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二十九
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カウンター上に散らばるパン……
(ナサ、いくら包んであるからって、大雑把、過ぎ)
「おお、どのパンも美味そうだ、これがいい美味そう」
そう言って、ナサの取ったパン。
「あ、それはわたしのだからダメ」
「はぁ? どれでも一つ、いいって言ったろ」
たくさんあるパンの中から、わたしの好物の卵パンをナサが選ぶなんて。コロッケパンとか、ナポリタンパンとかもあるのに。
「ナサ、そのパンにするなら、お願い、一口だけ残して」
シ、シシわかったと、卵パンを半分にしてお皿に置いてくれた。半分の卵パンを食べ終えたナサは、次にホットドッグを手に取り。
「これも、すげぇ美味そう、半分もらうぞ」
「あ、ナサ!」
止める前にいい音を立てて、パリッと、ホットドッグを美味しそうに半分だけかじった。
「うまっ、ソーセージがパリッとして、ジューシーだ。リーヤ、これで一個な」
一個? まっいいか、美味しいって可愛い表情しているし。
「リモーネ君も、どれかパン食べる?」
「僕もいいのか?」
『いいよ』と頷くと、リモーネ君はクロワッサンの生地に、チョコを挟んだチョコクロワッサンを選んだ。
「これをいただく」
「どうぞ、はい、コーヒー」
コーヒーと、取り皿を彼に渡した。
「ありがとう、このチョコパンも半分残すか」
「是非、お願いします! ……あ、ううん、リモーネ君、食べて」
二人に食べていいと言いながら、半分という言葉に反応するわたし。……食いしん坊丸がわかりで恥ずかしい。
「シッシシ、リーヤの食いしん坊」
「な、ナサ、笑わないの」
ナサの前にコーヒーを置いて、その隣に自分のコーヒーを置いて、倉庫で在庫チェック中のミリアに声をかけた。
「ミリアさんもパン食べますか?」
「いま手が離せないから私は残ったらでいいよ。リーヤは早くお昼食べて、こっちを手伝って」
「はーい」
カウンターに座る二人の間に座り、まずはホットドッグにかぶりついた。シャキシャキなキャベツにパリッとはじけるソーセージ、ケチャップにマスタードが良い組み合わせ。
「ンン、ソーセージ、プリプリで美味しい!」
「リーヤの、でかい口」
「うるさい! このホットドッグ、ナサの言う通り美味しい」
もう一口食べようとして二人の視線に気づく、ナサはシッシシと笑い過ぎで、リモーネ君はジッと見すぎ。
「リイーヤはどれも、美味しそうに食べるな」
「ええ、どのパンも美味しい。さすが中央区で人気のパン屋だわ」
フッとリモーネ君の口角が上がった。珍しい、学園では厳しい表情ばかりで余り笑わなかった、彼の和らいだ表情を久しぶりに見た気がした。
「なあ、リーヤ、今度ホットドッグ作って」
「ホットドッグ? いいよ、家で何度か練習してからね」
と、ナサに入ったけど。
(ホットドッグは何度か家で練習してるんだ……ミリアさんのホットドッグが美味しかったから、わたしも作りたくて)
千切りキャベツを塩胡椒で炒めて、ソーセージと刻んだピクルスを乗せるホットドッグと、ケチャップとマスタードのシンプルなホットドッグを作ったことがある。
(ソーセージはパリッとしなくて、すごく味も微妙で……落ち込んだ思い出がある)
「時間があるときでいいから、作って持ってきて。オレが味見してやるよ」
「ほんと、味見は助かるわ。いつ、作っても微妙なの」
「シッシシ、微妙か……どんなのが出てくるか、楽しみだな」
ニヤリと笑うナサに、絶対美味しいものを作ると気合が入った。リモーネはコーヒーとパンを食べ終えると、懐から懐中時計を出して時間を確認した。
「その話だと、リイーヤは料理するのか?」
「うん、するよ。ここ、ミリア亭に【気まぐれ定食】という、わたしのセットメニューがあるの」
「【気まぐれ定食】か……それは昼なのか?」
「うん、そうだよ」
「わかった、明日の昼か……」
リモーネは剣を持ち、カウンター席から立ち上がった。
「リイーヤ、コーヒーとパン美味かった。お代は?」
「お代はいいよ、今日はわたしの奢り」
「そうか、ありがとう。僕は仕事に戻るよ」
優しい表情と彼の手がわたしの頭を撫でた。リモーネがミリア亭を出たと同時に、アサト達がカランコロンと店に入ってきてた。
(ナサ、いくら包んであるからって、大雑把、過ぎ)
「おお、どのパンも美味そうだ、これがいい美味そう」
そう言って、ナサの取ったパン。
「あ、それはわたしのだからダメ」
「はぁ? どれでも一つ、いいって言ったろ」
たくさんあるパンの中から、わたしの好物の卵パンをナサが選ぶなんて。コロッケパンとか、ナポリタンパンとかもあるのに。
「ナサ、そのパンにするなら、お願い、一口だけ残して」
シ、シシわかったと、卵パンを半分にしてお皿に置いてくれた。半分の卵パンを食べ終えたナサは、次にホットドッグを手に取り。
「これも、すげぇ美味そう、半分もらうぞ」
「あ、ナサ!」
止める前にいい音を立てて、パリッと、ホットドッグを美味しそうに半分だけかじった。
「うまっ、ソーセージがパリッとして、ジューシーだ。リーヤ、これで一個な」
一個? まっいいか、美味しいって可愛い表情しているし。
「リモーネ君も、どれかパン食べる?」
「僕もいいのか?」
『いいよ』と頷くと、リモーネ君はクロワッサンの生地に、チョコを挟んだチョコクロワッサンを選んだ。
「これをいただく」
「どうぞ、はい、コーヒー」
コーヒーと、取り皿を彼に渡した。
「ありがとう、このチョコパンも半分残すか」
「是非、お願いします! ……あ、ううん、リモーネ君、食べて」
二人に食べていいと言いながら、半分という言葉に反応するわたし。……食いしん坊丸がわかりで恥ずかしい。
「シッシシ、リーヤの食いしん坊」
「な、ナサ、笑わないの」
ナサの前にコーヒーを置いて、その隣に自分のコーヒーを置いて、倉庫で在庫チェック中のミリアに声をかけた。
「ミリアさんもパン食べますか?」
「いま手が離せないから私は残ったらでいいよ。リーヤは早くお昼食べて、こっちを手伝って」
「はーい」
カウンターに座る二人の間に座り、まずはホットドッグにかぶりついた。シャキシャキなキャベツにパリッとはじけるソーセージ、ケチャップにマスタードが良い組み合わせ。
「ンン、ソーセージ、プリプリで美味しい!」
「リーヤの、でかい口」
「うるさい! このホットドッグ、ナサの言う通り美味しい」
もう一口食べようとして二人の視線に気づく、ナサはシッシシと笑い過ぎで、リモーネ君はジッと見すぎ。
「リイーヤはどれも、美味しそうに食べるな」
「ええ、どのパンも美味しい。さすが中央区で人気のパン屋だわ」
フッとリモーネ君の口角が上がった。珍しい、学園では厳しい表情ばかりで余り笑わなかった、彼の和らいだ表情を久しぶりに見た気がした。
「なあ、リーヤ、今度ホットドッグ作って」
「ホットドッグ? いいよ、家で何度か練習してからね」
と、ナサに入ったけど。
(ホットドッグは何度か家で練習してるんだ……ミリアさんのホットドッグが美味しかったから、わたしも作りたくて)
千切りキャベツを塩胡椒で炒めて、ソーセージと刻んだピクルスを乗せるホットドッグと、ケチャップとマスタードのシンプルなホットドッグを作ったことがある。
(ソーセージはパリッとしなくて、すごく味も微妙で……落ち込んだ思い出がある)
「時間があるときでいいから、作って持ってきて。オレが味見してやるよ」
「ほんと、味見は助かるわ。いつ、作っても微妙なの」
「シッシシ、微妙か……どんなのが出てくるか、楽しみだな」
ニヤリと笑うナサに、絶対美味しいものを作ると気合が入った。リモーネはコーヒーとパンを食べ終えると、懐から懐中時計を出して時間を確認した。
「その話だと、リイーヤは料理するのか?」
「うん、するよ。ここ、ミリア亭に【気まぐれ定食】という、わたしのセットメニューがあるの」
「【気まぐれ定食】か……それは昼なのか?」
「うん、そうだよ」
「わかった、明日の昼か……」
リモーネは剣を持ち、カウンター席から立ち上がった。
「リイーヤ、コーヒーとパン美味かった。お代は?」
「お代はいいよ、今日はわたしの奢り」
「そうか、ありがとう。僕は仕事に戻るよ」
優しい表情と彼の手がわたしの頭を撫でた。リモーネがミリア亭を出たと同時に、アサト達がカランコロンと店に入ってきてた。
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