上 下
2 / 39
第一章

第二話 生意気女神と与えられた力

しおりを挟む
 華奢な身体で、背丈は120センチ前後だろうか。
 目の前に現れた少女は、日本の巫女みこ風の服装をだいぶ奇抜にしたような服を身に纏っていた。彼女の体にぴったりとフィットした白いシルクの着物は、薄くて透けるような素材でできており、軽やかで優雅な印象を与えていた。

 着物の裾には、黒い刺繍ししゅうが施され、神秘的な文様が描かれており、彼女の腰には、赤と黒の細長い布が巻かれ、それらが絡み合って、複雑な模様を作り出していた。その布は時折、彼女の動きに合わせて揺れ動き、まるで生きているかのようだった。

 彼女の頭には、鮮やかな緑色の葉っぱが飾られており、それが彼女の額に触れるたびに、彼女の顔に神秘的な輝きが与えられていた。そして、彼女の耳には、小さな鈴がぶら下がっており、彼女が動くたびに、優しくて幻想的な音色が響いていた。

 その姿は、神秘的で美しく、複雑な装いに身を包んでいた。
 幼女の姿をしていたが、なぜだかその力は絶大だと感じる。オーラが違うといえばいいのだろうか。とにかく、圧倒的な圧のようなものがあるのだ。

「ふふん、どうやらあなたがわたしの運命の人みたいねっ!」

 口を開くと、見た目から受ける印象とはだいぶ違い、なんというか……めちゃくちゃ生意気だ。メス〇キ……?

「え? 運命の人?」
「あなたは、このわたしが選んだ異世界へ転生する人間よ。そこであなたは新しい力を手に入れることになるわ」
「新しい力……? 異世界? どういうことだ?」
「聞いて驚きなさい! あなたには、この力を与えましょう」

 そういうと、目の前の幼女は、えっへんとえらそうに胸を張る。ちゃんと順を追って説明をしてからえらそうにしてほしい。

「力?」
「"キャンプマスター"という力よ。あなたは異世界でキャンプに関する様々な力を持つことができるわ。あなたが生きていた世界で好きだったことに関する力よ。嬉しいでしょ?」
「キャンプマスター? なんだそれ」

 めちゃくちゃダサい。

「この力で得たスキルで、炎を操ったり、生き物と話せたり、瞬時にテントを張ったりできるの。それだけじゃなくて、他にもたくさんのキャンプに関するスキルを獲得することができるわ」
「ガッカリスキルじゃないか……」
「これはあなたが異世界で困難に立ち向かい、その世界を救うために必要な力よ」
「そのスキルで、ぼくにそんなことができるのか?」
「もちろんできるわ! だって、あなたはわたしが選んだ運命の人だもの。さあ、勇気を持って、新しい世界でキャンプマスターとしての力を発揮してきて!」
「わたしが選んだって……いきなり出てきた幼女が選んだ人間なんて、別に」
「大丈夫よ! わたしは女神なんだから!」
 その言葉を聞いた瞬間に、ぼくの視界は急に暗転ブラック・アウトした。

 その女神の力によって、ぼくは16歳の少年に転生し、キャンプマスターの力とさまざまなスキルを手に入れ、この”異世界”での生活がはじまったのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍2巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

外れスキル持ちの天才錬金術師 神獣に気に入られたのでレア素材探しの旅に出かけます

蒼井美紗
ファンタジー
旧題:外れスキルだと思っていた素材変質は、レア素材を量産させる神スキルでした〜錬金術師の俺、幻の治癒薬を作り出します〜 誰もが二十歳までにスキルを発現する世界で、エリクが手に入れたのは「素材変質」というスキルだった。 スキル一覧にも載っていないレアスキルに喜んだのも束の間、それはどんな素材も劣化させてしまう外れスキルだと気づく。 そのスキルによって働いていた錬金工房をクビになり、生活費を稼ぐために仕方なく冒険者になったエリクは、街の外で採取前の素材に触れたことでスキルの真価に気づいた。 「素材変質スキル」とは、採取前の素材に触れると、その素材をより良いものに変化させるというものだったのだ。 スキルの真の力に気づいたエリクは、その力によって激レア素材も手に入れられるようになり、冒険者として、さらに錬金術師としても頭角を表していく。 また、エリクのスキルを気に入った存在が仲間になり――。

冷女が聖女。

サラ
ファンタジー
冷蔵庫を背負った聖女の略称は冷女でした。  聖女が幸せに過ごす事でその国の豊穣が約束される世界。 『聖女召喚の儀式』で呼び出された玲の称号は『冷女』そして、同時に召喚された従妹のシオリは『聖女』 冷たい女はいらないと捨てられた玲だったが、異世界のステータス開示で見られる称号は略称だった。  『冷蔵庫(広義)と共に玲の祝福を持つ聖女』の略称は『冷女』、『聖女に巻き込まれた女』の略称は『聖女』  そして、玲の背中にまるで、背後霊のように付いている冷蔵庫。この冷蔵庫は人には見えない。でも、冷蔵庫はとても便利でサバイバルにピッタリ。しかもレベルが上がると色々と便利な用途(機能)が使えるようになり、冷蔵庫さえあれば生きていくのに問題はない。  これは異世界で冷蔵庫と共に召喚された聖女が幸せになり異世界があるべき姿に戻るお話。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

処理中です...