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 汗ばむ肌と肌、フォルテの大きな手が己の熱杭とオレの杭をさする。互いに何度吐き出したのかわからない精。
 
 ――オレの体に幾つも残る赤いあと。

「ルテ……あっ、あぁあ…………ンンッ!」
「タヤ……クッ」

 息があがり、体力の限界がきて、いまにも眠りそうなオレの耳元で。

「後のことは私がするから、寝ていいぞ」
「あっ、……うん。ルテ、眠るまえにキスして」

「クク、タヤは愛しいな」

 眠るまえに、フォルテから優しいキスをもらい、オレは目を瞑った。

 

 ♱♱♱

 

 夏も中盤。フォルテは夏季休暇をもぎ取るために、執務に追われている。そのため、あの日からしばらく会えていない。

 オレは熊クマ食堂で働き、1人で簡単な冒険をしていた――なんだか、寂しいな。フォルテも今ごろ、オレと同じ気持ちかな? なんてな、初めての恋人に浮かれていた。

 会えないからと、2日おきに来るフォルテからの手紙に"会いたい""キスしたい"との文字を見て、オレは嬉しくなる。だから、オレからの手紙にも本音をつらねる。

(ルテ、俺も会いたいよ……夏季休暇、たくさん冒険して、遊ぼうな)

 恋人がいたことがない前世とは違い、このむず痒い気持ちに照れる。そして、2日まえ仕事終わりに来た手紙に「私以外の、他のものに回復魔法を使わないほうがいい」と、書かれていた。その事を。さっきまで熊クマ食堂にきていたロッサお嬢に、フォルテにこんな事を言われたと話した。

 ――すると、彼女は。

『私もフォルテ殿下の話に賛成するわ。タヤの回復魔法はこの世界では珍しいのだから、フォルテ殿下と私の前でならいいけど……他の人に使うのはよくないわ』

 と話し。訳のわかっていないオレに、詳しく"わけ"を話してくれた。

 なんでも、乙女ゲームにはフォルテのほかにも攻略対象がいて。一応。ヒロインポジのオレがその攻略対象と接触すると、フラグがたち。相手がオレに興味を持ち近寄ってくるのだとか。

 ――その5人はというと。

 ルテの側近、虎族、ロカ・トルマリーナ
 近衛騎士、豹族、カハ・アダマース
 ヒロインの幼なじみ黒兎族、マロ。
 学園の後輩の魔法使い、カルル・フェデリコ。

 そして隠しキャラ――隣国の狐族の王子、フォックス・クロキュス。

 転移したオレに故郷はないため、幼なじみのマロと。
 学園に通っていないから、後輩の魔法使いカルルにも会うことはないかも、と言われた。もちろんフォルテの側近と近衛騎士も、フォルテ殿下の恋人となったオレに言い寄りはしないだろう。
 
 だが、この中なかでイチバン気を付けないといけないのが、アルファの隣国王子フォックス。だけど、彼も学園に行っていないオレとの接点はないから、安心かなとロッサお嬢は言っていた。


 しかし、ロッサお嬢が言った"狐族"に心当たりがあった――マズイ。もう少し早く、この話をロッサお嬢から聞きたかった。

 なぜなら1週間まえに出た冒険。オレはシンガリア森の中で、狐族の男性のケガを回復魔法で治していたのだ。

(あの人が、ロッサお嬢が言っていた隣国のフォックス殿下かもしれない……)

『助けてくれてありがとう、恩に切るよ』

 彼に寄ってきた仲間は高級そうな防具着て、礼儀正しい話し方と立ち振る舞いが、ほかの冒険者と違っていた。そして彼が受けていたクエストは――オレとフォルテがクエストを受けて採取している、抑制剤を作るのに必要な薬草だった。
 
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