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住人たち
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千宇音と虎弥太が持ってきたものを凝視する。
「えーっと、これは……?」
「見て分からない? 褌よ」
ふんどし。本物は初めて見た。片本の紐を持ち上げると長くて白い布がヒラヒラと揺れた。
「そういえば、俺の服は……」
「池で水浸しになっちゃったから洗濯に出しておいたわ」
「あ、ありがとうございます」
お礼を言いつつ、自分の身体を見た。白い薄手の着物を着ている。布団の中に入っていたため気が付かなかったが、下半身に妙な解放感を覚えて布団を押し上げ覗き見る。
そして、時間差で褌を手渡されたことに納得する。
(履いてない……)
誰が服を脱がしたかなんて分かりきっているが、それでも一応確認しておく。文句を言うつもりはない。むしろ謝りたいくらいだ。
「着替えは誰が……?」
「私以外にいる?」
(やっぱり……)
シャロニカさんは何でもないことのようにケロッとした顔で答える。気にしているのは自分だけだと思うと何だか恥ずかしくなってきた。
「それは……なんというか、お手数おかけしました……」
「別に男の服脱がすのなんて日常茶飯事だから気にしないで」
「ああ、そうですか……」
この場で恥ずかしがっているのが自分だけなのが余計に羞恥心を煽る。俺より年下のはずの千宇音と虎弥太ですら何でもないような顔をしているのは、遊郭に住んでいる所為だろうか。それとも単に意味を理解していないのか。
「アリスは普段珍しい格好をしていたのね」
「珍しい格好……?」
「そうよ? この辺の人はみんな着物を着ていることが多いのよ。でもたまにお客さまでアリスと似たような格好をしている人も来たりするわ」
シャロニカさんの話を聞くに、この世界で洋装――つまり洋服を着ている人間は多くはないらしい。いや、この世界と一括りにするのは言い過ぎかもしれない。少なくとも、この色町では洋服を着ている人は珍しいそうだ。ただ、シャロニカさんは客が着ているのを見たことがあったお陰で俺が倒れているのを見つけた時も、特に不審に思うことはなかったと言った。
「でも、ごめんね、遊女は着物って決まりなの」
「そうなんですか?」
「昔からのしきたりだからこればっかりはどうにも……」
普段着が着物になるくらい大したことではない。むしろ、着物を着ていれば多少怪しまれずに済むのであれば喜んで着る。
………………着方を知っていればの話だが。
「俺……着物着たことなくて……それにこれも……」
そう言ってふんどしを指差す。別に恥ずかしい物じゃないことは分かっているが、いざ自分が着けるとさなると、なんとなく恥ずかしい。
「それならそうと早く言ってよ! 私が教えてあげるわ!」
シャロニカさんの容赦のない手が俺の着物の襟元にかけられる。
シャロニカさんは慣れているかもしれない。俺の身体を見たところで何とも思わないかもしれない。そもそも、もう既に一回見られている身で何を今更、とものすごい勢いで回転する頭の中を振り切り、慌てて声を出す。
「誰か男の人にお願いできませんか!?」
「へ……?」
「は、恥ずかしいので!」
言ってしまった。
どんどん顔が熱くなってきてシャロニカさんの方を向けなくなる。助けを求めるように側に座っていた千宇音と虎弥太の方を見ると二人同時に首を傾げた。
(ダメそう……)
次はどうするべきか俯きながら悩んでいると、シャロニカさんの方から呻くような声が聞こえてきた。
「また……やっちゃったわ……」
「え……?」
「またやっちゃったわ! 普通の女の子は男の人の服を脱がさないの! そうでしょ!?」
どこでスイッチが入ったのか、シャロニカさんは早口で喋り始めた。
「い、一般的には……?」
「別に遊女って仕事を後悔してる訳じゃないの! でも感覚が世間とズレるのは嫌なのよ! こんなんじゃ恋もできない!」
「恋……」
遊女は恋してもいいものなのか? と思ったことは後回しにして、暴走しそうなシャロニカさんをどうにか宥めようとする。
「私さっきも、男の服を脱がすのなんて日常茶飯事って言ったわよね? あぁ、もう、本当にこういうところ!」
自分の何気ない発言を振り返って頭を抱えたくなることはよくある。しかし、ここまで大っぴらに他人のその状況を目撃するとは思わなかった。
そして、その悩みの種は他人から見たら大したことない場合が多い。シャロニカさんの場合は少々特殊だが。
「俺は……シャロニカさんは親切で素敵な人だと思いました。だから無理しなくても良いと思います」
本人が気にしていることを肯定しても意味が無かったかもしれないと口に出してから思う。それに、彼女が気にしているのは世間とのズレで、被せるように発してしまった自分のズレた回答に少し後悔した。
「…………引いてないの?」
「……はい」
引いた、と言うよりはどうしたらいいのか分からなくなった、が正しいので嘘はついていない。
「……アリスは優しいわね」
「シャロニカさん程では」
これは本当にそう思う。見ず知らずの俺のことを助けてくれた。それだけではなく、本気で心配してくれている。
シャロニカさんは俺のことをぼーっと見つめ、何故か動かなくなってしまった。
どうしよう、そう思っていると廊下の方から声がした。
「おい」
男の人の声に条件反射で顔を上げる。
「うるさいぞ」
機嫌の悪そうな切れ長の瞳が俺を睨んでいた。長い髪を横で緩く結び、俺が着ているのと同じような着物を着崩している。多分俺と同じくらいの年齢だろう。背はそれほど高くはなく、多分シャロニカさんと同じくらいだ。
「ニコラ」
我に返ったシャロニカさんが名前を呼んだ。
千宇音と虎弥太は何故か立ち上がると、ニコラから距離をとるようにシャロニカさんの背後に回り込んだ。
名前から察するに彼も遊女なのだろう。同性の俺でも引き込まれてしまいそうな不思議な空気を纏っている。顔立ちは中性的で線の細さは女の人のようだ。最初に声を聞かなかったら間違えてしまったかもしれない。
「うるさい」
「二度も言わなくても分かるわよ!」
ニコラは鼻で笑うと俺の方を見た。
第一印象で人を語るのは良くないが、とても感じが悪い。俺は少し顔に力を入れると、真っ直ぐに視線を受け止めた。
「そいつ? 夜にチビ共が騒いでた……」
「アリスよ」
シャロニカさんが間髪入れずに紹介してくれる。
俺はなるべく視線を外さないよう小さく会釈をした。
「アリス……? なんだ、遊女だったのかよ?」
「多分……。でも今は記憶を無くしていて、色々あやふやなのよ」
「ハァ? 記憶喪失なのかよ? また面倒くせぇの拾ってきたな」
ニコラの想像以上の口の悪さにマイナスの感情が芽生える。確かに俺の存在自体面倒臭いかもしれないが、会ったばかりの人から正面きって言われる筋合いは無い。
俺がムッとした表情をすると、千宇音と虎弥太が両脇にやってきて左右から両手を抱え込んだ。まるで、ニコラから俺を守るような態度に少し気が緩む。
「そんな酷いこと言わないでよ」
シャロニカさんが困ったような声を出すと、ニコラの勢いが削がれたのが分かった。
「…………で? どうせここで面倒見るんだろ? あの人の許可取ったのか?」
「あ……そういえばまだだった……!」
「そんなことだろうと思った」
シャロニカさんは気まずそうな顔をして俺の方に向き直った。
「ここで働くには楼主に挨拶しないといけないの。でも心配しないで! 楼主は滅多に公の場に出てこないから、手紙を書くだけでいいの」
「手紙……?」
「そう手紙。これからお世話になりますって一筆書いて部屋の前に置いておけば大丈夫」
随分変わった挨拶だなと思った。
一応、従業員として雇うならいろいろ審査があって然るべきだと思うが、この世界で元の世界の常識なんて全く当てはまらないのだと感じる。
しかし、蝙蝠姿の楼主に会わないで済むならそれに越したことはない。俺が頷くとシャロニカさんはホッとしたように笑った。
「あ、そういえば――ニコラ」
俺とシャロニカさんのやり取りをじっと見ていたニコラはシャロニカさんに名前を呼ばれ僅かに視線を逸らした。
「アリスに着物の着方と……褌の締め方を教えてあげて欲しいの」
「ハァ!? 嫌だ!」
ニコラのこの反応は悔しいが理解できるため、怒るに怒れない。見ず知らずの男の褌を締めるのは気分が良いものじゃないだろう。
「お願い!」
「嫌だね」
それだけ言うとニコラは手をヒラヒラさせて廊下の奥に消えてしまった。
「ごめんね……ほんとは良いやつなんだけど……」
「いや、あいつの気持ちは分かるんで大丈夫です」
完全にお手上げ状態の空気の中、いまだに両脇にくっ付いている左側、虎弥太が目を輝かせて俺の腕を引っ張った。
「ぼくが教えてあげる!」
「え……?」
「ぼく、一人で着物も着られるし、褌も締められるよ!」
自分の出番を確信した虎弥太は鼻を鳴らして立ち上がった。やる気に満ち溢れた顔に断るという選択肢は無くなった。
「そっか。じゃあお願いしようかな」
「うん! 任せて!」
「虎弥太、良かったわね」
意外にも虎弥太の説明は分かりやすく、数回着たり脱いだりを繰り返しただけで覚えられてしまった。きっちりとした着こなしを求められていないのも幸いした。
お礼の意味を込めて頭を撫でると虎弥太はくすぐったそうに笑った。その笑顔が養護施設の子どもたちの顔に重なる。施設を出て一年と少し。もうあそこに自分の居場所は無いと言い聞かせていたのに、何だか無性に帰りたくなった。
「えーっと、これは……?」
「見て分からない? 褌よ」
ふんどし。本物は初めて見た。片本の紐を持ち上げると長くて白い布がヒラヒラと揺れた。
「そういえば、俺の服は……」
「池で水浸しになっちゃったから洗濯に出しておいたわ」
「あ、ありがとうございます」
お礼を言いつつ、自分の身体を見た。白い薄手の着物を着ている。布団の中に入っていたため気が付かなかったが、下半身に妙な解放感を覚えて布団を押し上げ覗き見る。
そして、時間差で褌を手渡されたことに納得する。
(履いてない……)
誰が服を脱がしたかなんて分かりきっているが、それでも一応確認しておく。文句を言うつもりはない。むしろ謝りたいくらいだ。
「着替えは誰が……?」
「私以外にいる?」
(やっぱり……)
シャロニカさんは何でもないことのようにケロッとした顔で答える。気にしているのは自分だけだと思うと何だか恥ずかしくなってきた。
「それは……なんというか、お手数おかけしました……」
「別に男の服脱がすのなんて日常茶飯事だから気にしないで」
「ああ、そうですか……」
この場で恥ずかしがっているのが自分だけなのが余計に羞恥心を煽る。俺より年下のはずの千宇音と虎弥太ですら何でもないような顔をしているのは、遊郭に住んでいる所為だろうか。それとも単に意味を理解していないのか。
「アリスは普段珍しい格好をしていたのね」
「珍しい格好……?」
「そうよ? この辺の人はみんな着物を着ていることが多いのよ。でもたまにお客さまでアリスと似たような格好をしている人も来たりするわ」
シャロニカさんの話を聞くに、この世界で洋装――つまり洋服を着ている人間は多くはないらしい。いや、この世界と一括りにするのは言い過ぎかもしれない。少なくとも、この色町では洋服を着ている人は珍しいそうだ。ただ、シャロニカさんは客が着ているのを見たことがあったお陰で俺が倒れているのを見つけた時も、特に不審に思うことはなかったと言った。
「でも、ごめんね、遊女は着物って決まりなの」
「そうなんですか?」
「昔からのしきたりだからこればっかりはどうにも……」
普段着が着物になるくらい大したことではない。むしろ、着物を着ていれば多少怪しまれずに済むのであれば喜んで着る。
………………着方を知っていればの話だが。
「俺……着物着たことなくて……それにこれも……」
そう言ってふんどしを指差す。別に恥ずかしい物じゃないことは分かっているが、いざ自分が着けるとさなると、なんとなく恥ずかしい。
「それならそうと早く言ってよ! 私が教えてあげるわ!」
シャロニカさんの容赦のない手が俺の着物の襟元にかけられる。
シャロニカさんは慣れているかもしれない。俺の身体を見たところで何とも思わないかもしれない。そもそも、もう既に一回見られている身で何を今更、とものすごい勢いで回転する頭の中を振り切り、慌てて声を出す。
「誰か男の人にお願いできませんか!?」
「へ……?」
「は、恥ずかしいので!」
言ってしまった。
どんどん顔が熱くなってきてシャロニカさんの方を向けなくなる。助けを求めるように側に座っていた千宇音と虎弥太の方を見ると二人同時に首を傾げた。
(ダメそう……)
次はどうするべきか俯きながら悩んでいると、シャロニカさんの方から呻くような声が聞こえてきた。
「また……やっちゃったわ……」
「え……?」
「またやっちゃったわ! 普通の女の子は男の人の服を脱がさないの! そうでしょ!?」
どこでスイッチが入ったのか、シャロニカさんは早口で喋り始めた。
「い、一般的には……?」
「別に遊女って仕事を後悔してる訳じゃないの! でも感覚が世間とズレるのは嫌なのよ! こんなんじゃ恋もできない!」
「恋……」
遊女は恋してもいいものなのか? と思ったことは後回しにして、暴走しそうなシャロニカさんをどうにか宥めようとする。
「私さっきも、男の服を脱がすのなんて日常茶飯事って言ったわよね? あぁ、もう、本当にこういうところ!」
自分の何気ない発言を振り返って頭を抱えたくなることはよくある。しかし、ここまで大っぴらに他人のその状況を目撃するとは思わなかった。
そして、その悩みの種は他人から見たら大したことない場合が多い。シャロニカさんの場合は少々特殊だが。
「俺は……シャロニカさんは親切で素敵な人だと思いました。だから無理しなくても良いと思います」
本人が気にしていることを肯定しても意味が無かったかもしれないと口に出してから思う。それに、彼女が気にしているのは世間とのズレで、被せるように発してしまった自分のズレた回答に少し後悔した。
「…………引いてないの?」
「……はい」
引いた、と言うよりはどうしたらいいのか分からなくなった、が正しいので嘘はついていない。
「……アリスは優しいわね」
「シャロニカさん程では」
これは本当にそう思う。見ず知らずの俺のことを助けてくれた。それだけではなく、本気で心配してくれている。
シャロニカさんは俺のことをぼーっと見つめ、何故か動かなくなってしまった。
どうしよう、そう思っていると廊下の方から声がした。
「おい」
男の人の声に条件反射で顔を上げる。
「うるさいぞ」
機嫌の悪そうな切れ長の瞳が俺を睨んでいた。長い髪を横で緩く結び、俺が着ているのと同じような着物を着崩している。多分俺と同じくらいの年齢だろう。背はそれほど高くはなく、多分シャロニカさんと同じくらいだ。
「ニコラ」
我に返ったシャロニカさんが名前を呼んだ。
千宇音と虎弥太は何故か立ち上がると、ニコラから距離をとるようにシャロニカさんの背後に回り込んだ。
名前から察するに彼も遊女なのだろう。同性の俺でも引き込まれてしまいそうな不思議な空気を纏っている。顔立ちは中性的で線の細さは女の人のようだ。最初に声を聞かなかったら間違えてしまったかもしれない。
「うるさい」
「二度も言わなくても分かるわよ!」
ニコラは鼻で笑うと俺の方を見た。
第一印象で人を語るのは良くないが、とても感じが悪い。俺は少し顔に力を入れると、真っ直ぐに視線を受け止めた。
「そいつ? 夜にチビ共が騒いでた……」
「アリスよ」
シャロニカさんが間髪入れずに紹介してくれる。
俺はなるべく視線を外さないよう小さく会釈をした。
「アリス……? なんだ、遊女だったのかよ?」
「多分……。でも今は記憶を無くしていて、色々あやふやなのよ」
「ハァ? 記憶喪失なのかよ? また面倒くせぇの拾ってきたな」
ニコラの想像以上の口の悪さにマイナスの感情が芽生える。確かに俺の存在自体面倒臭いかもしれないが、会ったばかりの人から正面きって言われる筋合いは無い。
俺がムッとした表情をすると、千宇音と虎弥太が両脇にやってきて左右から両手を抱え込んだ。まるで、ニコラから俺を守るような態度に少し気が緩む。
「そんな酷いこと言わないでよ」
シャロニカさんが困ったような声を出すと、ニコラの勢いが削がれたのが分かった。
「…………で? どうせここで面倒見るんだろ? あの人の許可取ったのか?」
「あ……そういえばまだだった……!」
「そんなことだろうと思った」
シャロニカさんは気まずそうな顔をして俺の方に向き直った。
「ここで働くには楼主に挨拶しないといけないの。でも心配しないで! 楼主は滅多に公の場に出てこないから、手紙を書くだけでいいの」
「手紙……?」
「そう手紙。これからお世話になりますって一筆書いて部屋の前に置いておけば大丈夫」
随分変わった挨拶だなと思った。
一応、従業員として雇うならいろいろ審査があって然るべきだと思うが、この世界で元の世界の常識なんて全く当てはまらないのだと感じる。
しかし、蝙蝠姿の楼主に会わないで済むならそれに越したことはない。俺が頷くとシャロニカさんはホッとしたように笑った。
「あ、そういえば――ニコラ」
俺とシャロニカさんのやり取りをじっと見ていたニコラはシャロニカさんに名前を呼ばれ僅かに視線を逸らした。
「アリスに着物の着方と……褌の締め方を教えてあげて欲しいの」
「ハァ!? 嫌だ!」
ニコラのこの反応は悔しいが理解できるため、怒るに怒れない。見ず知らずの男の褌を締めるのは気分が良いものじゃないだろう。
「お願い!」
「嫌だね」
それだけ言うとニコラは手をヒラヒラさせて廊下の奥に消えてしまった。
「ごめんね……ほんとは良いやつなんだけど……」
「いや、あいつの気持ちは分かるんで大丈夫です」
完全にお手上げ状態の空気の中、いまだに両脇にくっ付いている左側、虎弥太が目を輝かせて俺の腕を引っ張った。
「ぼくが教えてあげる!」
「え……?」
「ぼく、一人で着物も着られるし、褌も締められるよ!」
自分の出番を確信した虎弥太は鼻を鳴らして立ち上がった。やる気に満ち溢れた顔に断るという選択肢は無くなった。
「そっか。じゃあお願いしようかな」
「うん! 任せて!」
「虎弥太、良かったわね」
意外にも虎弥太の説明は分かりやすく、数回着たり脱いだりを繰り返しただけで覚えられてしまった。きっちりとした着こなしを求められていないのも幸いした。
お礼の意味を込めて頭を撫でると虎弥太はくすぐったそうに笑った。その笑顔が養護施設の子どもたちの顔に重なる。施設を出て一年と少し。もうあそこに自分の居場所は無いと言い聞かせていたのに、何だか無性に帰りたくなった。
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