規約違反少女がマッチングアプリで無法すぎる!

アメノヒセカイ

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9章 驕り少女が我儘すぎる!123~

エピソード3 キヌイという少女

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 休日。人気の少ない小さな公園で。
「きゃははは。一番貢いでくれたのは、君か。よしよし」
 薄赤色の髪。お団子ツインテール。夏のようなワンピースを着た少女が、跪く三人の男を見ている。
 そのなかの一人に近づくと頭を撫でた。
 それから手を合わせて擦る。
 小さな背負いバッグからウエットティッシュを取り出した。
 ゆっくり手を拭く。
「顔を上げて。プレゼントは五万円以上。出せないなら次は会わない。全然稼げないざこは要らないんだけどな。じゃーねー」
 キヌイは振り返った。
 背を向けた瞬間、男の一人が拳に力を入れて助走を付ける。
「ざあこ。私に逆らっちゃだめだよ。弟が今高校生で、野球部か。ふーむ、私に喧嘩売って大丈夫? 私、壊しちゃうの君だけじゃないよ?」
 男は泣き崩れた。
 キヌイはスマホを開いて通知を見る。
「きゃは。男なのに泣き虫だね。ふーむ、またアカウント停止か。やるね、トアオは。わざわざ人のアカウントを乗っ取るのにすぐに気づくなんて惚れ惚れしちゃう。邪魔だ」
 キヌイは駅まで歩く。
 電車で移動し、さらに駅を出て人通りの少ない裏路地へ。
「怖い、怖い」
 閉店の看板を見るとスマホで写真を撮った。
「きゃはは。もしかして?」
 キヌイは十五分ほど歩く。
 閉店の看板があった。
「最近はアキトヨも大忙しか。で、シュイロも傷ついているだろうし。でもシュイロの仲間がどこまでかだね。最近まで、トアオ、アキトヨ、カワクロのはずだけどー、シフユやメリアも仲間な気がする。せっかくシフユとメリアを敵対させるチャンスだったのにヒウタって人間が邪魔」
 キヌイは柄の悪い通りを抜けると、小さな雑貨の店に入った。
 店主の男が頭を下げると、キヌイは店の裏に進む。
 そこに置いてある紙袋から服を取り出した。
 花の柄のワンピースだ。
「うーむ、作り直し! 嫌なところはないけど、気に入るところもない。残念ってことでよろしく」
 キヌイは店主を呼び出す。
 平手で店主の頬を叩く。
パンッと弾けるような音がした。
「やり直し。かわいくない」
「も、申し訳ございません!」
「いじめるつもりはないよ。はい、百万円あげる。全部作り直しね」
「申し訳ございません」
 キヌイは鼻歌を歌いながら店を出る。
 すると、筋肉質のサングラスを付けた三人組と衝突した。
「痛いな。骨折れたんじゃね」
「そんなんで折れるか!」
「おいおい。それよりその女、めちゃくちゃかわいくね?」
 キヌイは男の一人に近づくと、その胸板に手を置いた。
「強いそう。ほしい」
「あ、お、お姉さん」
 男は頭を掻いて照れるのを隠している。
 キヌイは気にせずに、続いて男の目をじっと見た。
「よし、飼おう」
「?」
「ふーむ、よしよし」
 キヌイは頷く。
「アルバイトお疲れ様。まさか義理堅い君が世話をしてくれた方の顔に泥を塗るわけにはいきませんよね。あなたの家の住所は、……」
 顔に疑問を浮かべていた男たちだが、キヌイが話すにつれて怒りで顔を赤くする。しかし、境遇や家族関係、交友関係、恋人の話になると男たちは真っ青になって動かなくなった。
「で、飼おうって思ってるの。どうかな」
「なんで俺たちのこともそんなにも知って」
「悪い人みたいね。けど、本物に手を出すのはやめた方がいいけどねー。ざあこ」
 男たちは頭の処理が追い付かずに立ったまま動かない。
 痺れを切らしたキヌイは男の靴を踏んで、ぐりぐりと回すように押し付けた。
 男は痛みを堪えている。
「連絡先くらい知ってるけど、君たちから教えてほしいわ。友好の証ね、一応。きゃはは」
 連絡先を受け取るとキヌイは上機嫌になった。
 るんるんとスキップをしながら駅へ向かう。
「シュイロか。ヒウタを料理すればすぐに出てきてくれるっぽいねー。でもメリアとシフユもシュイロ側だとしたら。私の邪魔ができる少数派の方々には消えてもらわないと」
 スマホを開いてアルバムを見る。
 遊園地にて、大きめの麦わら帽子を被ってソフトクリームを食べる幼いキヌイと、キヌイを大事そうに抱きしめる少年。
「お兄様が堕落してしまったのはシュイロのせい。あの女を愛人にするってどういう意味なのか。シュイロが誘惑したに違いない。私は許さない」
 キヌイは歌を口ずさみながら歩く。
 
 





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