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夢に見る

3.

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「ま、確かに受ける決心はしたけどさ………」

俺は初めて足を踏み入れた王宮の壮大さに言葉を失った。
これ、絶対に迷子になるやつ………。入り口からして複数あるとか、最早何の罠だよって感じ。

自由になりたくて受けた文官試験に無事に合格して、俺は晴れて王宮勤務になりました。

マジかー………。

ゴクリと唾を飲み込み、ソルネスに貰ったペンダントをギュッと握りしめた。そして覚悟を決めた俺は自由に向けての一歩を踏み出したのだった。



「俺が室長のガンテ・クラウンだ」

案内された配属先の部屋には、ガタイの良い男が腕を組んで待ち構えていてビックリした。マジでビックリだ。
扉開けたら直ぐの場所に、強面の身長2m超えの男が居たんだぞ?本当にビビったから、2回言わせてもらうわ。

ってか、この人が上司?
え、文官なのか?………この人が?この体型で?

無言で見つめ合っていると、クスクス笑い声が響いた。

「ガンテったら、嬉しいからって張り切りすぎ!レイちゃん、驚いてるじゃない」

視線をずらすと、そこには真っ白な耳と尻尾を持つ猫の獣人がいた。うわ、めっちゃキレイなヒト………。

「うふふ、初めまして。私はルーデル。ルーデル・トムソン。今日から宜しくね」

パチンとウインクしてくる。俺はチラリとさり気なく視線をずらして…………。うん、男性だ。

「レイです。平民なので家名はありません。クラウン様、トムソン様、宜しくお願い致します」

施設で習った貴族向けの挨拶をすると、クラウン様はピシリと固まり、トムソン様はにこやかにでも視線が鋭く変化した。

え、コワ………。

「…………『ガンテ』だ。家名で呼ばなくていい(くっそ可愛いな、おい。オマエもそのうち『クラウン』だ!ボソッ)」

「私も『ルーデル』でいいわぁ。できたら『ルーデル先輩♡』って呼んでくれると更に嬉しい(孕ませた挙げ句、マトモに責任取らなかったクソ野郎の姓なんか名のんなくていいわぁ。ボソッ)」

「えぇぇ……っと?」

謎の熱量を感じて、一歩後退する。若干慄いているのを感じたのか、トムソン様改めルーデル先輩は優しく微笑んで、室内を案内してくれた。

「小さい部署なの。スタッフは私達とあともう2人。仕事は大雑把に言えば代筆ね。難しくはないけど速さと丁寧さが求められるわね」

コツン、と一つの机を指で軽く叩く。

「此処。貴方の机ね。今日はオリエンテーションだけだから、気楽にしてて」

始終ニコニコしてて穏やかなルーデル先輩に、色んな説明を受けながら、良い人達ばかりで安心しつつ明日から仕事頑張ろうと心に決めた。

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