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メラン編
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「あのぉ、とりあえず、飯食いませんか?」
あの話し合い(?)がひと段落した後、空腹に限界が来たハンスが恐る恐る提案した。
トウヤも一連の騒ぎのせいで忘れていたが、ハンスの言葉に自分も空腹だったことを思い出した。
「昼食食べに行くなら僕も行く!」と譲らなかったタミルと、「お前に俄然興味が湧いた」と爆弾発言をしたフィン(その後しばらく火花が散った)も一緒に来ると言う。
「目立つの禁止!喧嘩するの禁止!無理ならついてくんな!」
トウヤのごもっともな意見を受け入れた次期領主2人は、頭に布を巻いたり、魔法で瞳の色を変えたりして周囲に要人だとバレないよう変装を施し、トウヤとハンスに着いてくるのであった。
タミルはトウヤにバレないようフィンに舌打ちをかましていたが、フィンはハンっと鼻で遇らっていた。
「うはぁぁ~・・・・今日は・・疲れたぁ・・・」
ケインの家に戻り、ハンスと共に部屋へ向かったトウヤ。今夜はソファの日だ。
大きめのソファにドサァ、と仰向けに倒れ目を閉じる。
思い出すのは今日のタミルとフィンとの別れ際のことだ。
昨日と同じくトウヤから離れなかったタミルを「聞き分けのない奴は・・・・」と説得、身体からベリベリと引き離すところまではまだよかった。
昼食時から何やら考え込んでいたフィンは、ツカツカツカ、とトウヤの目の前まで来ると、突然トウヤを力一杯抱きしめたのである。
「んな?!」と言葉にならない悲鳴を上げるトウヤを無視してフィンは抱き締め続ける。
一方タミルは一瞬呆気に取られていたが、瞬く間に殺気にも似た魔力を身体に纏わせ、小さな声で「殺す」と呟いた。
まさに一触即発ーー・・・!
するとその時、フィンの身体から何か流れ込んでくるのを感じた。
「な、なにしてーーー・・」
「もうちょいだ、黙って抱かれてろ。」
何か語弊がある言い方だぞ、と思った瞬間、フィンから流れてきたものが収まり、身体が離れた。
その瞬間、タミルが飛びかかろうとするが、「待て!」と叫ぶトウヤの声でピタッと止まった。
「~~っ、だって!トウヤ!何で止めるのぉ!?ああ!!!その瞳の色!!!・・マジでぶっ殺す!」
「だーかーら!ヤ・メ・ロ!タミル!言うこと聞けって。・・・ん?瞳の色?」
「ううう~~だってぇ!俺のトウヤがぁ~~!もういい!俺ももっと流し込む!」
「タミル様!これ以上トウヤ殿にご迷惑をお掛けしてはなりません!見逃すのもここまでですよ!」
タミルの電気は治っていなかったが、ダスールの言葉に唇を噛んで悔しそうにフィンを睨んでいる。
当のフィンはあっけらかんとした顔でトウヤの瞳を見ていた。
「へぇ~!おもしれぇ、混じったぜ。魔力もそこそこ感じるなぁ。トウヤ、お前元は相当魔力持ってんじゃねーの?まだまだ入るぜ。」
何やら一人で納得し、満足そうなフィンは気が済んだようで「じゃあまたな、トウヤ」と手をひらひら振りながら一人で王城に戻っていった。
そして顔を真っ赤にして終始悔しそうにしていたタミルもダスールに引き摺られながら、同じく王城に戻っていったのである。
「・・・本当に混じってるし。なあ、ハンス、俺と色々代わってくんない?」
「へあ?む、無理無理無理無理。俺、囲まれるなら髪が長くて胸が大きい美人がいい!いや、短い髪でもいいけど!」
「ふはっ!何だよ、その願望は。・・はーあ。これ元に戻んのかな~?」
「ふっ、その色も似合ってるぜ~~なぁーんて。・・・イテッ!何だよ!靴投げんな!バチが当たるぞ!」
ギャーギャー騒ぐハンスを横目にまたトウヤは静かに目を閉じた。
閉じた目の奥、トウヤの瞳は光り輝く橙色だった。
それはまさにタミルとフィンの瞳の色を混ぜた色、そのものだったのである。
あの話し合い(?)がひと段落した後、空腹に限界が来たハンスが恐る恐る提案した。
トウヤも一連の騒ぎのせいで忘れていたが、ハンスの言葉に自分も空腹だったことを思い出した。
「昼食食べに行くなら僕も行く!」と譲らなかったタミルと、「お前に俄然興味が湧いた」と爆弾発言をしたフィン(その後しばらく火花が散った)も一緒に来ると言う。
「目立つの禁止!喧嘩するの禁止!無理ならついてくんな!」
トウヤのごもっともな意見を受け入れた次期領主2人は、頭に布を巻いたり、魔法で瞳の色を変えたりして周囲に要人だとバレないよう変装を施し、トウヤとハンスに着いてくるのであった。
タミルはトウヤにバレないようフィンに舌打ちをかましていたが、フィンはハンっと鼻で遇らっていた。
「うはぁぁ~・・・・今日は・・疲れたぁ・・・」
ケインの家に戻り、ハンスと共に部屋へ向かったトウヤ。今夜はソファの日だ。
大きめのソファにドサァ、と仰向けに倒れ目を閉じる。
思い出すのは今日のタミルとフィンとの別れ際のことだ。
昨日と同じくトウヤから離れなかったタミルを「聞き分けのない奴は・・・・」と説得、身体からベリベリと引き離すところまではまだよかった。
昼食時から何やら考え込んでいたフィンは、ツカツカツカ、とトウヤの目の前まで来ると、突然トウヤを力一杯抱きしめたのである。
「んな?!」と言葉にならない悲鳴を上げるトウヤを無視してフィンは抱き締め続ける。
一方タミルは一瞬呆気に取られていたが、瞬く間に殺気にも似た魔力を身体に纏わせ、小さな声で「殺す」と呟いた。
まさに一触即発ーー・・・!
するとその時、フィンの身体から何か流れ込んでくるのを感じた。
「な、なにしてーーー・・」
「もうちょいだ、黙って抱かれてろ。」
何か語弊がある言い方だぞ、と思った瞬間、フィンから流れてきたものが収まり、身体が離れた。
その瞬間、タミルが飛びかかろうとするが、「待て!」と叫ぶトウヤの声でピタッと止まった。
「~~っ、だって!トウヤ!何で止めるのぉ!?ああ!!!その瞳の色!!!・・マジでぶっ殺す!」
「だーかーら!ヤ・メ・ロ!タミル!言うこと聞けって。・・・ん?瞳の色?」
「ううう~~だってぇ!俺のトウヤがぁ~~!もういい!俺ももっと流し込む!」
「タミル様!これ以上トウヤ殿にご迷惑をお掛けしてはなりません!見逃すのもここまでですよ!」
タミルの電気は治っていなかったが、ダスールの言葉に唇を噛んで悔しそうにフィンを睨んでいる。
当のフィンはあっけらかんとした顔でトウヤの瞳を見ていた。
「へぇ~!おもしれぇ、混じったぜ。魔力もそこそこ感じるなぁ。トウヤ、お前元は相当魔力持ってんじゃねーの?まだまだ入るぜ。」
何やら一人で納得し、満足そうなフィンは気が済んだようで「じゃあまたな、トウヤ」と手をひらひら振りながら一人で王城に戻っていった。
そして顔を真っ赤にして終始悔しそうにしていたタミルもダスールに引き摺られながら、同じく王城に戻っていったのである。
「・・・本当に混じってるし。なあ、ハンス、俺と色々代わってくんない?」
「へあ?む、無理無理無理無理。俺、囲まれるなら髪が長くて胸が大きい美人がいい!いや、短い髪でもいいけど!」
「ふはっ!何だよ、その願望は。・・はーあ。これ元に戻んのかな~?」
「ふっ、その色も似合ってるぜ~~なぁーんて。・・・イテッ!何だよ!靴投げんな!バチが当たるぞ!」
ギャーギャー騒ぐハンスを横目にまたトウヤは静かに目を閉じた。
閉じた目の奥、トウヤの瞳は光り輝く橙色だった。
それはまさにタミルとフィンの瞳の色を混ぜた色、そのものだったのである。
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