怒られて当然かと」
アゲハはもう気にしていないみたいだし、落ち着いた様子だったから安心した。
きっと、心中穏やかって訳じゃないだろうけど……笑う余裕があるから大丈夫かな?
そのままアゲハの部屋で久しぶりに寝て
途中で起きることもなく、朝を迎えた。
私が起きた時間にはすでにアゲハは起きていたけど、目元にクマはないし、元気そう。
「おはよう。今日はありがとう。おかげで良く寝れたよ」
アゲハの言葉はたぶん嘘じゃない。
そう思えるくらい今日は元気そうだったから安心した。
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