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第一章
第 参 話 三大禁呪魔法。
しおりを挟む「 コレ、禁呪魔法じゃないか…まったく魔王のヤツ 」
デュリオッツは呪文の詠唱とともに、右手の揃えた人差指と中指でルーン文字と、小型の八芒星魔法陣を4つ空中に描いてゆく。各々光を放つ魔法陣の中央部には、ブラックホールのような暗闇に繋がる孔がポツリと空いていた。
「 さすが、対魔神用の禁呪魔法だけはあるな 」
魔王は強い。
故に上位クラスの魔神候補として目をつけられ、日々ライバル潰しに来る『 別の魔王 』が存在するのである。そこで、護身の為に魔王に凶悪な攻撃魔法を授けたのだ。
昔、祖父から聞いた話では、魔界には魔王が99体、魔神が15体、魔神王は2体との存在が確認されていた。
しかし、現在の魔王はかなり数を減らしているはずである。
当時、祖父のパーティーが47体の魔王を討伐し、24体をこの自分の手で灰にしたからだ。
それでも、まだ存在する『 別の魔王 』の強襲には充分な警戒が必要だった。
デュリオッツは作業を続ける。
へばり付く4つの塊をフロアから剥ぎ取り、持参した4つの大きめな壺へ丁寧に詰め込み、封をしては空中で浮かぶ4つの魔法陣の孔へ、順番に収めていった。壺が放り込まれると、魔法陣が閉じた。
「 よし、完了 」
作業を終えたところで、エルスがやって来た。
「 デュリオッツ様、お茶のご用意が出来ております。どうぞこちらへ 」
「 ありがとう。頂くよ 」
テーブルには茶器と見慣れた菓子と苺のケーキが並べてあった。人間界の行商人アレスが嗜好品やら特産物を魔界に持ち込んで来るのだ。魔界では好評らしい。
すでに魔王が行儀良く椅子に座って、苺のケーキを目の前にお預けを食らっていた。
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