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第12章 臨時会談編
第283話 寒さ耐性付与に納得させたい!
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少し時が経ち――
「現状を理解してもらう何か良い方法は無いだろうか?」
「じゃあ、外の気温を体験してもらう?」
「どういうことだ? 皆を外へ連れ出すということか? 多分いちいち出たがらんと思うぞ?」
「最近レッドドラゴンがここから出たのっていつくらい?」
「個々人のことは分からんが…………恐らく一年ほど前の『終末の神水』の時だろうな」 (第13~14話、第104話参照)
ああ……あの時私がやったやつか……
「ってことはほぼ一年食べ物も食べず引きこもり状態!?」
「食わなくても死なんとなると、ここまで怠惰になるのだな、ハッハッハ」
笑いごとじゃないよ!
何て生産性の無い生物……
「外に出たがらないなら最終手段に出るか」
「どんな方法だ?」
「空間魔法と火魔法、氷魔法で、この場に一時的に現在のアルトレリアと同じくらいの気温を再現する。その気温を体験してもらえば多少危機感が生まれるんじゃない?」
「そんなことが出来るのか!?」
「うん、まあそういう魔法を単体でやったことはないけど、疑似太陽の青空はそれを利用して作ったから可能だと思う」
「では今すぐやってくれ」
「いや、急にやったらみんなビックリしちゃうと思うから、報せておいた方が良いんじゃない?」
「わかった。少々耳を塞いでてくれ。スゥーー……」
と言った途端に、その場で大きく息を吸い込み――
『我はフレアハルト八世! 皆の者! 今からこの火山の外がどれくらい寒いか、その気温を体験してもらう! 広場へ集まってくれ!』
と言う内容を超音波で発した。
超音波なら普通に大声で呼びかけるより遠くまで届く。レッドドラゴンらしい上手い方法だ。
◇
そしてここからみんなが集まってくるまでしばらく待機。
「しかし、父上には予想通りものの見事に断られてしまったな」
は?
予想通り?
「予想通りってなに!?」
フレアハルトに詰め寄る。
「ひ、日がな一日何もせぬ連中だから断られると思っておったのだ」
「やっぱり断られるのを想定してたの!?」
「まあ……そのために町で食べられる美味しいメシやフルーツで釣ろうと……いやいや! 少しでも外界の良いところを味わってもらおうと思ったのだが……」
分かりやすく食べ物で釣ろうとしたんだな……
「何で族長さんに話通してないのを黙ってたの?」
「黙ってたと言うか……父上は一度アルトレリアに来て気温を体感しているから、すんなり同意してくれると踏んでいた。それにお主を連れて行けば半強制的に納得させて耐性付与が出来るかと思ってな。なにせ父上はお主に負けておるから一応話を断れる立場ではないから……」
上から圧力かけるパワハラ戦法で行くつもりだったのか……
「持って来た食べ物は?」
「もしもの時の保険に持って来たものだが……まさか燃えてしまうとはな……そこまでは想定してなかった」
私も想定してなかったな~。食べ物が一瞬で炭になったり、ジュースが一瞬で消えるなんてのは初めて見た。
「黙って連れて来たのはすまなかったな……」
「…………まあこの世界ならゲートでひとっ飛びだから良いけど……」
ゲートの無い地球でこれをやられたら憤慨ものだ。
五十キロ以上離れたところにわざわざ来て、先方に話通してないと発覚して、その上で断られたなら帰り道はきっと一言も口利かない。
「……でも、再度断られても私は何もできないよ? 上の立場に立って圧力かけるなんてことはしたくないし」
「その時は残念だが諦めて機を待つ……心変わりすることもあるかもしれぬ」
現時点では敗色濃厚なのよね……
果たして外の環境を体験させた程度で考えが変わるかどうか……
「ところで、日がな何もしないって、あなたも旧トロル村に住む前はそうだったの?」
「もちろんそうだが?」
『もちろん』って何だよ!
王子でもグータラしてるんだなぁ……
人間の王子は国民の手本にならないといけないのに。
「トレーニングとかしないと身体が鈍ってこない?」
「さあ? 元々我らには天敵がおらんから分からん。種族内でも我より強い者が回りにいないしな。若ければ強く老いれば弱くなるだけだろ。あとは個々の生まれ持った強さだな。父上は大分老いてはいるがそれでもレッドドラゴンで上位の強さだぞ」
へぇ~。
ってことはもしかして努力したら物凄く強くなるんじゃ?
「何で何か自分のしたいことを見つけようと思わないの?」
「住んでいる場所が住んでいる場所だから何か趣味を見つけようなどという考えも起こらんかった。あの頃の趣味と言えば……寝るのに飽きた時に硬い岩盤に尻尾を叩きつけたり、溶岩の川に向けて火を放ったりすることくらいだったかな。特に溶岩に向かって火を吐くと派手に飛び散って楽しくてな!」
意図せずに身体を鍛えてたっぽいな。
でも溶岩に向けて火を放つのはやめてもらいたい。噴火を助長しそうだ……
「それに絵にしても、土いじりにしてもすぐに燃えてしまうからな。食べる物も必要無いから食べ物を作ろうとも思わないし、何もせずとも寝ているだけで生きていられる」
「ああ、そう……」
「それに畏怖の対象者というものは昔からそういうものであろう? 我々のご先祖も魔力潤沢のこの場所に移り住む前は定期的に村々に生贄を差し出させて食料にしてたらしいしな。我もお主に会う前なら食い物が無いなら他種族から奪えば良いという考えだった。“ユウシャ”とか呼ばれている亜人が我らに戦いを挑みにくる昔ばなしを聞いたことがあるから、生贄を捧げていた者たちにも不満があったのだろうな。亜人に関わらなければ恐らくずっとそれを知らずに過ごしていたであろうな」
ああ……これはゲームの設定でよく出てくる悪者のドラゴンの姿そのものね。
「ああ、やりたいことと言えばもう一つあったな。ドラゴンは財宝を集めるのが好きな場合が多い。これが趣味と言えば趣味かもしれぬ」
これもゲームや創作では良く聞く話。創作に登場する種族の習性ってあながち間違ってないんだなぁ……
「アリサとレイアは外のことを少しは知ってた風だけど?」
「あの二人や王族の側近連中は特別だ。少しは別の種族と交渉事に発展することがあるからな。我より上の世代ではドワーフと交渉の末にこの地に住居を得たこととかあるしな。だが一般のレッドドラゴンに交渉するような教養は無いと思うぞ。だからこそ今! この時に! その何もせぬ生活を変えたいと思っておる!」
「今の生活は楽しい?」
「ああ! 灰色の我が竜生 (※)に色が付いたかのようだぞ! 町での生活は面倒事は多いがやはり何もせぬ生活より充実しておる」
「そう、それは関りを持った甲斐があるわ」
(※竜生:『人生』という言葉をドラゴンの生に置き換えたもの)
雑談をして時間を潰し――
「現状を理解してもらう何か良い方法は無いだろうか?」
「じゃあ、外の気温を体験してもらう?」
「どういうことだ? 皆を外へ連れ出すということか? 多分いちいち出たがらんと思うぞ?」
「最近レッドドラゴンがここから出たのっていつくらい?」
「個々人のことは分からんが…………恐らく一年ほど前の『終末の神水』の時だろうな」 (第13~14話、第104話参照)
ああ……あの時私がやったやつか……
「ってことはほぼ一年食べ物も食べず引きこもり状態!?」
「食わなくても死なんとなると、ここまで怠惰になるのだな、ハッハッハ」
笑いごとじゃないよ!
何て生産性の無い生物……
「外に出たがらないなら最終手段に出るか」
「どんな方法だ?」
「空間魔法と火魔法、氷魔法で、この場に一時的に現在のアルトレリアと同じくらいの気温を再現する。その気温を体験してもらえば多少危機感が生まれるんじゃない?」
「そんなことが出来るのか!?」
「うん、まあそういう魔法を単体でやったことはないけど、疑似太陽の青空はそれを利用して作ったから可能だと思う」
「では今すぐやってくれ」
「いや、急にやったらみんなビックリしちゃうと思うから、報せておいた方が良いんじゃない?」
「わかった。少々耳を塞いでてくれ。スゥーー……」
と言った途端に、その場で大きく息を吸い込み――
『我はフレアハルト八世! 皆の者! 今からこの火山の外がどれくらい寒いか、その気温を体験してもらう! 広場へ集まってくれ!』
と言う内容を超音波で発した。
超音波なら普通に大声で呼びかけるより遠くまで届く。レッドドラゴンらしい上手い方法だ。
◇
そしてここからみんなが集まってくるまでしばらく待機。
「しかし、父上には予想通りものの見事に断られてしまったな」
は?
予想通り?
「予想通りってなに!?」
フレアハルトに詰め寄る。
「ひ、日がな一日何もせぬ連中だから断られると思っておったのだ」
「やっぱり断られるのを想定してたの!?」
「まあ……そのために町で食べられる美味しいメシやフルーツで釣ろうと……いやいや! 少しでも外界の良いところを味わってもらおうと思ったのだが……」
分かりやすく食べ物で釣ろうとしたんだな……
「何で族長さんに話通してないのを黙ってたの?」
「黙ってたと言うか……父上は一度アルトレリアに来て気温を体感しているから、すんなり同意してくれると踏んでいた。それにお主を連れて行けば半強制的に納得させて耐性付与が出来るかと思ってな。なにせ父上はお主に負けておるから一応話を断れる立場ではないから……」
上から圧力かけるパワハラ戦法で行くつもりだったのか……
「持って来た食べ物は?」
「もしもの時の保険に持って来たものだが……まさか燃えてしまうとはな……そこまでは想定してなかった」
私も想定してなかったな~。食べ物が一瞬で炭になったり、ジュースが一瞬で消えるなんてのは初めて見た。
「黙って連れて来たのはすまなかったな……」
「…………まあこの世界ならゲートでひとっ飛びだから良いけど……」
ゲートの無い地球でこれをやられたら憤慨ものだ。
五十キロ以上離れたところにわざわざ来て、先方に話通してないと発覚して、その上で断られたなら帰り道はきっと一言も口利かない。
「……でも、再度断られても私は何もできないよ? 上の立場に立って圧力かけるなんてことはしたくないし」
「その時は残念だが諦めて機を待つ……心変わりすることもあるかもしれぬ」
現時点では敗色濃厚なのよね……
果たして外の環境を体験させた程度で考えが変わるかどうか……
「ところで、日がな何もしないって、あなたも旧トロル村に住む前はそうだったの?」
「もちろんそうだが?」
『もちろん』って何だよ!
王子でもグータラしてるんだなぁ……
人間の王子は国民の手本にならないといけないのに。
「トレーニングとかしないと身体が鈍ってこない?」
「さあ? 元々我らには天敵がおらんから分からん。種族内でも我より強い者が回りにいないしな。若ければ強く老いれば弱くなるだけだろ。あとは個々の生まれ持った強さだな。父上は大分老いてはいるがそれでもレッドドラゴンで上位の強さだぞ」
へぇ~。
ってことはもしかして努力したら物凄く強くなるんじゃ?
「何で何か自分のしたいことを見つけようと思わないの?」
「住んでいる場所が住んでいる場所だから何か趣味を見つけようなどという考えも起こらんかった。あの頃の趣味と言えば……寝るのに飽きた時に硬い岩盤に尻尾を叩きつけたり、溶岩の川に向けて火を放ったりすることくらいだったかな。特に溶岩に向かって火を吐くと派手に飛び散って楽しくてな!」
意図せずに身体を鍛えてたっぽいな。
でも溶岩に向けて火を放つのはやめてもらいたい。噴火を助長しそうだ……
「それに絵にしても、土いじりにしてもすぐに燃えてしまうからな。食べる物も必要無いから食べ物を作ろうとも思わないし、何もせずとも寝ているだけで生きていられる」
「ああ、そう……」
「それに畏怖の対象者というものは昔からそういうものであろう? 我々のご先祖も魔力潤沢のこの場所に移り住む前は定期的に村々に生贄を差し出させて食料にしてたらしいしな。我もお主に会う前なら食い物が無いなら他種族から奪えば良いという考えだった。“ユウシャ”とか呼ばれている亜人が我らに戦いを挑みにくる昔ばなしを聞いたことがあるから、生贄を捧げていた者たちにも不満があったのだろうな。亜人に関わらなければ恐らくずっとそれを知らずに過ごしていたであろうな」
ああ……これはゲームの設定でよく出てくる悪者のドラゴンの姿そのものね。
「ああ、やりたいことと言えばもう一つあったな。ドラゴンは財宝を集めるのが好きな場合が多い。これが趣味と言えば趣味かもしれぬ」
これもゲームや創作では良く聞く話。創作に登場する種族の習性ってあながち間違ってないんだなぁ……
「アリサとレイアは外のことを少しは知ってた風だけど?」
「あの二人や王族の側近連中は特別だ。少しは別の種族と交渉事に発展することがあるからな。我より上の世代ではドワーフと交渉の末にこの地に住居を得たこととかあるしな。だが一般のレッドドラゴンに交渉するような教養は無いと思うぞ。だからこそ今! この時に! その何もせぬ生活を変えたいと思っておる!」
「今の生活は楽しい?」
「ああ! 灰色の我が竜生 (※)に色が付いたかのようだぞ! 町での生活は面倒事は多いがやはり何もせぬ生活より充実しておる」
「そう、それは関りを持った甲斐があるわ」
(※竜生:『人生』という言葉をドラゴンの生に置き換えたもの)
雑談をして時間を潰し――
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