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ジャラジャラという音が頭の中で響いていた。
……鎖……
その音で匠は目を開けた。
老人に打たれた薬でしばらく眠らされていたらしい。
ひどく視界がぼやけていた。
音がする上方へゆっくり目を向けた。
自分の周りを四人の男達が取り囲こみ、その横に白衣の老人がいる。
あの男の姿は見えなかった。
男達は自分をどこかへ移動させようとしているのか、手を縛っていた鎖を外そうとしている。
ジャラジャラと聞こえていたのはその音だ。
足元には金属のトレイが置かれていた。
老人がすぐ横に屈み込みんでいるところを見ると、そのトレイから、腕の点滴のパックを取り替え終えたばかりらしかった。
老人の丸い背中……。
匠は老人との、あのおぞましい行為を思い出していた。
嫌悪感で気分が悪くなる……。
ダメだ……思い出すな……。
今はチャンスだ……考えろ……。
……考えるんだ……ここから出る方法を……。
強く目を閉じ、今、自分がすべき事のみに神経を集中させた。
もうすぐ手を縛る鎖は外されるだろう。
あの男はいない。
相手は老人と四人の男。
幸いにも意識を取り戻した事は、まだ気付かれていない。
脱出するなら今しかない。
薬でまだ頭がハッキリしない。
体もまだ回復していない。
……だが……。
もうこれ以上、ここで好き勝手に弄ばれるわけには……。
どうする……。
どうする……!!
その時、ガシャン! と音がして鎖が床に落ちた。
縛られていた腕が一瞬自由になりフワリと宙に浮く。
その音と感覚で反射的に体が動いていた。
自由になったばかりの右腕に渾身の力を込め、そのまま一番近くにいた男の顔面に一撃を見舞った。
「グハッ……!」
潰れたような声を出し、男が怯むその隙を縫って前に出ると、トレイの中のハサミを握り取った。
目の前に居た老人の首に右腕を回し、左手でハサミを喉元に突きつける。
老人の体に触れた瞬間、あの悪夢が蘇り体が震えたが、匠は腕を緩めなかった。
いきなりの出来事に老人は驚き「ヒィ……」と小さく声をあげ、ふい打ちを食らった男は顔を押さえてもんどりうった。
全てが一瞬の出来事だった。
ハァ……
ハァ……
そのまま、チラと後ろを見る。
扉まで数十メートル。
老人を盾にゆっくりと後退った。
「……手を上げて……そのままだ……。
壁まで……さがれ…………」
四人の男達に向かって言った。
声を出すと息が苦しかった。
だが、弱っている事を悟られるわけにはいかない。
いきなりの事に驚き、動かない男達にもう一度「さがれ!」と大声で叫んだ。
痛みで胸が張り裂けそうだった。
「お、おいっ! ……殺される!!
お前達! 言う事を聞け! 私がどうなってもいいのか!
大人しくさがれ、さがれっー!」
老人が恐怖し、叫んだ。
……鎖……
その音で匠は目を開けた。
老人に打たれた薬でしばらく眠らされていたらしい。
ひどく視界がぼやけていた。
音がする上方へゆっくり目を向けた。
自分の周りを四人の男達が取り囲こみ、その横に白衣の老人がいる。
あの男の姿は見えなかった。
男達は自分をどこかへ移動させようとしているのか、手を縛っていた鎖を外そうとしている。
ジャラジャラと聞こえていたのはその音だ。
足元には金属のトレイが置かれていた。
老人がすぐ横に屈み込みんでいるところを見ると、そのトレイから、腕の点滴のパックを取り替え終えたばかりらしかった。
老人の丸い背中……。
匠は老人との、あのおぞましい行為を思い出していた。
嫌悪感で気分が悪くなる……。
ダメだ……思い出すな……。
今はチャンスだ……考えろ……。
……考えるんだ……ここから出る方法を……。
強く目を閉じ、今、自分がすべき事のみに神経を集中させた。
もうすぐ手を縛る鎖は外されるだろう。
あの男はいない。
相手は老人と四人の男。
幸いにも意識を取り戻した事は、まだ気付かれていない。
脱出するなら今しかない。
薬でまだ頭がハッキリしない。
体もまだ回復していない。
……だが……。
もうこれ以上、ここで好き勝手に弄ばれるわけには……。
どうする……。
どうする……!!
その時、ガシャン! と音がして鎖が床に落ちた。
縛られていた腕が一瞬自由になりフワリと宙に浮く。
その音と感覚で反射的に体が動いていた。
自由になったばかりの右腕に渾身の力を込め、そのまま一番近くにいた男の顔面に一撃を見舞った。
「グハッ……!」
潰れたような声を出し、男が怯むその隙を縫って前に出ると、トレイの中のハサミを握り取った。
目の前に居た老人の首に右腕を回し、左手でハサミを喉元に突きつける。
老人の体に触れた瞬間、あの悪夢が蘇り体が震えたが、匠は腕を緩めなかった。
いきなりの出来事に老人は驚き「ヒィ……」と小さく声をあげ、ふい打ちを食らった男は顔を押さえてもんどりうった。
全てが一瞬の出来事だった。
ハァ……
ハァ……
そのまま、チラと後ろを見る。
扉まで数十メートル。
老人を盾にゆっくりと後退った。
「……手を上げて……そのままだ……。
壁まで……さがれ…………」
四人の男達に向かって言った。
声を出すと息が苦しかった。
だが、弱っている事を悟られるわけにはいかない。
いきなりの事に驚き、動かない男達にもう一度「さがれ!」と大声で叫んだ。
痛みで胸が張り裂けそうだった。
「お、おいっ! ……殺される!!
お前達! 言う事を聞け! 私がどうなってもいいのか!
大人しくさがれ、さがれっー!」
老人が恐怖し、叫んだ。
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