『R18・完結』イベント好きの恋人と××

カヨワイさつき

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ハメられました

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ギチギチ、グチュ
「……うっうぅ…っ」
くどい、しつこい、ねちっこい、つまり執拗(しつよう)に動くアイツの指にうめき声しか出せなかった。
なぜあの時、俺は流されたんだろうか?
疲れたから、押し切られたから、眠いから?
どこから間違えたんだ?
無意識に…いや、必死に違うことを考えようとしたが無駄だった。

数分前、イベント撮影と打ち上げを終えた会社仲間に見送られ別れを告げたハズだった。
「てぃーてぃー、たつみぃーお疲れ様!!」
俺、経理部の田中 達海(たなか たつみ)。
高校からの同級生からなぜか"てぃーてぃー"と呼ばれるのが多くなった。
田中のカシラ文字Tと名前のたつみのTで、てぃーてぃーだそうだ。
はぁーーー、思わず深いため息をつきたくなった。
「うぅ、飲みすぎたし…キツイ。」
会社に入社3年目の同期の俺たち。
高校からの付き合いで6年目の知り合い以上友達未満の俺たち。
今の物流の会社創立10周年記念に予算をかけず会社PR VTR、宣伝する事になったのだ。
そしてコンペに勝ち抜いたのが同期の佐藤 幸平(さとう ゆきひら)だった。
近畿を中心に展開してる会社だから、近畿の有名な物や名産を盛り込んだ企画。
性別関係なく人気のあいつ。
そして、予算内でモデルも社員って事でなぜか俺が選ばれた。
理由、同期だから。後付けで女子社員からモデルを選んでしまうと色々ありそうだから。
特別仲が良いわけではないが、企画部や総務部まで悪のりしたのだった。
あいつらの明細、独断と偏見で受け入れないようにしてやる!!と私情を持ってしまった俺は悪くないハズ。

いざ準備にプロの手が!!
首筋にひんやりしたものを塗りつけられ、くすぐったいのを我慢した。
ピチャ、ピチャ、シャッ、シャッ
目を閉じたまま、口は半開きを強要される事しばしば。
しっとり濡れたものが唇をくすぐりながら、何度か行き来した。
ほんのりどころか、べったりギトギトと容赦なく塗りつけられる白いモノ。
皮膚呼吸は大丈夫なのか?
呼吸困難で俺、もうすぐ……。
呼吸が荒くなりそうなのを必死に堪えながら、ピンっと背筋を伸ばした。
目の周りにも、色々と触られながら早く終わってくれぇぇーと願いながら目を閉じてじっとしていた。
「はい、終わりました、お疲れ様です。次はこちらにどうぞ!!」
落ち着いた声に導かれながら、自分の様を確認できないまま言われるがまま従うしかなかった。
今日のために、新しい下着を履いていた。
その下着も手早く脱がされ、恥ずかしがるまもなくサラッとしたモノを身体にまとわされていった。
だんだん重くなる身体。
ググッと必死にりなごらも耐えた。
歯を食いしばり、無心になるように頑張っていた。
うん、俺、頑張ってる、身体を張って頑張ってる。
誰か俺を褒めてくれぇー!!
「最後の仕上げです。」とまた、声をかけられると同時に、ぐぇぇーとカエルの潰れたような声が自然に出た。
呼吸困難です。
ヤバいです。
拷問器具なのかコレは!!
こんなの数分持たない!!
いや、もう無理だ。
「あら?キツすぎました?少し緩めましょうか?」
「ぜひ…ぜ、絶対、必ず、お願いだから緩めて下さい。」
「うふふ、時期になれると思いますよ。」
いや、絶対慣れない、慣れるはずがない!!
緩めすぎると崩れやすいそうで、ほんの僅(わず)か緩めたのか緩めてないのかわからない程度、緩めてくれたそうだ。
息も絶え絶えの俺に容赦(ようしゃ)なく魔の…プロの手が俺の頭に衝撃を与えたのだった。
最後の最後にカツラをずしっ。
ウガァッ!!
た、倒れるぅぅ、おぉぉ重い。
着物とカツラで約8kgから10kgらしいが、カツラだけでかなりの重量がぁぁぁぁぁぁ。

人間、なかなか強いもので、倒れそうなのに倒れない。
着付けから写真撮影と動画撮り、災難…最難関の打ち上げを俺は、何とか乗り切った。
飲み食いしにくいどころか出来なかったから、お土産として高級で豪華なお弁当を同僚どもの自腹で俺の分を確保させた。
キツイ、苦しい、つらいを乗り越えた俺。
よく頑張った俺。
えらい俺、すごいぞ俺、誰も褒めてくれない可哀想な俺、とにかく疲れた俺。
この時の俺はまだまだ、身体を張った大仕事が待ってるとは思わなかった。
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