56 / 199
- 55
しおりを挟む
ラウは背の高い細身ではあったが、その身体は美しい筋肉で構成されていた。
長い黒髪が掛かるその姿に、シュリは思わず息を呑む。
寄宿生活をしていたシュリは、同じ男子学生達と寝食を共にしている。
もちろん男同士であり、裸を見たからと言って他意を持った事はない。
だが今、暖炉の炎に照らされて立つラウは……。
先の、剣の手合せの時に見せた動き。
あれはラウの不自由な脚を補ってもまだ余る程の、この美しい肉体の成せる術だったのだ。
そしてその体にうっすらと残る数多くの傷跡らしきもの……。
自分にもある、付けられたばかりの同じ傷。
だがシュリは、その自分の傷よりも、ラウの傷の方が痛ましく、悔しく思えた。
胸が締め付けられる苦しさを覚え、引き寄せられるように、ゆっくりとベッドから降りた。
そしてラウを、無言のまま正面からしっかりと抱き締めていた。
全裸で抱き合うと肌の温もりが直に感じられる。
何故そんな行動にでたのか、シュリ自身わからなかった。
ただ、親が子を抱くように、傷ついた幼子を慰めるように、そうしたかった。
「……幼い日に……こんなにも……。
どれほど辛かったか……」
「もう大丈夫ですから……」
「ん……」
その声に頷きながら、視線を落とした先……ラウの左上腕に、他の傷とは明らかに違う異形の――痣のような物があった。
「……これは……」
それに触れながらシュリが小さく呟く。
「ああ、それは生まれついてのもの。
傷つけられたわけではありませんし、痛みもありません。
御心配なさらず……」
「そうか、よかった」
シュリは一つ一つの傷を労わるように指でなぞり続ける。
そんなシュリを、ラウは静かに見下ろしていたが、やがてその肩に手を置いた。
「シュリ様……」
促され、シュリがラウの足元に跪く。
一国の皇太子が、使用人の前に跪くなどあり得ない事だったが、その姿をラウは冷静に、黙ったまま静かに見ていた。
ラウに見つめられながら両膝を付き、シュリはラウのモノに、わずかに震える手を添えた。
そしてラウの行為を思い出し、口を少しだけ開け、舌を出してみる。
たった今された事……。
ラウが自分にしてくれた事……同じようにすればいい……。
わかってはいる。
だが、どうしても舌で触れる事ができなかった。
皇子と使用人。
いや、そんな身分以前に、同じ男のモノ……。
同じ男の、生殖器官であり排泄器官……そんなモノを口に……。
ラウは躊躇するシュリをしばらく見下ろしていたが、
「シュリ様、無理されなくてよろしいのですよ」
静かにそう告げた。
その言葉にシュリは小さく首を振る。
もうラウを身代わりにはできない……。
絶対にさせない……。
意を決したシュリの舌先がラウのモノにわずかに触れた。
「……んっ」
ラウの小さな声がした。
その声にシュリが顔を上げる。
そこには自分を見つめるラウの姿があった。
ラウも、私のこの行為で、自分と同じように感じてくれているのだろうか……。
そう思うと、なぜか胸が熱くなった。
そしてもう一度、今度は少し長く舌を這わせた。
自分の肩に置かれたラウの指先に、わずかに力が入るのがわかる。
「これで……いい……のか?」
何度かその行為を繰り返したあと、シュリが小さく尋ねた。
「ええ……次は口に含んで」
「口に……」
シュリは一度目を閉じると深呼吸をし、そのままゆっくりと自分の口内へと運び入れた。
柔らかな男のモノ。
それが今、自分の口内にある。
生々しい感覚にそのまま動けずにいた。
どうしていいのか、わからなかった。
初めての経験に戸惑い動けずにいると、段々と息は苦しくなる。
それを察したかのように、ラウの手が動いた。
「ゆっくりと頭を動かして……歯を立てないように」
そう言いながら、シュリの頭に手を添えると、前後に動き先導し始めた。
「んっ……っっ……!」
自分の口から抽挿される男のモノ。
思わず体中に力が入り、ラウの脚にしがみついた。
「体の力を抜いてください。
それでは動かせません」
そこからはもう何も考えられなかった。
ただされるがままに頭を動かした。
長い黒髪が掛かるその姿に、シュリは思わず息を呑む。
寄宿生活をしていたシュリは、同じ男子学生達と寝食を共にしている。
もちろん男同士であり、裸を見たからと言って他意を持った事はない。
だが今、暖炉の炎に照らされて立つラウは……。
先の、剣の手合せの時に見せた動き。
あれはラウの不自由な脚を補ってもまだ余る程の、この美しい肉体の成せる術だったのだ。
そしてその体にうっすらと残る数多くの傷跡らしきもの……。
自分にもある、付けられたばかりの同じ傷。
だがシュリは、その自分の傷よりも、ラウの傷の方が痛ましく、悔しく思えた。
胸が締め付けられる苦しさを覚え、引き寄せられるように、ゆっくりとベッドから降りた。
そしてラウを、無言のまま正面からしっかりと抱き締めていた。
全裸で抱き合うと肌の温もりが直に感じられる。
何故そんな行動にでたのか、シュリ自身わからなかった。
ただ、親が子を抱くように、傷ついた幼子を慰めるように、そうしたかった。
「……幼い日に……こんなにも……。
どれほど辛かったか……」
「もう大丈夫ですから……」
「ん……」
その声に頷きながら、視線を落とした先……ラウの左上腕に、他の傷とは明らかに違う異形の――痣のような物があった。
「……これは……」
それに触れながらシュリが小さく呟く。
「ああ、それは生まれついてのもの。
傷つけられたわけではありませんし、痛みもありません。
御心配なさらず……」
「そうか、よかった」
シュリは一つ一つの傷を労わるように指でなぞり続ける。
そんなシュリを、ラウは静かに見下ろしていたが、やがてその肩に手を置いた。
「シュリ様……」
促され、シュリがラウの足元に跪く。
一国の皇太子が、使用人の前に跪くなどあり得ない事だったが、その姿をラウは冷静に、黙ったまま静かに見ていた。
ラウに見つめられながら両膝を付き、シュリはラウのモノに、わずかに震える手を添えた。
そしてラウの行為を思い出し、口を少しだけ開け、舌を出してみる。
たった今された事……。
ラウが自分にしてくれた事……同じようにすればいい……。
わかってはいる。
だが、どうしても舌で触れる事ができなかった。
皇子と使用人。
いや、そんな身分以前に、同じ男のモノ……。
同じ男の、生殖器官であり排泄器官……そんなモノを口に……。
ラウは躊躇するシュリをしばらく見下ろしていたが、
「シュリ様、無理されなくてよろしいのですよ」
静かにそう告げた。
その言葉にシュリは小さく首を振る。
もうラウを身代わりにはできない……。
絶対にさせない……。
意を決したシュリの舌先がラウのモノにわずかに触れた。
「……んっ」
ラウの小さな声がした。
その声にシュリが顔を上げる。
そこには自分を見つめるラウの姿があった。
ラウも、私のこの行為で、自分と同じように感じてくれているのだろうか……。
そう思うと、なぜか胸が熱くなった。
そしてもう一度、今度は少し長く舌を這わせた。
自分の肩に置かれたラウの指先に、わずかに力が入るのがわかる。
「これで……いい……のか?」
何度かその行為を繰り返したあと、シュリが小さく尋ねた。
「ええ……次は口に含んで」
「口に……」
シュリは一度目を閉じると深呼吸をし、そのままゆっくりと自分の口内へと運び入れた。
柔らかな男のモノ。
それが今、自分の口内にある。
生々しい感覚にそのまま動けずにいた。
どうしていいのか、わからなかった。
初めての経験に戸惑い動けずにいると、段々と息は苦しくなる。
それを察したかのように、ラウの手が動いた。
「ゆっくりと頭を動かして……歯を立てないように」
そう言いながら、シュリの頭に手を添えると、前後に動き先導し始めた。
「んっ……っっ……!」
自分の口から抽挿される男のモノ。
思わず体中に力が入り、ラウの脚にしがみついた。
「体の力を抜いてください。
それでは動かせません」
そこからはもう何も考えられなかった。
ただされるがままに頭を動かした。
0
お気に入りに追加
84
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。


塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる