2 / 43
語り、そして、付き合うまで
しおりを挟む
私、如月涼子は兄二人に、弟一人に両親という男家系に産まれた。
如月家の中で女子は母と私だけなので、そのせいか、母は私を一番よく可愛がってくれたような気がする。
口癖は「母さんの認めた人でなければ、結婚は許しませんよ!」であったのだ。
これが、中々に難しい。母のお眼鏡にかなう相手などいるのだろうか。
当然、小中と男子の友達と遊ぶというだけでも、母は激しく反応し、例え、子供だろうが睨んでいた。
そのため、男子の友達を呼ぶ時は、必ず母は家を空け、応対は常に父が担当していた。
父は強面で、一見すれば、ヤクザのように思われるかもしれないが、実はかなり柔和な人なので、初対面の人にはそれが驚かれる。
と、いうか、普通反対ではないか。そんな事を考えていると、引きこもりの二人目の兄が壁を叩いたので、私の思考は中断させられてしまう。
一人目の兄、幸樹は音楽会社の社員であり、尚且つ、そこそこ顔の売れているミュージシャン。そして、私の弟の元樹は才色兼備で優秀な中学3年生であるのに、どうして、二人目の兄だけこんな風になってしまったのだろう。
ちなみに、二人目の兄の名前は健司。
やはり、名前に『樹』が付かなかったのがいけなかったのだろうか。
思えば、父の名前も良樹である。
そう考えるとますます『樹』が付かなかったのが駄目なのだと思ってしまう。
ちなみに母の名前は『亜美子』である。
世間から見れば、大家族に支えられた私は平穏に過ごしていた。
小中もそれ相応の暮らしをし、地域のそこそこの高校に進学した。
そこの高校はそれなりに歴史もあり、進学実績もまぁまぁという程度である。
制服は男女共にブレザー。校舎は一応はプールも付いているそれなりに大きい高校である。
高校生活が始まると同時に、私は文化部に入り、授業が終わると同時に、そこで部活に励む。
そんな楽しくも充実した、学生生活を変えたのは、一人の男子生徒からの告白だった。
ある日、部活で練習をしていたら、仲の良い友達の高杉泉に呼ばれ、学校の校舎の裏側に呼び出された。
学校の校舎の裏側には、一人の男子生徒が立っていた。
中々に整った顔立ちをしており、眩いばかりの笑顔を浮かべた優しそうな風貌をした、少年はいきなり頭をかげると、私に手紙を差し出す。
「あ、あの……こ、この手紙を読んでください!そ、そして、手紙の返事を聞かせてください!」
そう言うと、彼は慌ててその場を去っていく。
後に残されたのは、それを呆然とした表情で眺める私と何故か、ニヤニヤとした表情を浮かべる高杉泉。
泉は私を肘で突くと、私に手紙を読むように催促していく。
私は泉に促されるままに手紙を読む。
すると、そこには在らん限りの想いを綴った文が書かれていた。
思わず、こちらが赤面するほどの内容だったが、それでも、彼の熱い想いは充分に伝わった。
そして、思った。少しだけなら、付き合ってあげても良い、と。
如月家の中で女子は母と私だけなので、そのせいか、母は私を一番よく可愛がってくれたような気がする。
口癖は「母さんの認めた人でなければ、結婚は許しませんよ!」であったのだ。
これが、中々に難しい。母のお眼鏡にかなう相手などいるのだろうか。
当然、小中と男子の友達と遊ぶというだけでも、母は激しく反応し、例え、子供だろうが睨んでいた。
そのため、男子の友達を呼ぶ時は、必ず母は家を空け、応対は常に父が担当していた。
父は強面で、一見すれば、ヤクザのように思われるかもしれないが、実はかなり柔和な人なので、初対面の人にはそれが驚かれる。
と、いうか、普通反対ではないか。そんな事を考えていると、引きこもりの二人目の兄が壁を叩いたので、私の思考は中断させられてしまう。
一人目の兄、幸樹は音楽会社の社員であり、尚且つ、そこそこ顔の売れているミュージシャン。そして、私の弟の元樹は才色兼備で優秀な中学3年生であるのに、どうして、二人目の兄だけこんな風になってしまったのだろう。
ちなみに、二人目の兄の名前は健司。
やはり、名前に『樹』が付かなかったのがいけなかったのだろうか。
思えば、父の名前も良樹である。
そう考えるとますます『樹』が付かなかったのが駄目なのだと思ってしまう。
ちなみに母の名前は『亜美子』である。
世間から見れば、大家族に支えられた私は平穏に過ごしていた。
小中もそれ相応の暮らしをし、地域のそこそこの高校に進学した。
そこの高校はそれなりに歴史もあり、進学実績もまぁまぁという程度である。
制服は男女共にブレザー。校舎は一応はプールも付いているそれなりに大きい高校である。
高校生活が始まると同時に、私は文化部に入り、授業が終わると同時に、そこで部活に励む。
そんな楽しくも充実した、学生生活を変えたのは、一人の男子生徒からの告白だった。
ある日、部活で練習をしていたら、仲の良い友達の高杉泉に呼ばれ、学校の校舎の裏側に呼び出された。
学校の校舎の裏側には、一人の男子生徒が立っていた。
中々に整った顔立ちをしており、眩いばかりの笑顔を浮かべた優しそうな風貌をした、少年はいきなり頭をかげると、私に手紙を差し出す。
「あ、あの……こ、この手紙を読んでください!そ、そして、手紙の返事を聞かせてください!」
そう言うと、彼は慌ててその場を去っていく。
後に残されたのは、それを呆然とした表情で眺める私と何故か、ニヤニヤとした表情を浮かべる高杉泉。
泉は私を肘で突くと、私に手紙を読むように催促していく。
私は泉に促されるままに手紙を読む。
すると、そこには在らん限りの想いを綴った文が書かれていた。
思わず、こちらが赤面するほどの内容だったが、それでも、彼の熱い想いは充分に伝わった。
そして、思った。少しだけなら、付き合ってあげても良い、と。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。
味のないお茶
恋愛
中学三年の終わり、俺。桜井霧都(さくらいきりと)は十年間片思いしていた幼馴染。南野凛音(みなみのりんね)に告白した。
十分以上に勝算がある。と思っていたが、
「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」
と完膚なきまでに振られた俺。
失意のまま、十年目にして初めて一人で登校すると、小学生の頃にいじめから助けた女の子。北島永久(きたじまとわ)が目の前に居た。
彼女は俺を見て涙を流しながら、今までずっと俺のことを想い続けていたと言ってきた。
そして、
「北島永久は桜井霧都くんを心から愛しています。私をあなたの彼女にしてください」
と、告白をされ、抱きしめられる。
突然の出来事に困惑する俺。
そんな俺を追撃するように、
「な、な、な、な……何してんのよアンタ……」
「………………凛音、なんでここに」
その現場を見ていたのは、朝が苦手なはずの、置いてきた幼なじみだった。
「また会おうね」と手を振る君は、なぜか泣いていた
たこす
恋愛
大学に通う電車の中で、一人の女性に一目惚れをした僕。
なんとか声をかけたいものの、臆病な僕はただ見つめることしかできなかった。
彼女との恋が始まった時、世界は甘く包まれる。
けれども、彼女には大きな秘密があった。
甘々&ちょっと切ないラブストーリーに挑戦しました。
最後はハッピーエンドです。
美月 ~芸能界の物語~
鎌倉結希
恋愛
**下に、『第1-3章のストーリーの要約』があります。この小説はどんな話か読めます。**
一見、文庫風の恋愛小説ですが、実はサイト1の大規模な『ハーレム』ストーリーと言えるかもしれません。
現実に基づき、感情を中心に描き、一話目からすぐ展開のある娯楽作ではありませんが、ストーリーの関係性の基礎として、続けて読んでいただけると深く楽しめると思います。違うタイプであれば他を探せますが、文芸的な『ハーレム』はこの作品しかありません。
島根の田舎から始まるこの小説の背景は芸能界です。ハラハラするだけではなく、裏側や闇もたっぷりあるストーリーなので、ゆっくりとした風景は深海に沈む前だけです。
カクヨムにも投稿しています。ユーザーの『近況ノート』にイラストもアップしています。
表紙のイメージ作成: waifulabs.com
痛みは教えてくれない
河原巽
恋愛
王立警護団に勤めるエレノアは四ヶ月前に異動してきたマグラに冷たく当たられている。顔を合わせれば舌打ちされたり、「邪魔」だと罵られたり。嫌われていることを自覚しているが、好きな職場での仲間とは仲良くしたかった。そんなある日の出来事。
マグラ視点の「触れても伝わらない」というお話も公開中です。
別サイトにも掲載しております。
私と彼の恋愛攻防戦
真麻一花
恋愛
大好きな彼に告白し続けて一ヶ月。
「好きです」「だが断る」相変わらず彼は素っ気ない。
でもめげない。嫌われてはいないと思っていたから。
だから鬱陶しいと邪険にされても気にせずアタックし続けた。
彼がほんとに私の事が嫌いだったと知るまでは……。嫌われていないなんて言うのは私の思い込みでしかなかった。
天道史奈は恋を知らない
瀬口恭介
恋愛
人と関わらずに学校生活を過ごしてきた御子柴束紗は、世間一般的に言う『ボッチ』だった。
そんな束紗はある日姉の友人で学校の人気者、完璧超人の天道史奈に目を付けられてしまう。
平穏な日々を送るはずだった束紗の学校生活は一変、一人の時間は天道史奈に埋め尽くされてしまった。
そんな状況を束紗は少しずつ受け入れるようになる。が、お互いに恋を知らず、好きという気持ちがどういうものなのか分からないまま仲が深まっていた。
これは、恋を知らない少年と少女が本物の恋愛を求める物語。
・この作品は小説家になろう様でも投稿しております。
・毎日二話ずつ更新します。
・ハッピーエンド予定です。
王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~
石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。
食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。
そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。
しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。
何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。
扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる