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ソファーに座ってしばらく、考え込んだ末に父さんが初めに告げたのは俺と兄さんの母親についてだった。
生まれてこの方1度も顔を見たことがない母さん。
だからなんとなく俺を産んだ後か、俺を産む代償として死んだのではないかと考えていたんだけど、どうやら母さんはちゃんと元気に生きているらしく、今は王都にいるのだとか。
父さんは領地で侯爵としての仕事をこなし、母さんは王都で仕事をしているんだと。
いやでもだからってさ、1度も顔を見せてくれないのはどうなんだろう?
「お前の母さんも魔力に長けた一族でな、陛下の紹介で私達は結婚をした。高い魔力を持った子供を作ること。それが私達に与えられた命令だった」
魔法が使えるってだけで、他の国との戦闘になった時に有利になるわけだから、父さんや兄さんみたいに攻撃魔法がバンバン打てる人材は貴重だろう。
魔法使いとしてスクロールを作るだけでも、魔力を持たない兵士の戦力の底上げになるわけだし。
それなら一緒に生活して、俺の弟とか妹とか作った方が……いや、そこは夫婦間の問題か。
「高い魔力を持つ子供なら兄さんがいるから、任務達成したんですね」
だからこそ兄さんだけ学校に行くことを許されたんだろうし……自分の身しか守れない俺では、王様の出した条件には当てはまらないから、屋敷とか森に閉じ込めていない者として扱うことにしたと。そんなところか。
「端的にいうと、不十分だった。陛下は攻撃も防御も回復までもできる魔力を持った者を望まれたのだ」
数回頭を振った父さんは、多分だけど王様の顔とか声とかを脳内で再生中なのだろう、目つきが物凄く鋭い。
いやいや、そうじゃない。
「兄さんで不十分って……」
攻撃魔法は一流だし、回復魔法も使える。確かに防御は弱いのかも知れないけど、それだって普通の兵士よりも強い。
「そこで陛下は島の国にある錬金術で、肉体強化についての研究をするようにと頼んだ……その結果、魔物が誕生するようになったんだ。陛下はその魔物達を私の領地に捨てることを勝手に許可し、以来森は廃棄場として使われている」
大陸の王様が島の王様に発注した依頼がきっかけで、実験体にされた人が魔物になる大惨事が起きるようになったのか。
森に魔物を捨てる許可って酷い話だけど、ここは俺が知っている話と一致している。
俺はてっきり父さんが島の王に頼んだ不老不死で実験体にされた人達が魔物になったと思っていたんだけど、その限りではないんだな。
「俺と俺の部下は廃棄物処理班って立ち位置なのは分かりました。その部下達が魔物退治に協力的ではないのは、元は人間だと知っているからですか?」
森に入ろうとする僧兵や冒険者から通行料を徴収しているってことも報告した方が良かっただろうか……。
「いいや、この話は極秘だ。協力的ではないとは?詳しく教えてくれ」
詳しくと言われても、森の中で戦っている俺が、入り口付近から動かない部下達を監視し続けることは無理だ。
「そうですね……森から逃げ出した魔物を倒してはいますが、基本森の中には入ってきません」
今日に至っては、崖下の森で僧兵達と魔物の大群が戦っていたから、森から逃げ出した魔物を倒しもしなかったってことになるのか。
爆発系の魔法陣を森の入り口付近に設置しておく方が、部下達よりも役立つだろうな……。
僧兵達がいなければ、今頃ターゲットになっていた村は壊滅していただろう。
生まれてこの方1度も顔を見たことがない母さん。
だからなんとなく俺を産んだ後か、俺を産む代償として死んだのではないかと考えていたんだけど、どうやら母さんはちゃんと元気に生きているらしく、今は王都にいるのだとか。
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いやでもだからってさ、1度も顔を見せてくれないのはどうなんだろう?
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魔法が使えるってだけで、他の国との戦闘になった時に有利になるわけだから、父さんや兄さんみたいに攻撃魔法がバンバン打てる人材は貴重だろう。
魔法使いとしてスクロールを作るだけでも、魔力を持たない兵士の戦力の底上げになるわけだし。
それなら一緒に生活して、俺の弟とか妹とか作った方が……いや、そこは夫婦間の問題か。
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だからこそ兄さんだけ学校に行くことを許されたんだろうし……自分の身しか守れない俺では、王様の出した条件には当てはまらないから、屋敷とか森に閉じ込めていない者として扱うことにしたと。そんなところか。
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数回頭を振った父さんは、多分だけど王様の顔とか声とかを脳内で再生中なのだろう、目つきが物凄く鋭い。
いやいや、そうじゃない。
「兄さんで不十分って……」
攻撃魔法は一流だし、回復魔法も使える。確かに防御は弱いのかも知れないけど、それだって普通の兵士よりも強い。
「そこで陛下は島の国にある錬金術で、肉体強化についての研究をするようにと頼んだ……その結果、魔物が誕生するようになったんだ。陛下はその魔物達を私の領地に捨てることを勝手に許可し、以来森は廃棄場として使われている」
大陸の王様が島の王様に発注した依頼がきっかけで、実験体にされた人が魔物になる大惨事が起きるようになったのか。
森に魔物を捨てる許可って酷い話だけど、ここは俺が知っている話と一致している。
俺はてっきり父さんが島の王に頼んだ不老不死で実験体にされた人達が魔物になったと思っていたんだけど、その限りではないんだな。
「俺と俺の部下は廃棄物処理班って立ち位置なのは分かりました。その部下達が魔物退治に協力的ではないのは、元は人間だと知っているからですか?」
森に入ろうとする僧兵や冒険者から通行料を徴収しているってことも報告した方が良かっただろうか……。
「いいや、この話は極秘だ。協力的ではないとは?詳しく教えてくれ」
詳しくと言われても、森の中で戦っている俺が、入り口付近から動かない部下達を監視し続けることは無理だ。
「そうですね……森から逃げ出した魔物を倒してはいますが、基本森の中には入ってきません」
今日に至っては、崖下の森で僧兵達と魔物の大群が戦っていたから、森から逃げ出した魔物を倒しもしなかったってことになるのか。
爆発系の魔法陣を森の入り口付近に設置しておく方が、部下達よりも役立つだろうな……。
僧兵達がいなければ、今頃ターゲットになっていた村は壊滅していただろう。
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