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「シシ、そこのお肉屋に寄ってもいい」
「肉なら、僕が獲ってくるが?」
そう言ってくれたシシの気持ちは嬉しいけど、違うのだと首を振る。シシは私の視線に気付き――ああ、そうかと納得して頷いた。
私が、王太子妃のときに身につけた鑑定と悪食のスキル。この2つのスキルで魔物肉の毒の箇所、毒の種類を見分け取り除ける。
今、肉屋の店先に見えたヘビの魔物肉。この店の店主の下処理が甘く、取り除かれていないその肉に毒がモヤモヤと見えた。このヘビの肉を買って食べた人は吐き気、熱、お腹いたといった症状が起きる――非常に危ない毒の肉だ。
ケーキ屋から出てすぐ、チェルはシシに抱っこされて眠ってしまった。チェルはいちど眠ってしまったら起きないけど……いまから肉屋の店主とする会話を聞かせたくないので、遮音の魔法をかけてから肉屋の店主に話しかけた。
「おじさん! そのヘビの肉……この店で扱わない方がいいよ」
「あ? 何だね、君たちは?」
いきなり話しかけられて困惑する店主に、シシは周りには聞こえない、小さな声で伝えた。
「そのヘビの肉、解体が上手くいっていない。その肉に毒が残っている」
店主は私とシシに怪訝な表情を向けたが。――私のギルドガードと鑑定、悪食のスキルを見て納得してくれた。この鑑定と悪食スキルを持つものは少なく、魔物肉の毒の処理に重宝されるスキルだ。
「そのヘビのお肉を私が買うから、この鶏肉まけてくれない?」
「いいのか? あんたが、このヘビ肉を買ってくれるのかい? ありがとう……少し強引で、初めて見た冒険者から売りつけられた肉なんだ。その悪食スキルを持つ、アンタになら安心して売れるよ――正直、助かった」
ギルドカードとスキルを見たからか、店主に頭を下げられる。
「気にしなくていいわ。そのヘビ肉を売ったのは、見た事がない冒険者だったのね。その話、私が冒険者ギルドに伝えておきますね」
「ほんとうか、ありがとう」
肉屋でヘビの肉を買い、鶏肉をオマケしてもらったあと、私たちはその事を伝えに冒険者ギルドへ寄った。
眠ったチェルを抱っこしている、シシには外で待ってもらい。私はギルドの受付嬢に肉屋でのことを話した。受付嬢は困った表情を浮かべて、コッソリ教えたくれる。なんでも本日、新しい冒険者が3名この街に現れたと。
その冒険者たちはBランクとランクが高く、魔物討伐のクエストを受けたが。彼らの倒し方が雑なのか、腕前、慣れていないのか、魔物の損傷が激しく素材にならない。
とうぜん肉の処理もできていなかった。
「"買えない"と伝えましたら……ギルド内で騒ぎだしたので、冒険者の方にすこし多めに依頼料を払い。素材と肉はギルドマスターと話し合いをして、買い取りはお断りを入れさせていただきました」
「そうでしたか」
(魔物の倒し方が雑で、肉処理も下手……そのうえ乱暴者のか、厄介な冒険者ね)
「――ですが。その冒険者たちはギルドで売れなかった肉を、自分達で解体して肉屋に売りつけた。ギルドは人々の健康を守りたいのなら、ギルドで買い取った方が安全だと思いますが?」
「そうしたいのですが……」
受付嬢の表情は渋い。
――そうよね、ギルドも無料奉仕じゃない。使えない素材と肉は買わないだろう。
「わかった。その冒険者から買い取った素材と肉は私が買いとるわ。悪食スキルを持つ私なら、毒が付いた肉の解体ができるから」
受付嬢は「ギルドマスターと話してきます、しばらくお待ちください」と奥へと入って行った。
「肉なら、僕が獲ってくるが?」
そう言ってくれたシシの気持ちは嬉しいけど、違うのだと首を振る。シシは私の視線に気付き――ああ、そうかと納得して頷いた。
私が、王太子妃のときに身につけた鑑定と悪食のスキル。この2つのスキルで魔物肉の毒の箇所、毒の種類を見分け取り除ける。
今、肉屋の店先に見えたヘビの魔物肉。この店の店主の下処理が甘く、取り除かれていないその肉に毒がモヤモヤと見えた。このヘビの肉を買って食べた人は吐き気、熱、お腹いたといった症状が起きる――非常に危ない毒の肉だ。
ケーキ屋から出てすぐ、チェルはシシに抱っこされて眠ってしまった。チェルはいちど眠ってしまったら起きないけど……いまから肉屋の店主とする会話を聞かせたくないので、遮音の魔法をかけてから肉屋の店主に話しかけた。
「おじさん! そのヘビの肉……この店で扱わない方がいいよ」
「あ? 何だね、君たちは?」
いきなり話しかけられて困惑する店主に、シシは周りには聞こえない、小さな声で伝えた。
「そのヘビの肉、解体が上手くいっていない。その肉に毒が残っている」
店主は私とシシに怪訝な表情を向けたが。――私のギルドガードと鑑定、悪食のスキルを見て納得してくれた。この鑑定と悪食スキルを持つものは少なく、魔物肉の毒の処理に重宝されるスキルだ。
「そのヘビのお肉を私が買うから、この鶏肉まけてくれない?」
「いいのか? あんたが、このヘビ肉を買ってくれるのかい? ありがとう……少し強引で、初めて見た冒険者から売りつけられた肉なんだ。その悪食スキルを持つ、アンタになら安心して売れるよ――正直、助かった」
ギルドカードとスキルを見たからか、店主に頭を下げられる。
「気にしなくていいわ。そのヘビ肉を売ったのは、見た事がない冒険者だったのね。その話、私が冒険者ギルドに伝えておきますね」
「ほんとうか、ありがとう」
肉屋でヘビの肉を買い、鶏肉をオマケしてもらったあと、私たちはその事を伝えに冒険者ギルドへ寄った。
眠ったチェルを抱っこしている、シシには外で待ってもらい。私はギルドの受付嬢に肉屋でのことを話した。受付嬢は困った表情を浮かべて、コッソリ教えたくれる。なんでも本日、新しい冒険者が3名この街に現れたと。
その冒険者たちはBランクとランクが高く、魔物討伐のクエストを受けたが。彼らの倒し方が雑なのか、腕前、慣れていないのか、魔物の損傷が激しく素材にならない。
とうぜん肉の処理もできていなかった。
「"買えない"と伝えましたら……ギルド内で騒ぎだしたので、冒険者の方にすこし多めに依頼料を払い。素材と肉はギルドマスターと話し合いをして、買い取りはお断りを入れさせていただきました」
「そうでしたか」
(魔物の倒し方が雑で、肉処理も下手……そのうえ乱暴者のか、厄介な冒険者ね)
「――ですが。その冒険者たちはギルドで売れなかった肉を、自分達で解体して肉屋に売りつけた。ギルドは人々の健康を守りたいのなら、ギルドで買い取った方が安全だと思いますが?」
「そうしたいのですが……」
受付嬢の表情は渋い。
――そうよね、ギルドも無料奉仕じゃない。使えない素材と肉は買わないだろう。
「わかった。その冒険者から買い取った素材と肉は私が買いとるわ。悪食スキルを持つ私なら、毒が付いた肉の解体ができるから」
受付嬢は「ギルドマスターと話してきます、しばらくお待ちください」と奥へと入って行った。
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