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第二章 耽溺
第三十五話
しおりを挟むちよっ、おまっ……そんな可愛くてどういう気。
どこまでも恭順な音稀に俺大興奮、心拍数上昇で胸がきゅんきゅん痛い。テラ感激な俺、「じゃあ来週、がっつり有給とるから楽しもうな」と声を弾ませ音稀に飛びついた。
「──で、どうしてこうなった」
楽しい遠足、当日──違げえ、キャンプ当日。
早朝から出発準備をととのえラブラブ朝飯、腹ごしらえのあとでモーニングエッチに勤しみいざ出陣──と勇み玄関に向かったところでインターホン。
俺「はいはい」インターホンの声「あたし」。
あたしさんなんて俺の知り合いにはいねえンすがね、つか出発直前で出鼻をくじいてきてんじゃねえよ。再度インターホン越しから「はやくドア開けろ」下令、俺MAX憤慨。
つか、いやいやその声……。どう脳処理してみても浮かぶのはひとり、魔女だ。
背筋が凍ったね、マジで。ドアスコープを覗いたら……いたよ、出たよ、立ってたよ。
完ぺきなスケジュールを立てて行動する俺、当然ながら出発時間のずれもプラマイ五分以内に抑え出立。で、義妹、香奈様登場。ピンポイントでタイミングよすぎだろ、監視カメラでも仕込んでるのかよ。
けど今日は俺らの初イベント、気持ち的にはハネムーンといっても過言じゃねえ。ンな素晴らしき門出で魔女如きに邪魔されて堪るか、インターホン越しで応戦してやりましたとも。もちろん五分以内で。
俺が「今日は大事な用があるのでお引き取りを」というと、香奈は「あーら弟彼氏くん、なにを寝ぼけたこと言ってるのかしら」と返す。
そこで「いいえ、完全に覚醒してるすから。つか部屋の四隅に盛り塩してるので魔女は退散めされ」と皮肉れば、「ふふふ、今どきの魔女は塩ぐらいじゃ倒せないわよ」だと。嫌味も通じねえのかこの魔女は。つかてめえはナメクジか。
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