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第一部

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 呪い……。ひいさまが解呪の魔法を覚えるかも、と言われたくらいだから、そりゃあ呪い自体もあるんだけろうけど。魔法と無縁な生活を送っていたわたしからしたら、呪いも呪いでなんだか遠い世界の話のようだ。

「し、死ぬようなものなんですか?」

 呪い、と聞くと、どうしても死が直結してしまう。物語の中だと、そういうものが多い気がして。物語、っていっても、前世のホラージャンルの作品になっちゃうんだけど。

「ん? いや死なないよ? んー、えいっ」

「つめ……ッ」

 わたしの首筋にぺっとりとイベリスさんが手の甲を突けてくる。ひんやりと冷気がただようくらいの人なのだ。そんなことされたら、縮みあがるに決まっている。
 わたしは反射的に彼の腕を殴ってしまった。「わー、痛い」とけらけら笑っているところを見ると、全然効いてないみたいだけど。

「魔力の属性が固定される呪いなんだよ。オレのは水属性ね。魔力の属性が固定されると、こうやって体にも変化が現れる。後、水属性の魔法しか使えなくなるっていうのも大きなデメリットかな。オレ、水属性の魔法苦手だし、実質魔法が使えなくなったようなもんよ」

 命に関わらないのはよかったけれど、でも、一概によかったですね、とは言いにくい。魔法とは無縁の国で生きたわたしからしたらピンと来にくい話ではあるけれど、いままでやれていたことに制限がかかるというのは、何でも不便なものだろう。

「君がウルトピアを連れてるって聞いたときはちょっと期待したけどねー。君くらいの女の子が持つバスケットに収まるくらいのサイズなら、魔法を使いこなせる成体になるまで時間かかりそうだし」

「……ウルトピアって、そんな大きくなるものなんですか?」

「なるなる! 今うちにいるアルベアよりでかくなるよ」

 アルベアちゃんが、すでに子供だったら上に乗って移動できるくらいのサイズなのだ。アレよりでかくなるなんて……最高か? 絶対、一緒に寝られたら幸せだろうとは思うけど、ひいさま、なかなか一緒に寝てくれないんだよな。今日みたいに、たまーに甘えに来てくれることはあるけど、本当に珍しいのだ。

 ショドーよりは付き合いが短いので、これから仲良くなれると信じているけれど、でも、ひいさまのクールな性格を見ると、ショドーほど甘えん坊にはならない気がする。
 まあ、そこがひいさまの魅力でもあるからいいんだけど。

 ……ん?

「魔力の属性の固定化でひんやりする呪いにかかってるのは分かりましたけど……人間の姿になったり、猫の姿になったり、アレは呪いじゃないんですか?」

 姿かたちが変わってしまうなんて、そっちもそっちで呪いっぽくない?
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