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5、自称占い師と変な人

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*トール目線*

僕の職業、家事手伝いからたぶん占い師?
僕の身長、159.7cm。
僕の両親、身長160cmギリギリなし。
四捨五入してやっと160cm。
うん僕の身長は160cmだ。
僕は母親似でしょっちゅう女の子に
間違えられてしまい、ひどい時には
高校生の時でも小学生に間違えられたのだった。
僕は立派な成人で20歳になったばかりだ。

なぜ僕がここにいるかといえば
僕にもわからない。
成人したその日、自分の誕生日の
ごはんを楽しみにしていた。
浮かれ気味に境内の掃除をしていたら
気がついたらこの世界のとある場所に
落ちていた……。
僕はただ家の境内の掃き掃除をしていただけ。
多少は浮かれてたけど、赤飯に
からあげかハンバーグ、大きなケーキ、
誕生日の定番メニューだ。
主役は、大きなケーキをやや多めに
食べれる事だ。地味に嬉しい我が家の
システムだった。

僕は田舎にある神社の息子で5人兄弟の末っ子。
浅葱色の袴(はかま)に白い着物、
足袋を履いて、朝の清掃していたら
立ちくらみしたと思ったら、そのまま
気を失ってしまった。
気を失っている間にどうやら僕は
異世界に来てしまったらしい。
まあ、神社の息子ということで
見習いながら色々しなければ
ならなかったんだけど……。
好きで神社の息子に生まれたわけじゃないとか
昔はよく考えてたし、現実逃避の為
異世界トリップもののゲームや
本など読みあさっていた。
だから目を覚ました時、違う意味で
発狂しそうになったけど、ここは日本じゃない
異世界だと認めざるえなかった。

そして運良く?いや運が悪くなのか?
拾われてしまった?!
盗賊とか奴隷とかじゃなくて
まだ良かったのか?
まぁ、気を失ったというか寝ているうちに
……失なわれたものもあるけどね。
自分以外、黒色の髪に黒い目の者を
見たことはなく、ある意味僕を拾ってくれた
とある人物のおかげで、よくある物語のような
忌み嫌われる存在ではなく、立派な衣食住
が僕に施されていた。
ここにきた当初は半ば騙された?ように
1日の大半を裸に近い姿か、綺麗な
シーツを身に纏うだけだった。
黙っていてもベッドの上で食事を
与えられ、身体を清められそして……。

魔の手からなんとか自立をしようとしたが
無駄骨?しつこくてねちっこくて……
お仕置きされ、逃げれなくなり今に至る。

「からすを引き連れている男か
コウモリを引き連れている男か
死神を背負っている男か
クマのような男、さぁさぁさぁさぁ
よりどりみどりだよ。君は
これらのうちどの男を選ぶのかな?
頼む、これらの男のいずれかを選んでくれ!!」
なんなら4点セット、または3つ買ったら
おまけでもう一つついてくる、
そのまたのまたで一つ選べば3つ付いてくる
でもいい。とにかく選んでくれ。
結局は4つになる、コレでどうだ?!
いいオマケがたくさんついてくるよ。
そして、オレは今度こそ異世界で
冒険者なり占い師なり自由に生きるんだぁぁ。
ゴホッ。
確か王族は4人まで娶れるはずだ。
言葉に出せない僕の願いをかなり込め、
目の前の可愛い子に詰め寄ってしまった。
いや、詰め寄ろうとした。
どこからともなく現れた男に
グイッと引き離されてしまった。
くそっ!!
もう見つかってしまった。
気持ち悪いほど早すぎるだろう。
離された方とは逆に無意識に行くと
僕は突き飛ばされる形となり
尻もちをついてしまった。
あぁ、このお方のお気に入りに
近寄ってしまったから僕は突き飛ばされたのか。
可愛い女の子と美形の男性。
すごくいいなぁ。

僕を突き飛ばした男性とはまた違う男性が
音もなく現れた。
しかも僕のお尻をなでなでしていた。
「ぴぎゃぁぁぁ。」
「私の可愛い可愛い可愛い可愛いすぎる
私のトール。トールの可愛いお尻に
傷は付いていないか?ちゃんと調べなくては
いけない……ハァハァハァ。」
「変態、変態がいる。誰か助けて!!」
僕は今すっーんごくっ遠い目をしていると思う。
目の前の可愛い少女?のは無表情に近いのに
僕に対して憐れみっぽい目をしてたんだ。
僕はこの世界の事知っている気がする。
題名は思い出せない。
けど、登場人物の名前が一部一致するんだ。
怪しまれない様に、占い師、または
預言者としてとある人物と接触したんだけど
肝心な事を伝えれないまま
引き離されてしまった。
リアンジュ様とディア様の美形年の差
カップルが目にささるぅぅ。
王族と僕は身分差あるから直訴?
直接は話したらいけないってこと
僕のお尻を触り続けてクンクン匂いを
嗅いでくる奴のせいで忘れてたよ。

                ***

「ルーク、何の用だ?」
「いや~ぁ、ディオ兄 兄上ご機嫌麗し…
いのかどうかまではイマイチわかりかねますが
私の可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い
トールがぜひご挨拶がしたいと言ったので
そんな可愛い可愛い可愛い願い事の
一つや百や千、叶えてあげようと
思った次第でして……。」
す~ぅはぁ~、すぅ~はあ~。
ルークと呼ばれる者は、トールと呼ばれる
小さな男を抱え頭や首筋の匂いを嗅いでいた。
「要件は終わった。立ち去れ。」
ディオ様の柳眉がピクッと動いた。
「「「……。」」」

オレ(リアンジュ)は目の前の美しい男性、
名前からしてルーク・ラル・グアーラ、
20歳、第三王子。
頭が良く誰とでもすぐに打ち解けられる
コミュニケーション能力の持ち主。
見た目同様中身も軽薄に見え
女性に振られる恋多き王子と
オレの中のリアンジュの記憶だった。
からす、コウモリ、死神、クマ?
なんなんだったんだろうか?変な子。
それがトールと呼ばれた子の第一印象だった。
なのに黒目黒髪、日本人顔の可愛いタイプの
男の子?中学生か小学生?
身長はオレより少し高め?
オレというか今のリアンジュとしての
オレの身長だ。
160cmあるかないかくらい。
フード付きの黒いマントを被っていたけれども
グイグイ迫ってくるから、ちょっと
ひき気味だったところ
音もなく現れたディオ様に抱き抱えられて
しまったんだけど……。
ルーク様?第三王子は男色だったの?
トールという、日本人っぽい少年の
お尻をまだ、撫でていた。

「いい加減にやめて下さい。僕のお尻は
ルーク様のものではありません。」
「いい加減に?ふふっ、そうか。
それは良い加減にほぐして……ブッ!!」
「こんなイタイケナ少女の前で
歩くワイセツブツの様な発言は
おやめ下さい。」
「……トール、君の可愛い手が私の口に…
そうか可愛い手を舐めて欲しかったのか?
それならそうと、今すぐ部屋に戻ろう!!」
「……へっ?ちがっ!!」
「私のトールは、照れた顔も可愛い過ぎる。
ディオ兄上、リアンジュ義姉上
慌ただしくて申し訳ございませんが
急用が出来ましたのでこれにて
失礼します。また改めまして
ご挨拶に伺いますね。では、また。」
「あぁ。」

トールという男の子?はニコニコしている
第三王子にお姫様抱っこされ退場した。
トールは涙目で私に何かを訴えるかのように
手を伸ばしかけたのだが、その手は
伸びることなく第三王子によって
手をとられたのだった。
これは、この後の2人は腐女子が
好む展開となりそうだ。
でも、トールって"とおる"って名前かな?
日本からならトリップしたのか?
この国では15歳が成人だけど"トール"
さんは未成年者なのでは?
未成年なら異世界であっても
とある事をしてはダメだろう。
見た目より年齢は上なのかもしれない。

「1年ほど前、城の中庭にトールが
落ちてたらしい。それを拾った。」
「……。」
こ、これは説明してくれているんだよな?
声を発した方がいいのかな?
でも以前のリアンジュは物静かで
ほとんど話さなかったはずだから
このままの方がいいのかな?
「トールが来てからのアレの行動は変わった。」
アレ扱い……。
そ、それは女遊びを辞めてトールさん
一筋になったってことなのかな?
「さらにわからない男になった。」
「?!」
えっ?!どういうこと?
「"トールが可愛い"と言うばかりで
以前にまして理解不能な事ばかり
言うようになった。」
「……。」
頷きかけたが首を傾げてしまったようだった。
「私には、人の機敏がよくわからない。
だけどトールといるアイツは以前より
色々楽しそうに思える。」
お城に来てから5日目の今日、
生理はまだ続いていたがやっと
自分の足で外を歩いたのだった。

1日目はほぼ超超イケメンの婚約者
ディオ様のお部屋?で過ごした。
2日目も基本お部屋だったが
1日の大半を広いベッドの上で過ごした。
3日目、お風呂上がりに今までは
軽いマッサージが念入りにマッサージ?
というか整体が入り、痛いが関節を
動かし痛気持ちいいマッサージを受けた後
部屋の中を軽く歩いてリハビリ?をした。
4日目、朝からお風呂、そして整体入り
マッサージ。部屋の外に出て、見慣れてきた
侍女と乳母のクロエたちと城の一部を
お散歩見学。
リアンジュの体力のなさには
ほとほと困ってしまった。
時間にして数分でバテてしまった。
ディオ様が執務室を兼ねた超豪華な部屋
(4LDKの自室プラス、クローゼットという
名前の大きな衣装部屋)から出てきて
ふんわり俺を抱き上げてくれた。
その数分後には
オレの部屋も一応あるらしいが
チラ見したが、お城の中に豪華な
スイートルームが幾つもある感じ。
(スイートルーム自体泊まったこともなければ
直接見たこともない)
テレビで一泊数十万する超がつくほどの
豪華な洋室のお部屋って感じだ。
色合いは濃いめのブラウンで
豪華なのになぜか落ち着く色合い。
ただ部屋が広すぎるのと、慣れない
生理でオレのとあるとこが常に
生暖かくて気持ち悪いし、豪華な
ふかふかのソファーに座る気になれなかった。
何を勘違いしたのか、ディオ様は
オレをお姫様抱っこか、仕事中も
膝に乗せたまま書類に目を通したり
サインしたりしていた。
見てはいけないとは思いながらも
嫌でも目に入る書類。
書類の文字は英語に似ていたり
くねくねした文字やアラビア語っぽい
文字など書類によって色々あった。
陳述書?報告書、数字が書かれたもの
広い机の少し離れた場所には
今にも捨てられそうな手紙?
綺麗な模様が付いた封書が
乱雑に入れられていた。
全部見た訳ではないけど未開封の
封書はお茶会や夜会の招待状の1部らしい。
あの箱俺がまるまるすっぽり入るくらい
大きな箱なのに、山積みだ。
とりあえずわかった事と言えば
読むことは出来た。
文字を見れば不思議な事に理解出来たのだった。
これならば、俺はこの世界の
本を読めるので退屈はしなさそうだ。

5日の今日のディオ様は朝から
王族としての仕事をしている為
ディオ様は別室だった。
オレの散歩になぜかクマのように
大きな身体のオリヴァー様が付いていた。

*オリヴァー・ミラ・グアーラ*
24歳
第二王子、神出鬼没、軍の総司令官
熊のように、大柄な身体
にこにこしながら戦場で戦う戦闘狂

クマ?!第二王子の事だったのか?!
それじゃあ、カラスやコウモリ
そして死神とかは誰なんだ?
またトールさんと話がしたいと思いながら
5日目は終わってしまったのだった。
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