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告白??

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「私を弟子にして下さい。貴方さまの
お役に立ちます。一目惚れしました。」

俺は突然の告白に驚いた。
「無理だ。俺は男に興味はない。」

「酷い、酷いわ~。私"シンディー"
と申しましたのに……。」
「わ、悪かった…。」
偽名ではなかったのか…?

あっ。やばい。
女性をいかなる場合でも、殴ったり
けなしたり、ましては泣かしては
いけないっと、母と姉からクドイほど…。
ゴホッ、ゴホッ。
母と姉から、口うるさくいい聞かされ
続けて、耳にタコが出来るくらい、
厳しく教え込まれたはずなのに…。

母と姉の教えは、我が家、ある意味 
我が国になるが……。

その1、人を見た目で判断してはならない。

その2、人の中身を見るように、心がける。
その人のいいところを見つける努力をする。

その3、女性に年齢を聞いてはいけない。

たまに、女性側から何歳に見える?と
聞かれても、少し迷いながら
逃げ道を探しだし、どうしても
逃げれない場合、思ってる年齢の
10歳位は若めに言う事。

あまりにも、若すぎると場が
しらけるので、ボドボドに…という
感じだった。

既婚者でも30代までなら、"お姉様方"と
呼ぶと喜ばれるそうだ。明らかに既婚者と
わかっている場合のみ、○○御婦人と呼ぶ。

ダメだ。その1と、その2に
引っかかってしまうところだった。

見かけ…。
シンディー、名前は女性的だ。
声は中性的、髪色は、緑がかった茶色。
なんとも不思議な髪色だった。
長い前髪から見え隠れする
瞳の色は翡翠色だった。
魔術師が、好んで着るフード付きの
マントをはおっている。色は黒。

体型も細身だろうが、あまりわからない。
頭一つ分、俺よりは背が低い。
表情も、マントで見え隠れするので、
いまいち掴みにくい。
全体的に、中性的な感じがした。
女性の一人歩きだと、危険な事もあるから
男装しているつもりなんだろうか?

「シ、シンディーは、いつから俺の事…。」
「まぁ、そんなの決まってますわ。」
「決まってるいるのか?!」
「私達、今日が初対面でヴィル・
フォレス・デルラン王子をひと目見た瞬間
私の心の中から、恋心が騒ぎたしたんです。
付き合って下さい。それがダメなら、
弟子にしてください。」

どうしよう。
女性?からのお誘いを上手く断る方法を
学んどけばよかった。
とりあえず、名前をフルネームで
毎回言われるのは煩わしい。

「ヴィルでいい。シンディー、お付き合いも、
弟子も無理だ。諦めてくれ。すまない。」

「そ、そんなー。ヴィル様は、やはり…
あの子の事が、可愛い顔だし
か弱いし、惹かれるのね。ぐすん。」
「あの子?」
「あの子は、あの子よ。ほら、私がヴィル様を
見るために二階からみていたの。あの子に、
魔力を与えていたら疲れちゃったから、
少し外を覗いていたのよ。」
「あの子…?」

二階の右端の部屋。
視線。違和感。
スーラ公爵の妻と末娘。

「シンディー、案内してくれ。」
「……。」
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