政略結婚が恋愛結婚に変わる時。

美桜羅

文字の大きさ
62 / 125
すれ違う二人

4

しおりを挟む
…本当に。

馬鹿じゃないのか。

あんだけ。



俺はそれまで何も話さなかった部長の方へ向き直って深く頭を下げてから。

「…すみません。やっぱり早退します。今日の分の仕事は終わらせてありますから。失礼します。」

俺はそれだけ言うと、急いで瀬川の横を通り過ぎて自分の席に置いたままの荷物を素早く片付けてその荷物を手に持ち、走って会社から出た。






走って行く悠河の背中を見ながら。

少し嬉しくなる。

何て言うか。

人間らしさが増したというか。

そう思っていると。

いつのまにか俺の隣まで歩いて来て立っていた部長が。

「悠河君、変わったね。」

その言葉に、笑いながら。

「…はい。部長、あいつの奥さん、パーティーで見ました?」

「見たよ。綺麗で若い子だったね。」

俺は笑いながら。

「さすがの悠河も敵わずに、骨抜きにされたんじゃないですかねぇ。」

そう言うと。

部長は、
「本人は自覚してないみたいだけどね。」

そこだ。

そこが問題なんだ。

あいつは、とっくに。

なのに本人は気づいてないらしい。

それとも、認めたくないのか?

どちらにしろ、気づいて認めた時あいつはどうなるんだろう、と考えると笑みが止まらない。

すると部長が少し困った様な顔をしながら。

「ま、私も妻には頭上がらないしね。」

部長の言葉にまた笑いながら。

「…俺もです。」
と言った。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

自信家CEOは花嫁を略奪する

朝陽ゆりね
恋愛
「あなたとは、一夜限りの関係です」 そのはずだったのに、 そう言ったはずなのに―― 私には婚約者がいて、あなたと交際することはできない。 それにあなたは特定の女とはつきあわないのでしょ? だったら、なぜ? お願いだからもうかまわないで―― 松坂和眞は特定の相手とは交際しないと宣言し、言い寄る女と一時を愉しむ男だ。 だが、経営者としての手腕は世間に広く知られている。 璃桜はそんな和眞に憧れて入社したが、親からもらった自由な時間は3年だった。 そしてその期間が来てしまった。 半年後、親が決めた相手と結婚する。 退職する前日、和眞を誘惑する決意をし、成功するが――

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜

橘しづき
恋愛
 姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。    私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。    だが当日、姉は結婚式に来なかった。  パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。 「私が……蒼一さんと結婚します」    姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。

【完結】この胸が痛むのは

Mimi
恋愛
「アグネス嬢なら」 彼がそう言ったので。 私は縁組をお受けすることにしました。 そのひとは、亡くなった姉の恋人だった方でした。 亡き姉クラリスと婚約間近だった第三王子アシュフォード殿下。 殿下と出会ったのは私が先でしたのに。 幼い私をきっかけに、顔を合わせた姉に殿下は恋をしたのです…… 姉が亡くなって7年。 政略婚を拒否したい王弟アシュフォードが 『彼女なら結婚してもいい』と、指名したのが最愛のひとクラリスの妹アグネスだった。 亡くなった恋人と同い年になり、彼女の面影をまとうアグネスに、アシュフォードは……  ***** サイドストーリー 『この胸に抱えたものは』全13話も公開しています。 こちらの結末ネタバレを含んだ内容です。 読了後にお立ち寄りいただけましたら、幸いです * 他サイトで公開しています。 どうぞよろしくお願い致します。

氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁

瑞原唯子
恋愛
王命により、アイザックはまだ十歳の少女を妻として娶ることになった。 彼女は生後まもなく始末されたはずの『厄災の姫』である。最近になって生存が判明したが、いまさら王家に迎え入れることも始末することもできない——悩んだ末、国王は序列一位のシェフィールド公爵家に押しつけたのだ。

この別れは、きっと。

はるきりょう
恋愛
瑛士の背中を見ていられることが、どれほど幸せだったのか、きっと瑛士は知らないままだ。 ※小説家になろうサイト様にも掲載しています。

ピンクローズ - Pink Rose -

瑞原唯子
恋愛
家庭教師と教え子として再会した二人は、急速にその距離を縮めていく。だが、彼女には生まれながらに定められた婚約者がいた。

フッてくれてありがとう

nanahi
恋愛
【25th Anniversary CUP】にて、最終ランキング3位に入りました。投票してくださった皆様、読んでくださった皆様、ありがとうございました! 「子どもができたんだ」 ある冬の25日、突然、彼が私に告げた。 「誰の」 私の短い問いにあなたは、しばらく無言だった。 でも私は知っている。 大学生時代の元カノだ。 「じゃあ。元気で」 彼からは謝罪の一言さえなかった。 下を向き、私はひたすら涙を流した。 それから二年後、私は偶然、元彼と再会する。 過去とは全く変わった私と出会って、元彼はふたたび──

処理中です...