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サラマンダー・パシュート編
サラマンダーからの刺客
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突如、現れた弓と矢。こんなものが突如、現れたとすればあのホールディング一味が全滅したのも分かるような気がする。
彼は弓と矢を装備し、キリキリと弓の弦を引いていく。
彼の顔に浮かんでいるのは狂気。心底からこの殺人を楽しもうとしている顔だった。
男はその顔に恥じない笑顔で、次々と矢を放っていく。
矢は確かに、弾丸に比べれば発射速度は遅い。だが、それでも人間の視力で見切るのは難しいのだ。
まして、私は今まで弓にも矢にもあまり触れた事の無い人間だ。
触れた機会といえば、王宮から追放される以前、まだ姉妹が平等に育てられていた時に稽古の一環として弓矢を使った手解きを受けたくらいだ。
その時に弓矢と戦う際の対処法を教師に教えてもらったような気がするが、悔しい事に今の私の頭からはすっかりと抜け落ちていた。
そのため、今の私に出来るのは馬から落ちて、弓矢に巻き込まれないように馬の尻を飛ばし、その場から逃げさせる事が精一杯だった。
その様子を見て、目の前の男は舌舐めずりをする。
確かに、この男は鮫だ。海の上に投げ出された弱い人間を狩る鮫。
それが、あの男だ。恐らく、あの男が私に向かって躊躇する事は無いだろう。
説得も情に訴え掛ける行動も全てが無駄。
そう表現して良いだろう。あの男の人間としての良心は母親のお腹の中から出る際にそこに置き忘れていたと言っても良いだろう。
私が対峙している人間の分析をある程度まで終えた所に、私の頬を矢が掠める。
頬から赤い蛇のような一筋の血が出ているが、私は気にする事なく、銃を構える。
引き金を引き、目の前の男に向かって放つのだが、男は銃弾をあっさりと交わし、もう一度弓の弦を引き締めていく。
鋭い矢が私を狙う。だが、今度は怯まない。私は銃で弓を狙い男の持っていた弓を地面へと落とす。
男は撃たれた瞬間こそ、ウッと悲痛の声を上げたのだが、直ぐに持ち直し、ニンマリと笑うと、もう一度例の魔法で私に攻撃を加えようとしたのだが、その前に私は左手の掌を広げて、男の魔法を吸収する。
そして、左手の掌から拳銃を作り出す。
男の作った拳銃は二連式の強力な拳銃であり、かつてはウィリアム・ウィルソンが私を殺すために使用した拳銃であった。
「これで、決めさせてもらうわよ。皮肉なものね。あなたは自分で攻撃するはずの武器で殺されるなんて」
だが、あの男は私が拳銃を向けても尚、怯まずにニヤニヤとした顔で笑っていた。
「……どうかな。第一、お前が相手の魔法を奪って使えるのは一度だけ、継続して使い続ける事はできない。お前のその弱点はちゃーんと頭に叩き込んだからな」
男はニヤリと笑うと、今度はショットガンを作り上げ、私に大きくて太い銃口を向ける。
この男が何をする気なのかを私は即座に悟り、直ぐに体を転がしてその場から逃れていく。
直後に大きな音が聞こえて、私が先程まで立っていた木が吹き飛んでいたのだから、私が取った選択肢は決して間違いでは無いだろう。
私はカウンターの意味も込めて、目の前の男に向かって小型の二連式の拳銃を構えて撃ち殺そうとしたのだが、男はもう一度ニヤリと口元を緩める。
どうやら、このまま私を狙うつもりらしい。
だが、私が手に握っている小さな拳銃の引き金を引く方が早かったらしい。
男の左肩に弾丸が直撃し、地面にひっくり返ってしまう。
まるで、幼児がふざけていて転がった時のように大きくその場を回って転ぶ。
それでも、男は笑みを崩さない。ハッキリ言って、それが化け物のように思えて他ならない。
私が下唇を噛み締めて、相手を睨んでいると、男はそんな私の表情を悟ってか、ニヤリと笑う。明らかに馬鹿にしているような顔だ。
実に腹正しい事だ。どうして、こいつは死なないのだろう。化け物か何かなのか。
あの拳銃は小さな拳銃で体の中に食い込み、じわじわと死んでいくという少々悪趣味な拳銃なのだ。
常人ならば、あの男は耐え切れずに死んでいる筈だ。
男は肩を撃ち抜かれても、平気な顔で私の方へと向かって来る。
私は拳銃を構えて、男に向かって再度引き金を引こうとした時だ。
男は何を思い出したのか、手をポンと叩いて、森の中へと消えていく。
それこそ、声を掛ける間も無く森の奥へと消え去ったのだ。
一体、あの男の目的は何だったのだろうか。そんな事を考えながら、私は既にあの男の手によって死体となったホールディングを背中に乗せて運ぶ。
そして、右手で口笛を吹き、森の中に避難していた相葉を呼び出す。
愛馬が私の目の前に来ると、甘えて擦り寄って来る愛馬の頭を優しく撫でてやる。
それから賞金首の死体を背中に載せて馬を掛けて学院前の街の外に存在する警察署へと向かう。
学院前でホールディングの死体を引き渡し、森であった事を話すと、私の話を聞いてくれた保安委員の男性が顔を曇らせている事に気が付く。
「うーん、その話が本当だとすると、この後の首都の裁判所へと移送するのにも問題が出るかな」
「移送?」
「あぁ、ここらで捕らえた犯罪者を中央の裁判機関に引き渡すんだよ。その護送が明日行われる予定なんだ……」
その言葉を聞いて、私は中止を進言しようと試みる。
もしかすれば、あの男が私との戦いを中断したのも分かるような気がする。
あの男の目的な護送される犯罪者の護送車を襲う事だとすれば、その時まで体力を温存しておきたかったのだろう。
私はその事を中年の髭を生やした保安委員の男に進言したのだが、男は首を横に振る。
「こればっかりは規則だからな……すまん」
妹に頼んでこの護送を中止させてもらえないだろうか。いや、いくらこの国の王女の命令とは言え護送を延期したとすれば、この国の行政に大きな影響を及ぼす事になるだろう。
裁判官やら司法関係の人間が厳しく妹を追求するに違いない。
と、すればこの案は取れない。ならば……。
「お願いします!私を護送に加えてくれませんか!?」
その言葉を聞いて保安委員の男二人が顔を見合わせる。
二人の保安委員は顔を見合わせてから色々と話し合っていたらしいが、結局はそんな男が周囲に居る事に不安を覚えたのだろう。
私が護送に加わる事を喜んで許可してくれた。
少なくとも、これであの男が捕らえられている囚人を奪還するための敷居は高くなる筈だ。
私は学校に帰り、懸賞金の一部を渡すと、受け取った金で自分の取り分で学院前の武器屋で武器を散弾銃を購入する。
これで、あの男の武器にも少しは対処できるかもしれない。
私は武器屋の前の入り口の階段の上に座り、買ったばかりの散弾銃を撫でながらそう呟く。
彼は弓と矢を装備し、キリキリと弓の弦を引いていく。
彼の顔に浮かんでいるのは狂気。心底からこの殺人を楽しもうとしている顔だった。
男はその顔に恥じない笑顔で、次々と矢を放っていく。
矢は確かに、弾丸に比べれば発射速度は遅い。だが、それでも人間の視力で見切るのは難しいのだ。
まして、私は今まで弓にも矢にもあまり触れた事の無い人間だ。
触れた機会といえば、王宮から追放される以前、まだ姉妹が平等に育てられていた時に稽古の一環として弓矢を使った手解きを受けたくらいだ。
その時に弓矢と戦う際の対処法を教師に教えてもらったような気がするが、悔しい事に今の私の頭からはすっかりと抜け落ちていた。
そのため、今の私に出来るのは馬から落ちて、弓矢に巻き込まれないように馬の尻を飛ばし、その場から逃げさせる事が精一杯だった。
その様子を見て、目の前の男は舌舐めずりをする。
確かに、この男は鮫だ。海の上に投げ出された弱い人間を狩る鮫。
それが、あの男だ。恐らく、あの男が私に向かって躊躇する事は無いだろう。
説得も情に訴え掛ける行動も全てが無駄。
そう表現して良いだろう。あの男の人間としての良心は母親のお腹の中から出る際にそこに置き忘れていたと言っても良いだろう。
私が対峙している人間の分析をある程度まで終えた所に、私の頬を矢が掠める。
頬から赤い蛇のような一筋の血が出ているが、私は気にする事なく、銃を構える。
引き金を引き、目の前の男に向かって放つのだが、男は銃弾をあっさりと交わし、もう一度弓の弦を引き締めていく。
鋭い矢が私を狙う。だが、今度は怯まない。私は銃で弓を狙い男の持っていた弓を地面へと落とす。
男は撃たれた瞬間こそ、ウッと悲痛の声を上げたのだが、直ぐに持ち直し、ニンマリと笑うと、もう一度例の魔法で私に攻撃を加えようとしたのだが、その前に私は左手の掌を広げて、男の魔法を吸収する。
そして、左手の掌から拳銃を作り出す。
男の作った拳銃は二連式の強力な拳銃であり、かつてはウィリアム・ウィルソンが私を殺すために使用した拳銃であった。
「これで、決めさせてもらうわよ。皮肉なものね。あなたは自分で攻撃するはずの武器で殺されるなんて」
だが、あの男は私が拳銃を向けても尚、怯まずにニヤニヤとした顔で笑っていた。
「……どうかな。第一、お前が相手の魔法を奪って使えるのは一度だけ、継続して使い続ける事はできない。お前のその弱点はちゃーんと頭に叩き込んだからな」
男はニヤリと笑うと、今度はショットガンを作り上げ、私に大きくて太い銃口を向ける。
この男が何をする気なのかを私は即座に悟り、直ぐに体を転がしてその場から逃れていく。
直後に大きな音が聞こえて、私が先程まで立っていた木が吹き飛んでいたのだから、私が取った選択肢は決して間違いでは無いだろう。
私はカウンターの意味も込めて、目の前の男に向かって小型の二連式の拳銃を構えて撃ち殺そうとしたのだが、男はもう一度ニヤリと口元を緩める。
どうやら、このまま私を狙うつもりらしい。
だが、私が手に握っている小さな拳銃の引き金を引く方が早かったらしい。
男の左肩に弾丸が直撃し、地面にひっくり返ってしまう。
まるで、幼児がふざけていて転がった時のように大きくその場を回って転ぶ。
それでも、男は笑みを崩さない。ハッキリ言って、それが化け物のように思えて他ならない。
私が下唇を噛み締めて、相手を睨んでいると、男はそんな私の表情を悟ってか、ニヤリと笑う。明らかに馬鹿にしているような顔だ。
実に腹正しい事だ。どうして、こいつは死なないのだろう。化け物か何かなのか。
あの拳銃は小さな拳銃で体の中に食い込み、じわじわと死んでいくという少々悪趣味な拳銃なのだ。
常人ならば、あの男は耐え切れずに死んでいる筈だ。
男は肩を撃ち抜かれても、平気な顔で私の方へと向かって来る。
私は拳銃を構えて、男に向かって再度引き金を引こうとした時だ。
男は何を思い出したのか、手をポンと叩いて、森の中へと消えていく。
それこそ、声を掛ける間も無く森の奥へと消え去ったのだ。
一体、あの男の目的は何だったのだろうか。そんな事を考えながら、私は既にあの男の手によって死体となったホールディングを背中に乗せて運ぶ。
そして、右手で口笛を吹き、森の中に避難していた相葉を呼び出す。
愛馬が私の目の前に来ると、甘えて擦り寄って来る愛馬の頭を優しく撫でてやる。
それから賞金首の死体を背中に載せて馬を掛けて学院前の街の外に存在する警察署へと向かう。
学院前でホールディングの死体を引き渡し、森であった事を話すと、私の話を聞いてくれた保安委員の男性が顔を曇らせている事に気が付く。
「うーん、その話が本当だとすると、この後の首都の裁判所へと移送するのにも問題が出るかな」
「移送?」
「あぁ、ここらで捕らえた犯罪者を中央の裁判機関に引き渡すんだよ。その護送が明日行われる予定なんだ……」
その言葉を聞いて、私は中止を進言しようと試みる。
もしかすれば、あの男が私との戦いを中断したのも分かるような気がする。
あの男の目的な護送される犯罪者の護送車を襲う事だとすれば、その時まで体力を温存しておきたかったのだろう。
私はその事を中年の髭を生やした保安委員の男に進言したのだが、男は首を横に振る。
「こればっかりは規則だからな……すまん」
妹に頼んでこの護送を中止させてもらえないだろうか。いや、いくらこの国の王女の命令とは言え護送を延期したとすれば、この国の行政に大きな影響を及ぼす事になるだろう。
裁判官やら司法関係の人間が厳しく妹を追求するに違いない。
と、すればこの案は取れない。ならば……。
「お願いします!私を護送に加えてくれませんか!?」
その言葉を聞いて保安委員の男二人が顔を見合わせる。
二人の保安委員は顔を見合わせてから色々と話し合っていたらしいが、結局はそんな男が周囲に居る事に不安を覚えたのだろう。
私が護送に加わる事を喜んで許可してくれた。
少なくとも、これであの男が捕らえられている囚人を奪還するための敷居は高くなる筈だ。
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