大物mogurar純平の異世界物語

漆黒の電気鼠

文字の大きさ
1 / 14

プロローグ

しおりを挟む
有名動画投稿サイト「mogura」に自分の動画を投稿する。
それが俺の今の仕事だ。いや正確には『だった』が正しい。
今は動画のチャンネルを削除し俺を騙した大物mogurarに怯え家に引きこもる毎日。
32歳になり家族からの視線も辛くなってきた。この間妹にも「おい、引きこもり!」と言われてしまった。
兄の威厳なんて全く無い。ただこんな俺でも人の子。
いつか俺は両親に素敵な彼女を見せて思いっきり親孝行したいと思っている。
ただ、何をするにもまず先立つものが必要だ。
しかし、このご時世30代の無職を雇ってくれるところは少ない。
仕事を選ばなければ俺でも就職はできるが辛い仕事は嫌だ。
親父は俺を業人と呼んでくれたが、特筆できる業も特技もない。
途方に暮れてネットで今晩のおかずを探していると1つのサイトが目についた。
「ア〇ル警察」という小説投稿サイトだ。
どうやら大賞に選ばれると賞金100万円もくれるらしい。
(………これだ!)
俺はそのサイトを開きさっそく登録しようとした。
この行動であんなことが起こるなんて。
その時の俺は予想だにしてなかったのだ。


俺はさっそく登録画面に向かった。
「名前は…濱咲純平っと」
登録画面で、名前・住所・電話番号などを書いていく。
「職業は…無職でいいか…」
個人的には大物mogurarと書きたかったのだが、最高再生回数は1000にも行ってない。
そもそもチャンネルを削除し動画を出してない自分には無職という肩書きの方が心地よかった。
「なりたい…職業?なんだこれ」
さっき職業を聞いてきたのにまた職業を聞いてきた。
GA★I★JIの俺にはちょっとよく分からなかった。
その項目を飛ばして次の項目を読む。
「行きたい…世界…?」
なんだこれ。たくさん世界の名前(らしきもの)が書かれていて選択式になっている。
【A-スぺ】(池や沼の多い世界)
【オフ零】(人族が一人もいない世界) などなど…
「まともな世界が無いな…」
適当に選ぼうとしたとき一つの選択肢が純平の視界に入った。
【惑星shamu】(あなたの仲間がいる世界)
(仲間…か…)
仲間と言う単語に純平の心は動いた。
家族にも見放され、動画投稿仲間(だと本人は思っていた)にも裏切られ、純平の心は閉ざされていた。
しかし、この単語を見るだけで胸が熱くなってくる。
(まさか…求めているというのか?この俺が…)
震える手でカーソルを惑星shamuに合わせる。
そして登録ボタンを押すとエラーの文字がでてきた。
【惑星shamu】にてなりたい職業を決めて下さい。
「……なるほど」
つまりなりたい職業とは選択した世界でのことだったのか。
「どうせアンケートみたいなもんだろ。アッアッアッアッアッ」
純平は特に深く考えず『魔法使い』と書いた。
その瞬間、純平の体は光に包まれた。
光が消えた頃にはパソコンの前に座っていた彼の体は何処にもなかった。
この日、濱咲純平という中年と彼が生きていた証拠はこの世から跡形もなく消滅した。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...