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生方蒼甫の譚
チューリング・テスト
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さて、手に入れたこれをどうするか?
アプリと一緒に手に入れたデータは、シナプススキャンで収集した人格・記憶データだった。
総勢33人分。
地味にありがたい。
あの局長、何気に気が利くな。
実際今研究室にあるデータは、俺の1件だけだ。シナプススキャンもまだ完ぺきとは言えず、データの取りこぼしが非常に多い。
最初は研究室の学生に頼もうかとも考えたが、個人情報どころか「人生そのもの」なので、扱いが難しいし、データの欠損について判断が難しい。
自分のデータなら、解析が進んでくればデータの欠損があった時、それが何なのかある程度あたりを付けることが出来るし、その都度スキャンできる。
だからまともなデータは自分の物しかない。
ところがである。
もらった記憶・人格データは、33人分とも軽く確認した結果、殆どデータの抜けが見当たらない。実際動かしてみたら足りない部分があるかもしれないが、研究室にあるスキャナよりよほど精度が良いと見える。これは非常にありがたい。これで研究が一気に進むってもんだ。
加えて、「神威3号」と「阿吽」の使用許可。
思ってたのとずいぶん違った。
当初、単なる使用許可だと思ってたんだが、どうやら制限なしの利用許可らしい。
どういうことかと言うと、スパコンは使用時間で課金される。
複雑な演算を指示すれば、膨大な演算時間が掛かってしまう。その時間に単価をかけて使用料金を支払わなければならない。
普通はね。
ところが、今回は制限なし、使用料金についても国もちらしい。
いいのこんなにしてもらって?
加えて、VRMMORPGだ。このアプリ。なんで送ってきたの?と思ったら、検証で使えと言う事らしい。
要はチューリング・テストだな。
チューリング・テストと言うのは、人工知能の性能をはかる時によく使われる手法だ。
どうも趙博士もこれで検証をしていたらしいが、諸般の事情で研究が中断しているとのこと。
それで、今宙に浮いているこのアプリの使用権をこちらに移したと言う事らしい。まあ、これも願ったり叶ったりだな。
……
というわけで、研究を再開したわけだ。
提供された記憶・人格データのレイヤー化は驚くほどスムーズだった。「神威3号」を利用できたのが大きい。後はこのデータを「阿吽」上に展開するだけだ。
と、思ってたんだけど。
……
遅々として進まない。展開してもロストする。
基本記憶や人格なんかはそれ自身に明確なタグが付いているわけではない。
データとして「阿吽」の中でシミュレートする。という行為は、「阿吽」の中にある人口脳細胞(シナプス)で、データを再生すると言う事だ。
基本どの脳細胞(シナプス)に受け持たせるかはこちらで制御できない。
「阿吽」の脳細胞数は現在は約3万人分らしく、それが日々増設されているとのことだ。
だから、俺が展開した人格データは、大海原にメダカを放流するがごとく、ふらふらとどこかへ消えてしまう。
その人格データが構築されていることを確認するため検索をかける。検索には人格・記憶データと共に提供された個人情報を活用する。
名前と生年月日を除く、殆どの個人的な情報。
いや、正直ここまで来たら、名前と生年月日抜く意味なかろ?とも思うが、そのあたりがこの国の人権意識なんだろう。
知らんけど。
で、「職業」とか「勤続年数」とか「家族構成」とかそういった情報が事細かに載っている。それを使って「阿吽」上で検索をかける。
だが、うまくシミュレートできていないと、記憶を頼りに検索をかけたところでヒットしない。
現在32連敗中である。
はぁ。いやだ。もう。
でも、そういうわけにもいかない。神にもすがる思いで臨む33人目。
あれ?
この33人目の個人情報だけ、やたらと詳しいな。
今までの個人情報にも同様に「年齢」「職業」「経歴」の記載はあった。だが、殆どは履歴書に毛が生えた程度だった。
それに比べて、この被験者33号は最近の生活環境まで記載があった。
「大学生で工学部に所属」
「交通事故により父が他界、母は植物状態となり入院中。現在週に1度病院へ見舞いに行く。」
幼少期の記述もかなり詳しかった。
これは被験者がまじめに答えたな。いい子だ。
と、いうわけで、さっそくデータを展開。検索をかける。
基本文字情報での検索はできない。イメージなどの感覚神経に訴えかける情報を流し、その反応で人格を特定する。
工学部ね。うちの大学の写真データでも流してみようかな。
あと、病院かぁ。
消毒液の臭いのデータを……
あ、
「みつけた」
アプリと一緒に手に入れたデータは、シナプススキャンで収集した人格・記憶データだった。
総勢33人分。
地味にありがたい。
あの局長、何気に気が利くな。
実際今研究室にあるデータは、俺の1件だけだ。シナプススキャンもまだ完ぺきとは言えず、データの取りこぼしが非常に多い。
最初は研究室の学生に頼もうかとも考えたが、個人情報どころか「人生そのもの」なので、扱いが難しいし、データの欠損について判断が難しい。
自分のデータなら、解析が進んでくればデータの欠損があった時、それが何なのかある程度あたりを付けることが出来るし、その都度スキャンできる。
だからまともなデータは自分の物しかない。
ところがである。
もらった記憶・人格データは、33人分とも軽く確認した結果、殆どデータの抜けが見当たらない。実際動かしてみたら足りない部分があるかもしれないが、研究室にあるスキャナよりよほど精度が良いと見える。これは非常にありがたい。これで研究が一気に進むってもんだ。
加えて、「神威3号」と「阿吽」の使用許可。
思ってたのとずいぶん違った。
当初、単なる使用許可だと思ってたんだが、どうやら制限なしの利用許可らしい。
どういうことかと言うと、スパコンは使用時間で課金される。
複雑な演算を指示すれば、膨大な演算時間が掛かってしまう。その時間に単価をかけて使用料金を支払わなければならない。
普通はね。
ところが、今回は制限なし、使用料金についても国もちらしい。
いいのこんなにしてもらって?
加えて、VRMMORPGだ。このアプリ。なんで送ってきたの?と思ったら、検証で使えと言う事らしい。
要はチューリング・テストだな。
チューリング・テストと言うのは、人工知能の性能をはかる時によく使われる手法だ。
どうも趙博士もこれで検証をしていたらしいが、諸般の事情で研究が中断しているとのこと。
それで、今宙に浮いているこのアプリの使用権をこちらに移したと言う事らしい。まあ、これも願ったり叶ったりだな。
……
というわけで、研究を再開したわけだ。
提供された記憶・人格データのレイヤー化は驚くほどスムーズだった。「神威3号」を利用できたのが大きい。後はこのデータを「阿吽」上に展開するだけだ。
と、思ってたんだけど。
……
遅々として進まない。展開してもロストする。
基本記憶や人格なんかはそれ自身に明確なタグが付いているわけではない。
データとして「阿吽」の中でシミュレートする。という行為は、「阿吽」の中にある人口脳細胞(シナプス)で、データを再生すると言う事だ。
基本どの脳細胞(シナプス)に受け持たせるかはこちらで制御できない。
「阿吽」の脳細胞数は現在は約3万人分らしく、それが日々増設されているとのことだ。
だから、俺が展開した人格データは、大海原にメダカを放流するがごとく、ふらふらとどこかへ消えてしまう。
その人格データが構築されていることを確認するため検索をかける。検索には人格・記憶データと共に提供された個人情報を活用する。
名前と生年月日を除く、殆どの個人的な情報。
いや、正直ここまで来たら、名前と生年月日抜く意味なかろ?とも思うが、そのあたりがこの国の人権意識なんだろう。
知らんけど。
で、「職業」とか「勤続年数」とか「家族構成」とかそういった情報が事細かに載っている。それを使って「阿吽」上で検索をかける。
だが、うまくシミュレートできていないと、記憶を頼りに検索をかけたところでヒットしない。
現在32連敗中である。
はぁ。いやだ。もう。
でも、そういうわけにもいかない。神にもすがる思いで臨む33人目。
あれ?
この33人目の個人情報だけ、やたらと詳しいな。
今までの個人情報にも同様に「年齢」「職業」「経歴」の記載はあった。だが、殆どは履歴書に毛が生えた程度だった。
それに比べて、この被験者33号は最近の生活環境まで記載があった。
「大学生で工学部に所属」
「交通事故により父が他界、母は植物状態となり入院中。現在週に1度病院へ見舞いに行く。」
幼少期の記述もかなり詳しかった。
これは被験者がまじめに答えたな。いい子だ。
と、いうわけで、さっそくデータを展開。検索をかける。
基本文字情報での検索はできない。イメージなどの感覚神経に訴えかける情報を流し、その反応で人格を特定する。
工学部ね。うちの大学の写真データでも流してみようかな。
あと、病院かぁ。
消毒液の臭いのデータを……
あ、
「みつけた」
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