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35、精霊王様のお話
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目の前に身長100cm位、そして
長い艶やかな黒髪に黒い瞳、
顔が整った中性的な顔立ちの
精霊王がふわふわ浮いていた。
レイラとテルのそばにはさまざまな
色をまとった小さな精霊たちが
ふわふわととんでいた。
レイラの両親であるフェニーチェと
マリーに内密の話をしようとすると
【主よ、ここに24種の小さき精霊がいる。】
「そんなにたくさんの種類があったんだ。」
【主は我と相性もよく魔力もあるから
ここにいる全種と契約を結んでも支障はない。】
「全種類……。」
【そうだ。そしてそこにおるオレオールと
いう者も、主同様世界を渡ったからか
人族風に言うと時の精、空間の精
混沌の精、破壊の精、元素の精
無の精、太陽の精、月の精、星の精
闇の精、10種の精が興味を持ってるぞ。
どうだ、契約するか?】
「わ、私も…いや、私に精霊様から
興味を持って下さってるなんでなんだか……」
【信じれないならそれでも良い。我らは
信じない者たちと関わらないし、我の
主(ぬし)の様に心地の良い主(あるじ)と
なり得ると感じたから、こやつらの言葉を
伝えたまでだ。お互い気に入れば
契約したければするだけだ。たかが、
100にも満たない年月だがな。】
オレオールは、しばらく迷っていたが
精霊たちと契約をかわす事にした。
「お願いします。」
契約紋代わりにと、テルたちが日本にいた頃
オレオールがテルにプレゼントしてくれた
青い石のネックレスに合わせるかの様に
オレオールの瞳と同じ青の石の周りに
25個のキレイな石が並んだネックレスに
作り変わっていた。
オレオールは、テルの色である黒い石を
中心に10個の石がバランスよく並んだ
ネックレスになっていた。
【そやつらは、お前たちが好みだから
時間があれば話し相手になってやれ。
まだ、話せない者もいるが理解しているし
呼ばれると頼られてるとか、信じられてる
と感じ、精霊としての存在が濃くなるし
……喜ぶから、呼んでくれ。】
「ありがとうございます。」
「くーちゃん、みんなありがとう。」
***
コンコン
執事が準備が整ったと知らせを受け
部屋を移動した。
オレオールはハーフン公爵にレイラの事で
"家族"た大切な話があると伝えていた。
人払いをした部屋には、ハーフン公爵と
公爵夫人、長男であるフェニーチェ、
フェニーチェの妻マリー
フェニーチェとマリーの子、テオドール
オレオールの2番目の兄デトロワがいた。
レイラを真ん中にテルとオレオールが
手を繋いで部屋に入った。
そのすぐそばに、突如(とつじょ)
空中に光る精霊たちが現れたのだった。
執事と家令は慌てて扉を閉めたが、
かすかに廊下に漏れる光と、閉められた
部屋の中は一気に神々しい光に包まれていた。
レイラ、オレオール、テル以外は
空中に浮かぶ精霊王と精霊たちに
言葉を失っていた。
「あのね、おとーしゃんとおかーしゃんに
おはにゃし、ありゅの。」
「レ、レイラ…?」
【ほぉ~、縁(えにし)とは面白い。
レヴァンと数百年前に契約した家系か、
あと、カレムとワールか……ずいぶんと
小さくなってしまってるな……。】
「くーちゃん?」
【主(ぬし)よ。ここにいる者たちは
我ら同胞と契約を交わした家系であり
ここにいる小さな精霊たちは、人族に
名づけられた者だ。レヴァンは闇の精、
カレムは光の精、ワールは風の精だ。】
「オレオールさんの家系って、精霊様たちと
仲良くなれる家系なんだね。」
精霊王であるくーちゃんに寄り添うように
他の精霊より小さくて透き通った
精霊たちはオレオールの家族を見ていた。
【クックク…仲良く、な。主となる者と
精霊との契約は、本来なら契約したもの
同士のどちらかの死を持って
解除されるんだ。だがな、こやつら…
レヴァン、カレム、ワールの主たちは、
それぞれの子孫を守護してくれと死ぬ間際
強い思念を残しながら死んだんだ。
だがその子孫は、精霊の存在を
感じとれないのかそれとも精霊
そのものを信じてはおらんかった。
それでもここにいる精霊たちは名付けて
くれた主が好きだったからか、
その強い思念の言葉に縛られながらも
消えかけているのに守っているのだ。】
「消えかけ?!消えたら……。」
【消えたら精霊も死ぬ。存在を
認められることなく、最初から
いないものとされ、信じる者もいないから、
我らを気にする者はいない。】
「くーちゃん、俺、俺は精霊さんたち
信じるし消えさせないし、と、友達だから
レヴァンさん、カレムさん、ワールさんは
ちゃんと存在する。ここに居るから、
えーと、縛られたとかそんなのいやだから
俺の事好きじゃなくても、いらなくても
嫌いなら嫌いで離れていいし、
契約もいらないから!!精霊はいるし
信じるからね!!」
【クククッ、主(ぬし)は本当心地良いの。】
「くーちゃん。」
少しだけ2人の世界に入っていたが、
オレオールは精霊王に張り合うように
話しかけていた。
「せ、精霊王様、私も"私の"テルと同じく
精霊の存在を信じます。長年見守っててくださり
ありがとうございます。レヴァン殿、
カレム殿、ワール殿。」
オレオールは精霊王と精霊たちに
頭を下げた、オレオールの家族たちも
同じく頭を下げていた。
【クックク。お前も"我の"主のこと好きか?
いや愛してるとか言うやつかな?クックク。】
「もぉ、くーちゃんもオレオール…さんも
何言ってるんだよ、もぉ。オレオールさんは
俺とお友達なの。まぁ、親友みたいな感じなの。」
「……。」
【クックク、お友達…親友か。主と我も
お友達だから同類だな。】
精霊王はテルの言葉に青ざめていた
オレオールに楽しげに言葉を投げかけていた。
「恐れながら、精霊王様発言よろしいでしょうか?」
【うむ。】
公爵様は恭(うやうや)しく片膝を付き
頭を下げてあいさつをしていた。
テルは、友達感覚でくーちゃんと呼び
話していたので、なんだか居心地が
悪くなった様な気がした。
「……。」
精霊王であるくーちゃんはチラッとテルをみた。
【我の主(ぬし)は友達感覚で我を
くーちゃんと呼んである。精霊王様とか
堅苦しいから、そうだなぁ、くろ君とか
くー君と呼んでいいぞ。】
「「「「「「!!!」」」」」」
「くーちゃん?そう呼んだ方がよかったの?」
【クックク、主は我を名付けた"クロちゃん"
でもくーちゃんとでも好きに呼べ。】
「恐れながら、なぜ精霊王様の名前が
"くろ"というお名前になられたのでしょうか?」
ハーフン公爵は、誰もが疑問になったであろう
疑問をテルに投げかけたのだった。
ちょうど召喚魔法を教えてもらった時、
ドワーフ族の洞窟で召喚したのが、もぐらに
似た召喚獣だったので"モグ"と名づけたのだった。
一人で寝る前にこっそり練習しようとした時
可愛いもふもふがいいなぁと思いながら
召喚したのが、精霊王だった。
テルの色をまといテルが好みそうな
獣型を咄嗟(とっさ)によみとった結果
黒猫型でテルの前に出現したのだった。
テルは黒い猫に、"くろ"と名づけたのだった。
名づけられたあと、精霊王はテルの色をまとい
小さな少年の姿を形作ったのだが
「精霊王様…"くろ様"はなんとなく
私どもの三男オレオールの小さな頃に
似てますね。可愛いらしい精霊王様で
ございますね。」
【クックク。】
精霊王は、テルが好む姿形をとっただけなので
黒いオレオールの小型版になったのだった。
「わ、私はそんな……。」
そんな黒くないし、そんな笑い方はしないと
続けたかったが、国王以上の存在である
精霊王に言えないオレオールだった。
「くーちゃん?くー様は、クッククって笑うから
くー様なんですか?」
【クックク。これまた面白い縁(えにし)の子だ。】
精霊王は、テオドールをみた。
「……。」
【笑い方か、気にした事がなかったが
たしかにクッククと言ってるな。だがな
縁(えにし)の子よ、我は我の主が名づけて
くれた大切な名だ。主と我のこの色から
とった名だろう。闇の精霊と同じ色だが、
怖がる事はない。夜の闇がなければ、
人族は体を休めることに苦労するだろう。
光ばかりだと疲れるものだ。
闇は癒しや安らぎの効果もあるから、
どうかこの"色"を怖がらないであげてくれ。】
「……は、はい。」
テオドールだけではなく、皆に話を
聞かせる様に、精霊王のそばにいくつかの
小さな黒い闇の精霊はいた。
「恐れながら……。」
フェニーチェが公爵と同じように
片ひざをつこうとしたが、それを止め
皆ソファーで座って話す事になった。
精霊王が話す内容は、どの精霊も
力は同じ。契約により力をつけたり
衰弱するとの事だった。
精霊と契約すると特に人族は
おごりやすくなり、その属性の影響、
精神的作用が強く出るとの事だった。
人族で有名な光と闇の精霊は、数も少なく
生まれにくく人族にとって影響力が
出やすい精霊だそうだ。
生と死の精霊もまた光と闇以上に
生まれにくい精霊で闇と光と同じように
人族と契約はほぼしないらしい。
「えっ?俺…あっ!」
『はじめましてだね、テル。』
『産まれて初めての契約、ありがとうテル。』
「しーちゃん、せいちゃんこちらこそ
よろしくね。」
*しーちゃん→死の精霊
*せいちゃん→生の精霊
【クックク、主はやはりいいな。】
「もう、くーちゃん?何がいいか
よくわからないけど、レイラちゃんの事
よろしくね。」
【ああ、人族で一歳半とは赤子同然
だったな。親と相談したいらしいが、
緑の、樹…んっ?風もか。闇と火は少し待て、
樹と風の精霊がそこの人族の子とで契約として
名づけてあげてほしいそうだ。
闇と火精霊もこの子を気に入ってるが
5歳だったか、属性を調べる時
樹と風の精霊と契約してれば、
調べの時にでも精霊に力を借りれば
闇の属性をあの水晶では計れぬようになる。】
火の精霊もレイラを気に入っていたが
母や乳母、そして使用人たちが火、炎に
包まれた瞬間を覚えていて火を怖がるように
なってしまったのだった。
「精霊王様…あ、ありがとうございます!!」
「ありがとうございます、くー様。」
【そちらの子は、光と水、氷に好かれとるな。】
「「「「えっ?!!」」」」
精霊王のくーちゃんの言う通り
テオドールも水と氷の精霊に名付けをし
契約を済ませた。2人とも5歳が過ぎた頃
お互い相性が合えば契約するとなった。
【そういえば、主と同じ縁(えにし)の者が
11年?12年足らずか?男女の2人組が
いるがあやつらも、心地良い人族だ。
主とそやつ(オレオール)のように
界渡りをしてきた者だ。もう、合えたのか?
この近くの森に気配がするぞ。】
「…お父さんとお母さん?」
【うむ、確かに顔立ちも背が低いとこも
似ておる。同じ匂いがする。子に逢いたい
という気持ちが強く、ダンジョンに潜り
魔物狩りとやらばかりしているからか、
死の精霊と破壊の精霊、あと混沌の精霊が
面白がってついているな。】
「……。」
テルは複雑な気持ちでたたずんでいた。
長い艶やかな黒髪に黒い瞳、
顔が整った中性的な顔立ちの
精霊王がふわふわ浮いていた。
レイラとテルのそばにはさまざまな
色をまとった小さな精霊たちが
ふわふわととんでいた。
レイラの両親であるフェニーチェと
マリーに内密の話をしようとすると
【主よ、ここに24種の小さき精霊がいる。】
「そんなにたくさんの種類があったんだ。」
【主は我と相性もよく魔力もあるから
ここにいる全種と契約を結んでも支障はない。】
「全種類……。」
【そうだ。そしてそこにおるオレオールと
いう者も、主同様世界を渡ったからか
人族風に言うと時の精、空間の精
混沌の精、破壊の精、元素の精
無の精、太陽の精、月の精、星の精
闇の精、10種の精が興味を持ってるぞ。
どうだ、契約するか?】
「わ、私も…いや、私に精霊様から
興味を持って下さってるなんでなんだか……」
【信じれないならそれでも良い。我らは
信じない者たちと関わらないし、我の
主(ぬし)の様に心地の良い主(あるじ)と
なり得ると感じたから、こやつらの言葉を
伝えたまでだ。お互い気に入れば
契約したければするだけだ。たかが、
100にも満たない年月だがな。】
オレオールは、しばらく迷っていたが
精霊たちと契約をかわす事にした。
「お願いします。」
契約紋代わりにと、テルたちが日本にいた頃
オレオールがテルにプレゼントしてくれた
青い石のネックレスに合わせるかの様に
オレオールの瞳と同じ青の石の周りに
25個のキレイな石が並んだネックレスに
作り変わっていた。
オレオールは、テルの色である黒い石を
中心に10個の石がバランスよく並んだ
ネックレスになっていた。
【そやつらは、お前たちが好みだから
時間があれば話し相手になってやれ。
まだ、話せない者もいるが理解しているし
呼ばれると頼られてるとか、信じられてる
と感じ、精霊としての存在が濃くなるし
……喜ぶから、呼んでくれ。】
「ありがとうございます。」
「くーちゃん、みんなありがとう。」
***
コンコン
執事が準備が整ったと知らせを受け
部屋を移動した。
オレオールはハーフン公爵にレイラの事で
"家族"た大切な話があると伝えていた。
人払いをした部屋には、ハーフン公爵と
公爵夫人、長男であるフェニーチェ、
フェニーチェの妻マリー
フェニーチェとマリーの子、テオドール
オレオールの2番目の兄デトロワがいた。
レイラを真ん中にテルとオレオールが
手を繋いで部屋に入った。
そのすぐそばに、突如(とつじょ)
空中に光る精霊たちが現れたのだった。
執事と家令は慌てて扉を閉めたが、
かすかに廊下に漏れる光と、閉められた
部屋の中は一気に神々しい光に包まれていた。
レイラ、オレオール、テル以外は
空中に浮かぶ精霊王と精霊たちに
言葉を失っていた。
「あのね、おとーしゃんとおかーしゃんに
おはにゃし、ありゅの。」
「レ、レイラ…?」
【ほぉ~、縁(えにし)とは面白い。
レヴァンと数百年前に契約した家系か、
あと、カレムとワールか……ずいぶんと
小さくなってしまってるな……。】
「くーちゃん?」
【主(ぬし)よ。ここにいる者たちは
我ら同胞と契約を交わした家系であり
ここにいる小さな精霊たちは、人族に
名づけられた者だ。レヴァンは闇の精、
カレムは光の精、ワールは風の精だ。】
「オレオールさんの家系って、精霊様たちと
仲良くなれる家系なんだね。」
精霊王であるくーちゃんに寄り添うように
他の精霊より小さくて透き通った
精霊たちはオレオールの家族を見ていた。
【クックク…仲良く、な。主となる者と
精霊との契約は、本来なら契約したもの
同士のどちらかの死を持って
解除されるんだ。だがな、こやつら…
レヴァン、カレム、ワールの主たちは、
それぞれの子孫を守護してくれと死ぬ間際
強い思念を残しながら死んだんだ。
だがその子孫は、精霊の存在を
感じとれないのかそれとも精霊
そのものを信じてはおらんかった。
それでもここにいる精霊たちは名付けて
くれた主が好きだったからか、
その強い思念の言葉に縛られながらも
消えかけているのに守っているのだ。】
「消えかけ?!消えたら……。」
【消えたら精霊も死ぬ。存在を
認められることなく、最初から
いないものとされ、信じる者もいないから、
我らを気にする者はいない。】
「くーちゃん、俺、俺は精霊さんたち
信じるし消えさせないし、と、友達だから
レヴァンさん、カレムさん、ワールさんは
ちゃんと存在する。ここに居るから、
えーと、縛られたとかそんなのいやだから
俺の事好きじゃなくても、いらなくても
嫌いなら嫌いで離れていいし、
契約もいらないから!!精霊はいるし
信じるからね!!」
【クククッ、主(ぬし)は本当心地良いの。】
「くーちゃん。」
少しだけ2人の世界に入っていたが、
オレオールは精霊王に張り合うように
話しかけていた。
「せ、精霊王様、私も"私の"テルと同じく
精霊の存在を信じます。長年見守っててくださり
ありがとうございます。レヴァン殿、
カレム殿、ワール殿。」
オレオールは精霊王と精霊たちに
頭を下げた、オレオールの家族たちも
同じく頭を下げていた。
【クックク。お前も"我の"主のこと好きか?
いや愛してるとか言うやつかな?クックク。】
「もぉ、くーちゃんもオレオール…さんも
何言ってるんだよ、もぉ。オレオールさんは
俺とお友達なの。まぁ、親友みたいな感じなの。」
「……。」
【クックク、お友達…親友か。主と我も
お友達だから同類だな。】
精霊王はテルの言葉に青ざめていた
オレオールに楽しげに言葉を投げかけていた。
「恐れながら、精霊王様発言よろしいでしょうか?」
【うむ。】
公爵様は恭(うやうや)しく片膝を付き
頭を下げてあいさつをしていた。
テルは、友達感覚でくーちゃんと呼び
話していたので、なんだか居心地が
悪くなった様な気がした。
「……。」
精霊王であるくーちゃんはチラッとテルをみた。
【我の主(ぬし)は友達感覚で我を
くーちゃんと呼んである。精霊王様とか
堅苦しいから、そうだなぁ、くろ君とか
くー君と呼んでいいぞ。】
「「「「「「!!!」」」」」」
「くーちゃん?そう呼んだ方がよかったの?」
【クックク、主は我を名付けた"クロちゃん"
でもくーちゃんとでも好きに呼べ。】
「恐れながら、なぜ精霊王様の名前が
"くろ"というお名前になられたのでしょうか?」
ハーフン公爵は、誰もが疑問になったであろう
疑問をテルに投げかけたのだった。
ちょうど召喚魔法を教えてもらった時、
ドワーフ族の洞窟で召喚したのが、もぐらに
似た召喚獣だったので"モグ"と名づけたのだった。
一人で寝る前にこっそり練習しようとした時
可愛いもふもふがいいなぁと思いながら
召喚したのが、精霊王だった。
テルの色をまといテルが好みそうな
獣型を咄嗟(とっさ)によみとった結果
黒猫型でテルの前に出現したのだった。
テルは黒い猫に、"くろ"と名づけたのだった。
名づけられたあと、精霊王はテルの色をまとい
小さな少年の姿を形作ったのだが
「精霊王様…"くろ様"はなんとなく
私どもの三男オレオールの小さな頃に
似てますね。可愛いらしい精霊王様で
ございますね。」
【クックク。】
精霊王は、テルが好む姿形をとっただけなので
黒いオレオールの小型版になったのだった。
「わ、私はそんな……。」
そんな黒くないし、そんな笑い方はしないと
続けたかったが、国王以上の存在である
精霊王に言えないオレオールだった。
「くーちゃん?くー様は、クッククって笑うから
くー様なんですか?」
【クックク。これまた面白い縁(えにし)の子だ。】
精霊王は、テオドールをみた。
「……。」
【笑い方か、気にした事がなかったが
たしかにクッククと言ってるな。だがな
縁(えにし)の子よ、我は我の主が名づけて
くれた大切な名だ。主と我のこの色から
とった名だろう。闇の精霊と同じ色だが、
怖がる事はない。夜の闇がなければ、
人族は体を休めることに苦労するだろう。
光ばかりだと疲れるものだ。
闇は癒しや安らぎの効果もあるから、
どうかこの"色"を怖がらないであげてくれ。】
「……は、はい。」
テオドールだけではなく、皆に話を
聞かせる様に、精霊王のそばにいくつかの
小さな黒い闇の精霊はいた。
「恐れながら……。」
フェニーチェが公爵と同じように
片ひざをつこうとしたが、それを止め
皆ソファーで座って話す事になった。
精霊王が話す内容は、どの精霊も
力は同じ。契約により力をつけたり
衰弱するとの事だった。
精霊と契約すると特に人族は
おごりやすくなり、その属性の影響、
精神的作用が強く出るとの事だった。
人族で有名な光と闇の精霊は、数も少なく
生まれにくく人族にとって影響力が
出やすい精霊だそうだ。
生と死の精霊もまた光と闇以上に
生まれにくい精霊で闇と光と同じように
人族と契約はほぼしないらしい。
「えっ?俺…あっ!」
『はじめましてだね、テル。』
『産まれて初めての契約、ありがとうテル。』
「しーちゃん、せいちゃんこちらこそ
よろしくね。」
*しーちゃん→死の精霊
*せいちゃん→生の精霊
【クックク、主はやはりいいな。】
「もう、くーちゃん?何がいいか
よくわからないけど、レイラちゃんの事
よろしくね。」
【ああ、人族で一歳半とは赤子同然
だったな。親と相談したいらしいが、
緑の、樹…んっ?風もか。闇と火は少し待て、
樹と風の精霊がそこの人族の子とで契約として
名づけてあげてほしいそうだ。
闇と火精霊もこの子を気に入ってるが
5歳だったか、属性を調べる時
樹と風の精霊と契約してれば、
調べの時にでも精霊に力を借りれば
闇の属性をあの水晶では計れぬようになる。】
火の精霊もレイラを気に入っていたが
母や乳母、そして使用人たちが火、炎に
包まれた瞬間を覚えていて火を怖がるように
なってしまったのだった。
「精霊王様…あ、ありがとうございます!!」
「ありがとうございます、くー様。」
【そちらの子は、光と水、氷に好かれとるな。】
「「「「えっ?!!」」」」
精霊王のくーちゃんの言う通り
テオドールも水と氷の精霊に名付けをし
契約を済ませた。2人とも5歳が過ぎた頃
お互い相性が合えば契約するとなった。
【そういえば、主と同じ縁(えにし)の者が
11年?12年足らずか?男女の2人組が
いるがあやつらも、心地良い人族だ。
主とそやつ(オレオール)のように
界渡りをしてきた者だ。もう、合えたのか?
この近くの森に気配がするぞ。】
「…お父さんとお母さん?」
【うむ、確かに顔立ちも背が低いとこも
似ておる。同じ匂いがする。子に逢いたい
という気持ちが強く、ダンジョンに潜り
魔物狩りとやらばかりしているからか、
死の精霊と破壊の精霊、あと混沌の精霊が
面白がってついているな。】
「……。」
テルは複雑な気持ちでたたずんでいた。
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