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色々と、しっくりきてしまった。
とはいえ、実際にジークベルトと会った感じでは兄さんを無理矢理にでも島の国に連れて行くような感じはしなかったし、むしろジョーも島の国には行くなって姿勢だったように思う。
兄さんはジークベルトを信用しているようだったし、俺はジョーを信用している。
「父さん、第15王女は屋敷に来る前に兄さんと合流してます。屋敷に来たのは15王女の護衛だけですよ。兄さんが屋敷で待機するようにって言ったみたいです」
そう、だからそもそも婚約している2人は無事に出会っているから、俺とジョーが婚約しなくてもなんの問題もない訳で……。
そもそも俺とジョーは友達だし。
「第15王女は、屋敷にも来ていなかったか。はぁ~……カインはどこまで知ってるんだ?」
長く溜息を吐いた父さんは、グリグリとこめかみ辺りを押さえ、俺に言うでもなしに独り言のようにつぶやいた。
兄さんがどこまでのことを知っているのかなんて想像できないけど、少なくとも俺よりは色んなことを知っているんだろう。
もしかしたら、大陸の王様が父さんが戦争を始めようとしていることに気が付いているってことも知っていたのかもしれない。
「父さんはどうして兄さんを島の王に売ったんですか?」
とにかく、俺は知らないことばかりだから色々と答えを聞かなきゃならない。
父さんは兄さんよりも優れているから、自分が不老不死になってホーンドオウル領を治め続けるんだと言っていたわけだけど、それと兄さんを売るのとでは別じゃないか?
いや、でも島の王が兄さんを指名したんだっけ?
「……詳しい話が聞きたいのなら、カインを連れてきてくれ。反逆を企てることになった経緯から説明しよう」
やった、これで色々答えが知れる。
「……森にいる魔物が、元は人間だったということも?その魔物退治を俺にさせていた理由も?騎士達が魔物退治に前向きではない理由も?」
学校に通わせてくれなかった理由は?
魔物退治をするというまで部屋に閉じ込められていた理由は?
屋敷中にある魔法陣の効果とか、俺に言う事を利かせられる魔法のことについては?
「もう、そこまで知っていたのか……分かった。先にお前の質問に答えよう……カインを島に売った私の指示に従えというには、あまりにも信頼度が低過ぎるな」
信頼度が低いって、そんなことは……まぁ、あるのか。
椅子から立ち上がった父さんは、執務室の中央に設置されたソファーに座りなおすと、ちょいちょいと手招きをした。
どこに座れば良いのか分からず、とりあえず父さんの正面のソファーに座るべく、俺は部屋の隅から足を動かして部屋の中央に来てみれば、落ち着かない。
思い返してみれば、いつも部屋の隅に立つか座るかして壁を背にしているっけ。
四方のどこから攻撃が来るとも分からない森での生活に慣れているせいなのか、壁を背にしていないと落ち着かなくなってるのかな?
自分が防御特化のパッシブ魔力持ちだって分かっていたら、こんな癖が身に付くこともなかったのにさ。
とはいえ、実際にジークベルトと会った感じでは兄さんを無理矢理にでも島の国に連れて行くような感じはしなかったし、むしろジョーも島の国には行くなって姿勢だったように思う。
兄さんはジークベルトを信用しているようだったし、俺はジョーを信用している。
「父さん、第15王女は屋敷に来る前に兄さんと合流してます。屋敷に来たのは15王女の護衛だけですよ。兄さんが屋敷で待機するようにって言ったみたいです」
そう、だからそもそも婚約している2人は無事に出会っているから、俺とジョーが婚約しなくてもなんの問題もない訳で……。
そもそも俺とジョーは友達だし。
「第15王女は、屋敷にも来ていなかったか。はぁ~……カインはどこまで知ってるんだ?」
長く溜息を吐いた父さんは、グリグリとこめかみ辺りを押さえ、俺に言うでもなしに独り言のようにつぶやいた。
兄さんがどこまでのことを知っているのかなんて想像できないけど、少なくとも俺よりは色んなことを知っているんだろう。
もしかしたら、大陸の王様が父さんが戦争を始めようとしていることに気が付いているってことも知っていたのかもしれない。
「父さんはどうして兄さんを島の王に売ったんですか?」
とにかく、俺は知らないことばかりだから色々と答えを聞かなきゃならない。
父さんは兄さんよりも優れているから、自分が不老不死になってホーンドオウル領を治め続けるんだと言っていたわけだけど、それと兄さんを売るのとでは別じゃないか?
いや、でも島の王が兄さんを指名したんだっけ?
「……詳しい話が聞きたいのなら、カインを連れてきてくれ。反逆を企てることになった経緯から説明しよう」
やった、これで色々答えが知れる。
「……森にいる魔物が、元は人間だったということも?その魔物退治を俺にさせていた理由も?騎士達が魔物退治に前向きではない理由も?」
学校に通わせてくれなかった理由は?
魔物退治をするというまで部屋に閉じ込められていた理由は?
屋敷中にある魔法陣の効果とか、俺に言う事を利かせられる魔法のことについては?
「もう、そこまで知っていたのか……分かった。先にお前の質問に答えよう……カインを島に売った私の指示に従えというには、あまりにも信頼度が低過ぎるな」
信頼度が低いって、そんなことは……まぁ、あるのか。
椅子から立ち上がった父さんは、執務室の中央に設置されたソファーに座りなおすと、ちょいちょいと手招きをした。
どこに座れば良いのか分からず、とりあえず父さんの正面のソファーに座るべく、俺は部屋の隅から足を動かして部屋の中央に来てみれば、落ち着かない。
思い返してみれば、いつも部屋の隅に立つか座るかして壁を背にしているっけ。
四方のどこから攻撃が来るとも分からない森での生活に慣れているせいなのか、壁を背にしていないと落ち着かなくなってるのかな?
自分が防御特化のパッシブ魔力持ちだって分かっていたら、こんな癖が身に付くこともなかったのにさ。
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