転生からの魔法失敗で、1000年後に転移かつ獣人逆ハーレムは盛りすぎだと思います!

ゴルゴンゾーラ三国

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第三部

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 広いホールでは炊き出しが行われていて、パンとスープが配られている。わたしはパンを配っている列に並ぶ。

 本当はスープを食べたかったが、片手がほとんど使えないのでパンを食べるしかない。グリエバルの牙がかすめて怪我をしたところは勿論、スパネットにしろまるの紙を奪われた時に爪がいくつかはがれていたらしく、利き手である右手は、非常に使いにくいものとなっていた。
 爪がはがれたとか、全然気が付かなかったけれど、状況を離したら医者に「運が良かったですね」と言われてしまった。爪がはがれているのに、と思ったけれど、指が全てなくなる可能性もあった、と言われたら、運がいい、という言葉に同意せざるを得なかった。

 丸パンを受け取り、わたしはどこか座れる場所がないか、と辺りを探して見るが、本来待合用の椅子として使われているであろうものも、取り急ぎ増設したという感じのものの、椅子はどれも埋まっていて。
 仕方ないので、邪魔にならなそうな壁際で、壁に寄りかかってパンを食む。
 おいしくも、まずくもないパンだ。状況が状況なだけあって、味を感じ、楽しむだけの余裕がない、というのが大きな原因だろうが。

 これからどうなるんだろう、と、パンをかじりながら辺りを見回す。
 このホールにいる人は皆、無傷か軽症者ばかりだ。イエリオが寝ている病室に鳴っている部屋には、増設されたベッドに対して、そこまで人がいる感じではなかった。

 この支部に避難する人がいないわけではなく、あそこまで重傷を追うのが珍しい、ということか。よっぽど運が悪い、と感じたが――まあ、生きてここまでたどり着いただけで十分だ。そりゃあ、無傷でここまで来られたら良かったけど。

「――あれ」

 ふ、と、視界の端におかしなものを見つけてしまった。窓の外、この街を囲む城壁の、上部に。
 この施設が特別、城壁のすぐそばにある、というわけではないのだが、城壁がかなり高い上に、この辺りは住宅街なのであまり高い建造物がない、というのもあって、城壁の上の方が少し見えるのだ。
 そこに、なにか、変なものが這っているような……。

「えっ」

 思わず間抜けな声が出る。明らかに、城壁の高さが違うのだ。いや、違くなった、というべきか。
 さっきまで高さは一直線だったのに、城壁を這う何かが動いたかと思うと、何かがいた場所が、少しへこんでいるように見えるのだ。

 わたし以外にも気が付いた人が何人かいるようで、「あれはなんだ」とか、「城壁が」とか、そんな声が上がったかと思うと、ざわざわと、雑談めいたざわめきが、一気に悲壮感あふれる、悲鳴が入り交じったものになる。

 そして、誰かが、まさにあの状況を表すのにふさわしい言葉を叫んだ。

「――城壁が、食われてるぞ!」
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