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第12章 臨時会談編
第296話 新国家の名称が決定!
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「クリスティン、以前選出をお願いした各国へ派遣する大使は決まった?」
「はい、私がそのうちの一人で、他はヴォーレイ、サクラノ、ヴィクスター、バーバライアの四人です」
クリスティン以外は聞いたことない名前ばかりだわ。
「選出ありがとう。じゃあ後日面談して問題無さそうなら、大使として他国へ行ってもらうことになると思う。クリスティン、あなたはもうほぼ決まりかな。私としてはあなたがここから離れるのは残念だけど、他国のことを勉強してきてほしいと思う。立派に務めを果たして来てね」
「はい!」
「それと、これはみんなに言っておくことなんだけど、この中立地帯に新しい国の名前を付けなければならなくなった」
「新しい国の名前を? アルトレリアではダメなのですか?」
リーヴァントが異を唱える。
初めて正式にこの町に付いた名前だから思い入れもあるのかもしれない。
「今まで町の名前だったアルトレリアを国の名前に格上げすると、必然的に町の名前を変えなきゃならないから、“アルトレリア”で慣れた町民からはややこしいと感じると思う」
「ということは新たに名前を付けなきゃならないんですね」
「また投票にしますか?」
「どうしようか? ここだけで決めてしまえるならそれもありかもしれないけど。じゃあみんなで案を出し合ってみましょうか」
……
…………
………………
◇
しばらく経って――
「思いついた人いる?」
「はい!」
「じゃあリーヴァントから」
「『アルトレリアス』」
「ん? どこか変わった?」
「後ろに“ス”を付け足しました」
「う~ん……そうするとこの町を答える時は『ここはアルトレリアスのアルトレリアです』になるの? 紛らわしくない?」
「すみません、中々思い浮かばなかったもので……」
まあ『ここは静岡県の静岡市です』ってのと同じかな? そう考えると別に変ではない? ……いや県名と市名の関係じゃなくて国名と町名の関係だから大分事情が違うか。
「ルークは?」
「『アルトレリウス』なんてどうですか?」
「リーヴァントとあまり変わらないね。これも字面が紛らわしいかも」
「そうですか……」
「イチトスは?」
「『アルトラの国』はどうでしょう!」
「モロに私の名前だけど……」
私が支配する独裁国家みたいだ……
それに日本出身の私が聞くと何だかM87星雲にある星を連想するくらい語感が似ている……
「アルトラ様が打ち建てた国ということで、分かり易くて良いのではないかと!」
「う~ん……却下ね、直接的過ぎて私が恥ずかしい」
「そうですか……」
「クリスティンは?」
「『アルトアンヘル』なんてどうでしょうか?」
「どういう意味があるの?」
「昔カイベルさんに聞いたことがあるんですけど、アンヘルは天使の別の言い方だそうですね。アルトラ様は天使のような特徴をお持ちですし、ピッタリなんじゃないかと」
「そんな意味があるの? カイベル」
「アンヘルは、エンジェルのスペイン語の言い方です」
「へぇ~、そうなんだ」
「アン (否定)ヘル (地獄)でダブルミーニングでもあります」
おぉ……流石勉強してるだけある。他のトロルより頭一つ抜けてる。
でも――
「凄く良い名前だし、出来ることならこれにしたいところなんだけど、ちょっと採用は難しいかな……」
「どうしてですか?」
「七大国会談で私自身が“天使”に連なる者ではないかと目を付けられちゃってね。 (第230話参照)この名前付けると町の人を危険に曝してしまうかもしれない」
「そうなんですか……残念です……」
「キャンフィールドは?」
「おう、自信作だ。『アルトレリーヴァ』」
「これはどういう意味が込められてるの?」
「アルトラ様とリーヴァントさんが作り上げたようなものだから二人の名前を足した」
「それは何か畏れ多いのでダメです!」
リーヴァントは私が神様か何かに見えてるんだろうか? 『畏れ多い』って……
名前としては中々カッコイイ名前だと思ったのだけど……
前回『リーヴァント村』に二票投票があったけど、一人は息子さんで、もう一人は奥さんじゃなくてキャンフィールドだったんじゃ……? (第172話参照)
「他にある? リナさんとかどう?」
「『アルトバエルン』」
何か聞いたことあるな……地球でも似た名前の食品があったけど……アクアリヴィアの商店でもこんな感じの食品を見た気が……
「え!? リナも? 私もだよ!」
ヤポーニャさんも同じ名前を考えたらしい。
「何で二人が同じに? 何でそれになったの?」
「アクアリヴィアに美味しいソーセージ売ってるんですよ~」
「私もアルトレリアの名前の前半部分が似てるなと……」
二人ともテヘヘという感じでしゃべる。
「……つまりソーセージの名前ってわけね……もちろん却下で」
「実は俺も……」
「ハハハ……私もです」
フィンツさんとトーマスが後出しで名乗り出る。
フィンツさんを睨んだところ言い訳のように――
「さ、酒の肴に合うもんだからつい……」
………………
まあ、中にはこういう悪ふざけも出てくるだろうと想定はしていた。
「他に考えた人いる?」
「『中立地帯“国”』じゃいかんのか?」
ダイクーがそのままの名前を言った。
「私も中立地帯で良いんじゃないかと思って七大国会談運営に聞いた時に却下されたから、“国”を後ろに付け足した程度じゃ多分却下されると思う」
「そうか」
「他にある?」
残りの者は顔をフルフルと横に振って否定の合図。
「名前考えるの結構難しいですね……」
「そう言うアルトラ様はどんなの考えたんですか?」
「え゛?」
「『え?』って考えたんですよね?」
「わ、私は……『トロル国ん』」
「アルトラ様がふざけてるじゃないですか! それにまた『くん付け』って……」
「ごめん……考え付かなかったもんだから……」
「じゃあまた町民に投票してもらいますか?」
「それが良いかもね」
と言うわけで、第二回名前投票と相成った。
◇
そして、およそ一週間後。投票を締め切りいくつかの候補が挙がった。――
「『サンライズ』、『ライジングサン』、『シャインライズ』、『アルトラルサンズ』、『サンアルトライズ』。何だか太陽関係ばっか残したね」
「太陽が昇る国なので、相応しいかと思い」
日本人の私としては、この名前を残されたのは少々感慨深い。
「他にどんなのがあったの?」
「『アルトラの国』と『アルトラ王国』がダントツで多かったですよ、合計で六十票」
イチトスと同じものか。
みんな安易に名付けてる気がするわ……
「他には『七色の国セブンス』、『ヘルニアー』、『ヘルヘル』、『レッドアルトレリア』、『グリーンアルトレリア』、『アルトロール』、『ドラゴンガード』、『緑の国』」
う~ん、確かに太陽が含まれてた方がインパクトがある気がする。
『ヘルニアー』って何だよ……腰とか首の病気みたいじゃないか……多分『地獄』、『近い』って言いたいんだろうけど……文法逆でしょ。まあどっちも地獄の苦しみなのは認めるけど……私もデスクワーク多かったから、二十七の若さだったにも関わらず、何度か経験してる……
『ヘルヘル』はちょっと可愛いわね。
『七色の国セブンス』と『ドラゴンガード』は多分ナナトス・フレハルね。今回は多少主張弱めだけど、含まれてる単語で何となく分かる。
『アルトロール』は結構良い感じだけど、リーヴァントとしては無しだったのね。
『グリーン』とか『レッド』とか付いてるアルトレリアは何のことだかわからないけど……あと『緑の国』も。これらはこの地に草木が生い茂るようになったことと関係あるのかしら?
まあ、こっちはリーヴァントが弾いたものだから、別に考えなくて良いか。
「じゃあ、この五候補の中でどれが良いか挙手をお願い。『サンライズ』が良い人――」
◇
会議に集まったメンバーに挙手で投票してもらったところ、
サンライズ・・・・・・一票
ライジングサン・・・・一票
シャインライズ・・・・一票
アルトラルサンズ・・・九票
サンアルトライズ・・・三票
で、『アルトラルサンズ』に決まった。
「それぞれの魔王は自分の国に自身の名前を冠していると聞いています。今後アルトラ様が魔王になるのに相応しい国名になりましたね」
「今のところ魔王になる予定は無いけどね……」
とすると、これって名前負けしてるのでは? 少し恥ずかしくなってきた。
リーヴァントは私が魔王になるのを期待しているかのようだ。確かに前々世の私が持っていた『暴食』が行方不明の所為で、風の魔王の席が空席だから、私が魔王になる可能性も無くはないけど……
でも、それを継承してしまうと風の国の王に祀り上げられるだろうから、こことお別れって可能性も……
リーヴァントの魔王を見据えている話を聞いてたリナさんが、それに迎合する。
「アクアリヴィアでは、この中立地帯が最初に太陽が出現した国と言われてます。『太陽昇る国・アルトラルサンズ』、良い名前になったのではないでしょうか?」
『太陽昇る国』なんて仰々しいけど、一応事実は事実なのよね……
最初に疑似太陽作った時には、こんな国を作るなんて大ごとになるとは思ってなかったけど……
「そうだね、みんながこの名前を誇れるような国にしていこう」
この次の日、最近町に出来た新聞社によって、国の名前が周知されることになる。
「はい、私がそのうちの一人で、他はヴォーレイ、サクラノ、ヴィクスター、バーバライアの四人です」
クリスティン以外は聞いたことない名前ばかりだわ。
「選出ありがとう。じゃあ後日面談して問題無さそうなら、大使として他国へ行ってもらうことになると思う。クリスティン、あなたはもうほぼ決まりかな。私としてはあなたがここから離れるのは残念だけど、他国のことを勉強してきてほしいと思う。立派に務めを果たして来てね」
「はい!」
「それと、これはみんなに言っておくことなんだけど、この中立地帯に新しい国の名前を付けなければならなくなった」
「新しい国の名前を? アルトレリアではダメなのですか?」
リーヴァントが異を唱える。
初めて正式にこの町に付いた名前だから思い入れもあるのかもしれない。
「今まで町の名前だったアルトレリアを国の名前に格上げすると、必然的に町の名前を変えなきゃならないから、“アルトレリア”で慣れた町民からはややこしいと感じると思う」
「ということは新たに名前を付けなきゃならないんですね」
「また投票にしますか?」
「どうしようか? ここだけで決めてしまえるならそれもありかもしれないけど。じゃあみんなで案を出し合ってみましょうか」
……
…………
………………
◇
しばらく経って――
「思いついた人いる?」
「はい!」
「じゃあリーヴァントから」
「『アルトレリアス』」
「ん? どこか変わった?」
「後ろに“ス”を付け足しました」
「う~ん……そうするとこの町を答える時は『ここはアルトレリアスのアルトレリアです』になるの? 紛らわしくない?」
「すみません、中々思い浮かばなかったもので……」
まあ『ここは静岡県の静岡市です』ってのと同じかな? そう考えると別に変ではない? ……いや県名と市名の関係じゃなくて国名と町名の関係だから大分事情が違うか。
「ルークは?」
「『アルトレリウス』なんてどうですか?」
「リーヴァントとあまり変わらないね。これも字面が紛らわしいかも」
「そうですか……」
「イチトスは?」
「『アルトラの国』はどうでしょう!」
「モロに私の名前だけど……」
私が支配する独裁国家みたいだ……
それに日本出身の私が聞くと何だかM87星雲にある星を連想するくらい語感が似ている……
「アルトラ様が打ち建てた国ということで、分かり易くて良いのではないかと!」
「う~ん……却下ね、直接的過ぎて私が恥ずかしい」
「そうですか……」
「クリスティンは?」
「『アルトアンヘル』なんてどうでしょうか?」
「どういう意味があるの?」
「昔カイベルさんに聞いたことがあるんですけど、アンヘルは天使の別の言い方だそうですね。アルトラ様は天使のような特徴をお持ちですし、ピッタリなんじゃないかと」
「そんな意味があるの? カイベル」
「アンヘルは、エンジェルのスペイン語の言い方です」
「へぇ~、そうなんだ」
「アン (否定)ヘル (地獄)でダブルミーニングでもあります」
おぉ……流石勉強してるだけある。他のトロルより頭一つ抜けてる。
でも――
「凄く良い名前だし、出来ることならこれにしたいところなんだけど、ちょっと採用は難しいかな……」
「どうしてですか?」
「七大国会談で私自身が“天使”に連なる者ではないかと目を付けられちゃってね。 (第230話参照)この名前付けると町の人を危険に曝してしまうかもしれない」
「そうなんですか……残念です……」
「キャンフィールドは?」
「おう、自信作だ。『アルトレリーヴァ』」
「これはどういう意味が込められてるの?」
「アルトラ様とリーヴァントさんが作り上げたようなものだから二人の名前を足した」
「それは何か畏れ多いのでダメです!」
リーヴァントは私が神様か何かに見えてるんだろうか? 『畏れ多い』って……
名前としては中々カッコイイ名前だと思ったのだけど……
前回『リーヴァント村』に二票投票があったけど、一人は息子さんで、もう一人は奥さんじゃなくてキャンフィールドだったんじゃ……? (第172話参照)
「他にある? リナさんとかどう?」
「『アルトバエルン』」
何か聞いたことあるな……地球でも似た名前の食品があったけど……アクアリヴィアの商店でもこんな感じの食品を見た気が……
「え!? リナも? 私もだよ!」
ヤポーニャさんも同じ名前を考えたらしい。
「何で二人が同じに? 何でそれになったの?」
「アクアリヴィアに美味しいソーセージ売ってるんですよ~」
「私もアルトレリアの名前の前半部分が似てるなと……」
二人ともテヘヘという感じでしゃべる。
「……つまりソーセージの名前ってわけね……もちろん却下で」
「実は俺も……」
「ハハハ……私もです」
フィンツさんとトーマスが後出しで名乗り出る。
フィンツさんを睨んだところ言い訳のように――
「さ、酒の肴に合うもんだからつい……」
………………
まあ、中にはこういう悪ふざけも出てくるだろうと想定はしていた。
「他に考えた人いる?」
「『中立地帯“国”』じゃいかんのか?」
ダイクーがそのままの名前を言った。
「私も中立地帯で良いんじゃないかと思って七大国会談運営に聞いた時に却下されたから、“国”を後ろに付け足した程度じゃ多分却下されると思う」
「そうか」
「他にある?」
残りの者は顔をフルフルと横に振って否定の合図。
「名前考えるの結構難しいですね……」
「そう言うアルトラ様はどんなの考えたんですか?」
「え゛?」
「『え?』って考えたんですよね?」
「わ、私は……『トロル国ん』」
「アルトラ様がふざけてるじゃないですか! それにまた『くん付け』って……」
「ごめん……考え付かなかったもんだから……」
「じゃあまた町民に投票してもらいますか?」
「それが良いかもね」
と言うわけで、第二回名前投票と相成った。
◇
そして、およそ一週間後。投票を締め切りいくつかの候補が挙がった。――
「『サンライズ』、『ライジングサン』、『シャインライズ』、『アルトラルサンズ』、『サンアルトライズ』。何だか太陽関係ばっか残したね」
「太陽が昇る国なので、相応しいかと思い」
日本人の私としては、この名前を残されたのは少々感慨深い。
「他にどんなのがあったの?」
「『アルトラの国』と『アルトラ王国』がダントツで多かったですよ、合計で六十票」
イチトスと同じものか。
みんな安易に名付けてる気がするわ……
「他には『七色の国セブンス』、『ヘルニアー』、『ヘルヘル』、『レッドアルトレリア』、『グリーンアルトレリア』、『アルトロール』、『ドラゴンガード』、『緑の国』」
う~ん、確かに太陽が含まれてた方がインパクトがある気がする。
『ヘルニアー』って何だよ……腰とか首の病気みたいじゃないか……多分『地獄』、『近い』って言いたいんだろうけど……文法逆でしょ。まあどっちも地獄の苦しみなのは認めるけど……私もデスクワーク多かったから、二十七の若さだったにも関わらず、何度か経験してる……
『ヘルヘル』はちょっと可愛いわね。
『七色の国セブンス』と『ドラゴンガード』は多分ナナトス・フレハルね。今回は多少主張弱めだけど、含まれてる単語で何となく分かる。
『アルトロール』は結構良い感じだけど、リーヴァントとしては無しだったのね。
『グリーン』とか『レッド』とか付いてるアルトレリアは何のことだかわからないけど……あと『緑の国』も。これらはこの地に草木が生い茂るようになったことと関係あるのかしら?
まあ、こっちはリーヴァントが弾いたものだから、別に考えなくて良いか。
「じゃあ、この五候補の中でどれが良いか挙手をお願い。『サンライズ』が良い人――」
◇
会議に集まったメンバーに挙手で投票してもらったところ、
サンライズ・・・・・・一票
ライジングサン・・・・一票
シャインライズ・・・・一票
アルトラルサンズ・・・九票
サンアルトライズ・・・三票
で、『アルトラルサンズ』に決まった。
「それぞれの魔王は自分の国に自身の名前を冠していると聞いています。今後アルトラ様が魔王になるのに相応しい国名になりましたね」
「今のところ魔王になる予定は無いけどね……」
とすると、これって名前負けしてるのでは? 少し恥ずかしくなってきた。
リーヴァントは私が魔王になるのを期待しているかのようだ。確かに前々世の私が持っていた『暴食』が行方不明の所為で、風の魔王の席が空席だから、私が魔王になる可能性も無くはないけど……
でも、それを継承してしまうと風の国の王に祀り上げられるだろうから、こことお別れって可能性も……
リーヴァントの魔王を見据えている話を聞いてたリナさんが、それに迎合する。
「アクアリヴィアでは、この中立地帯が最初に太陽が出現した国と言われてます。『太陽昇る国・アルトラルサンズ』、良い名前になったのではないでしょうか?」
『太陽昇る国』なんて仰々しいけど、一応事実は事実なのよね……
最初に疑似太陽作った時には、こんな国を作るなんて大ごとになるとは思ってなかったけど……
「そうだね、みんながこの名前を誇れるような国にしていこう」
この次の日、最近町に出来た新聞社によって、国の名前が周知されることになる。
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