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第2章 トロル集落の生活改善編

第55話 再び襲来レヴィアタン(『創成魔法』が奪われた!?)

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「ところで、あなた随分変わった能力身に着けたのね、あの外にある他の場所と繋がってるドア、アレあなたが作ったものでしょ? あと、どういう原理かわからないけど、地獄の門の前の結界。私は門から先に入れなかったのに、歩いて来た亡者はすんなり入って行ったし」
「まあ、そうね、どうしてもあのドアや結界を作らないといけない事情が出来たから作らざるを得なかったんだけど……」
「羨ましいな~、その能力ちょうだい」
「取れるもんなら取ってみたら?」

 なんて、全属性使用可能特典だから、おいそれと修得は出来ないと思うけど……
 そう考えると、私のは転生当時からあるから、本当に『特典』って感じね。

「あ~あ、言っちゃった」
「えっ? 何を?」

 その直後に私の周りに光が現れ、その光がレヴィアタンに吸収された。

「あなたの能力『創成魔法』っていうのね、今貰っちゃった」
「えっ!? どういうこと!?」
「私の大罪スキル『嫉妬エンヴィー』は、私が少しでも嫉妬して欲しいと言ったものを、相手が少しでも了承すると奪えちゃうのよ、それが物でも能力でも……命でもね」

 しまった、魔王にはそんな能力があったのか…!!
 ホントだ使えない!
 まずい、最重要スキルを奪われた!
 どうする!? なるべくなら魔王と事を荒立てたくない! しかも女王様だし!
 下手したら国との全面戦争に……私個人で済めば良いけど、そんなことになったら私の村の人たちの命まで脅かされちゃう! でも彼女を倒したからと言って『創成魔法』が戻ってくる保証は無い!
 でもこの能力を奪われたら今後の集落の発展に支障があるかも!!
 かくなる上は……

「お願い! ホンットお願いします! 『創成魔法』返してください! それを奪われちゃうと今後集落のためにやれることの幅が狭くなってしまいます!」
 ジャンピング土下座でお願いする。でも敢えて「一生のお願い」は使わない。

「え~、どうしようかなぁ?」
何卒なにとぞ!!」
「ふふ……冗談冗談、冗談よ。ちょっとビックリさせてあげただけ。私としてもこんな能力一つであなたに嫌われたくはないしね。いいわ、返してあげる。私が返却を了承すれば返してあげられるから、もう一度私に向かって『創成魔法を返して』って言って」
「………………創成魔法を返して」
「いいよ」

 その返事を合図に奪われた光がレヴィアタンから返って来た。
 ホッ、良かった戻って来た……
 あ~~ビックリしたぁ……
 でも、ベルゼビュートだった頃は随分親密な関係だったみたいね。

「でも二度目は無いから注意してね。それから同じようにスキルを奪うことができる能力も存在するかもしれないから気を付けてね」

 それほど使うシーンは無かったけど無くなるのは絶対に不便だし。
 ゼロ距離ドアや死生審判の門を作った時みたいに、他の魔法で代用できないことも存在する。

「その『嫉妬エンヴィー』の能力って自動発動なの?」
「そうよ、だから返事する時には気を付けて」
「そんな能力の根幹に関する能力を他人にしゃべっちゃって大丈夫なの?」
「まあ……そうね、あなたは裏切らないと思ってるから」
「でも、私は以前のベルゼビュートとは違うのよ?」
「大丈夫、私勘が良いのよ。でもこの能力の詳細を知ってる人は少ないから他言無用にお願いね。魔王で知ってるのはあなたと、あともう一人だけだから」
 もう一人はきっと雷の国の魔王かな。何で私がそんなに信用されてるのかわからないけど……

 自動発動って、本人的にも不便じゃないのかな?
 でも、この『嫉妬エンヴィー』の能力って、かなりの所見殺しよね。特に自信満々な相手に対しては。
 例えばレヴィアタンが「あなた強いから〇〇に仕えさせておくのは勿体ないわ。私の部下にならない?」なんて言ったとする、相手が強さに自信を持ってる相手なら「俺を倒せたらお前の手足となって働いてやるよ」などと言ったとする。もうこれだけでレヴィアタンは〇〇に対して嫉妬の感情を向け、彼は『少しの了承』をしていることになるから部下にならざるを得ないわけだ。心まで元の主人を離れるのかはわからないけど、何せ『命』まで『嫉妬』と『少しの了承』だけで取り上げられる能力だから心ぐらいは変えられるのかもしれない。
 逆に警戒心が高い相手にはちょっと難しい能力かも。

 どちらかと言ったら『強欲』に近い気がするけど、「目の前の相手or対象を所持している者を『嫉妬する』」ってところが能力発動のキーってとこかしら。
 多分今私が考えたセリフも上の句の「あなた強いから〇〇に仕えさせておくのは勿体ないわ」を言わずに下の句の「私の部下にならない?」だけでは部下に出来ないんじゃないかと思う。

 大罪スキルってことは、ベルゼビュートである私にもあるのかな?

「ねぇ……その大罪スキルって私にもあったりするの?」
「『暴食グラトニー』ってスキルを持ってたと思うけど。確か『喰らった相手の能力を使えるようになる』だったかな。あと『喰らった相手に変身できる能力』もあったと思う」
 相手を喰らわないといけないのか……物騒な能力だな……じゃあ言葉しゃべる生物は食べたくないし、フル活用することは無さそうだ。

「それを奪おうとは思わなかったの?」
「付き合いが浅い時は思ったよ、凄く便利だと思ったし。でも大罪スキルって一つ持ってると、二つ目は持てないからね」
 へぇ~、そうなのか。堕天使同士が喧嘩でもするのかな?

「でもベルゼビュートは、この能力ほとんど使わなかったのよね。言葉をしゃべる生物は一切口にしなかったと思う」
 悪魔らしくないな。でも人や亜人を食わなかったってところは好感が持てる。レヴィアタンが親しくしてくれてるのも、こういうところがあってのことかもしれない。
 ってことは、私は今まで喰らったガルムやカトブレパスに変身できるってことか。

「あ、でもちょっと待って、私ってここ来る前に二回転生してるけど、大罪スキルはまだ持ってるもんなの?」
「あっ…………それもそうね。確かに死んだら別の者に移るんだった。死んだ時に近くにいる者の中で最も強い者に移宿するはずだから……あなたが死んだ時の記憶があればわかるんだけど……」

 前々世の記憶すら無いのに、そんなのわかるわけないから困るな……
 以前オルシンジテンで、私のステータス照会した時も『暴食グラトニー』ってスキルは持ってなかったから私には無いのだろう。

「私の能力の一つに『スキルドレイン』っていう相手のスキルをコピーして修得する能力があるんだけど……」
「何その能力欲しい!」
「あげないよ。これって私が適当に思い付きで使った魔法だったから、魔法使える人みんなが使えるのかと思ってたんだけど……」
「そんなわけない! そんな能力あったら便利過ぎてみんなが使ってるはずよ」

 確かにそうよね……自分の首が三つになる能力とか意味がわからないし……

「多分それは『暴食グラトニー』の一部じゃないかな。元々の所持者だから薄い繋がりがあるのかもしれないね、もしかしてその強さも繋がりの一つなんじゃない? 元の魔力を持って転生してきた魔王はお目にかかったことがないからそれも私の予想の範囲でしかないけど……」
 そうなのかな? でもそれだけじゃない気がする……あの『神の恩寵おんちょう』ってのを見る限り。

「じゃあ今は『暴食グラトニー』を誰が持ってるの?」
「………………そういえば誰が持ってるんだろ? アスタロトは持ってなかったみたいだから、別の誰かが持ってるんだろうけど……」
「大罪スキルを持ってる人が次の王様なんじゃないの?」
「そのはずなんだけど……以前会った時アスタロトは王様代理だって言ってた。アスタロトが持ってるなら名前もベルゼビュートに変えてるはずだし……もしかしたら国の中に持ってる人がいないのかも……」
「まさか……行方不明? 約30年も!?」
「風の国の大罪スキルだから私が関知することじゃなかったし……それはもうアスタロトに聞いてもらうしか……」

 別の誰かが持ってたら、そいつは『暴食グラトニー』をフルに使って被害を与えてる可能性もあるんじゃ……
 極端な話、亜人ではなく獣や虫なんかに宿ってたらどうなるんだ? 人が使うよりよほど危険なんじゃないだろうか? 30年も行方不明ってところを考えると、亜人以外が持ってる可能性は十分にある。
 それはアスタロトって人と会った時に聞いてみることにしよう。

「じゃあ魔王全員がそれぞれ大罪スキルを持ってるの?」
「持ってるんじゃないかな。ただ、必ずしも所持者のメリットになるスキルばかりではないみたいだけどね。さっき言った土の国はヴェルフェゴールのスキル『怠惰スロウス』で国が停滞してしまっているみたいだし」
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