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8.ここにいなくてもあなたを思う
ここにいなくてもあなたを思う⑤
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着陸時、15000フィートまでの降下の許可が下り、管制とのやりとりはコントロールから、アプローチ、アプローチからタワーへと目まぐるしく通信先が変わる。
その間も機体を安定させ進入角度を確認し、着陸許可が下りるのを待つ。
『JS air120 ,Cleared to land, runway 27L』
「Cleared to land, runway 27L, JS air120 」
タワーからの滑走路の指示が出る。副操縦士がコールを繰り返し、全てが問題ないことを貴堂も確認した。
着陸許可が下りたので、貴堂は自動操縦を解除し手動に切り替える。
「Runway insight」(滑走路灯等の飛行場灯火を視認)
コーパイである立花がコールする。貴堂もコールした。
「Runway insight」
「Approaching minimum 」(計器飛行で着陸の為に進入する際下降できる最低の高度)
「Check 」
「Minimum 」
これが着陸の最終判断になる。
貴堂はコールした。
「Landing」
霧のロンドンというくらいロンドンの天気は不安定なことも多く、霧の場合は着陸方法も手動だけでは行えなくなったりもする。
けれども、今日の天候はうす曇りで風もそれほどない。爽やかでいい天気とまでは言わないが、着陸に問題がないのは何よりだ。
今回一緒に乗務しているコーパイはまだ新人のため着陸時は貴堂が操縦する。これがベテランのコーパイならば、操縦を任せることも多い。
西からの緩い風……機体を操縦しながらそんな風を感じることが貴堂にはある。風には逆らわない。そこに翼を置くような感覚は独特だ。
その間にもひっきりなしに入る管制とのやり取りも、計器類のコールもすべて情報として耳に入ってきていて問題がないことを確認しながらも、機体を着陸させることに神経を集中させた。
『One hundred……Fifty……』
どんどん設置面が近づいてくる。
『Thirty、Twenty ……Retard, Retard』
機体が地面に対して水平であることを確認して、貴堂はスラストレバーをアイドルにする。
ふわりとした接地。この天気ならば上々の接地だった。
管制はグランドに切り替わり、駐機場にタキシングを開始して到着スポットに向かう。
着陸しても、ブレーキをかけエンジンを止めるまでは機長は気を抜くことは決してない。
貴堂はエンジンをシャットダウンして、機内のベルト着用サインが消えていることを確認した。
コックピットの主要システムをオフにし、チェックリストを行う。そして航空日誌を立花と確認し、貴堂はサインをした。
これで乗務は完了である。
「……ナイスランディングでした」
「はは、ありがとう。お疲れ様」
「あの!」
新人パイロットの立花は貴堂に声をかける。
「すごく、尊敬してます。今日、一緒に搭乗させていただいて本当に光栄でした。自分も研鑽を積んで、貴堂キャプテンのようになりたいです」
立花は顔を真っ赤にしながら一生懸命そんなことを言ってくる。
「僕もまだ勉強中なのだけれど、そんな風に言ってもらえて光栄だよ」
貴堂はにこりと笑って、コックピットを後にしたのだった。素直にそういってもらえることはとても嬉しい。
その間も機体を安定させ進入角度を確認し、着陸許可が下りるのを待つ。
『JS air120 ,Cleared to land, runway 27L』
「Cleared to land, runway 27L, JS air120 」
タワーからの滑走路の指示が出る。副操縦士がコールを繰り返し、全てが問題ないことを貴堂も確認した。
着陸許可が下りたので、貴堂は自動操縦を解除し手動に切り替える。
「Runway insight」(滑走路灯等の飛行場灯火を視認)
コーパイである立花がコールする。貴堂もコールした。
「Runway insight」
「Approaching minimum 」(計器飛行で着陸の為に進入する際下降できる最低の高度)
「Check 」
「Minimum 」
これが着陸の最終判断になる。
貴堂はコールした。
「Landing」
霧のロンドンというくらいロンドンの天気は不安定なことも多く、霧の場合は着陸方法も手動だけでは行えなくなったりもする。
けれども、今日の天候はうす曇りで風もそれほどない。爽やかでいい天気とまでは言わないが、着陸に問題がないのは何よりだ。
今回一緒に乗務しているコーパイはまだ新人のため着陸時は貴堂が操縦する。これがベテランのコーパイならば、操縦を任せることも多い。
西からの緩い風……機体を操縦しながらそんな風を感じることが貴堂にはある。風には逆らわない。そこに翼を置くような感覚は独特だ。
その間にもひっきりなしに入る管制とのやり取りも、計器類のコールもすべて情報として耳に入ってきていて問題がないことを確認しながらも、機体を着陸させることに神経を集中させた。
『One hundred……Fifty……』
どんどん設置面が近づいてくる。
『Thirty、Twenty ……Retard, Retard』
機体が地面に対して水平であることを確認して、貴堂はスラストレバーをアイドルにする。
ふわりとした接地。この天気ならば上々の接地だった。
管制はグランドに切り替わり、駐機場にタキシングを開始して到着スポットに向かう。
着陸しても、ブレーキをかけエンジンを止めるまでは機長は気を抜くことは決してない。
貴堂はエンジンをシャットダウンして、機内のベルト着用サインが消えていることを確認した。
コックピットの主要システムをオフにし、チェックリストを行う。そして航空日誌を立花と確認し、貴堂はサインをした。
これで乗務は完了である。
「……ナイスランディングでした」
「はは、ありがとう。お疲れ様」
「あの!」
新人パイロットの立花は貴堂に声をかける。
「すごく、尊敬してます。今日、一緒に搭乗させていただいて本当に光栄でした。自分も研鑽を積んで、貴堂キャプテンのようになりたいです」
立花は顔を真っ赤にしながら一生懸命そんなことを言ってくる。
「僕もまだ勉強中なのだけれど、そんな風に言ってもらえて光栄だよ」
貴堂はにこりと笑って、コックピットを後にしたのだった。素直にそういってもらえることはとても嬉しい。
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