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第33話 アランの行動

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最近の俺は、朝昼晩の食事時は、チマリの
部屋で一緒に、食事をとっている。
チマリは、ちゃんと、食べるようになり、
自力で歩いたり、日中は、ソファーに
座れるくらいの筋力は、ついてきた。
今では、読書や、刺繍をしていることが、
多くなった。

青い鳥と、四つ葉のクローバーの
刺繍された、ハンカチを、もらった
時には、舞い上がって、剣舞したく
なるほど、嬉しかった。
もちろん、剣舞はしなかったが、
たぶん、顔は、にやけきっていただろう。
好きな人からの、贈り物は、こんなにも、
うれしいもんなんだなぁと、思った。
俺は、お返しに、流行りのお菓子や、
髪飾りを、贈り、髪につけてあげた。
照れながら、喜ぶ姿に、ますます、
好きになっていった。

一通りの仕事を指示をし、部下に任せ、
自分の代わりになる者を、育てていた。
あと少しだ。
チマリと、暮らす為の、小さな家も、
見つけた。小さいながらも、庭もある。
以前、薬草など育てていたらしいから、
ちょっとした、家庭菜園なら、
できるくらいの、広さだ。
気に入ってくれると、うれしい。
あとは、簡単な手続きを、すれば、
俺の家になる。

今までは、お城の中の、親衛隊の寮で、
暮らしていた。
シンプルな造りに、無駄が一切ない、
寝る為だけの部屋。
荷造りしても、私物は、カバン2つ分
くらいだった。下着や、着替え。
私服も、ほとんどなかった。
制服ばかり着ているから、寝る時にも、
万が一を、備えて、それなりの、
格好。略式の、制服に似た、
私服をパジャマがわりに、着て
寝ていた。
チマリは、どんな服を着るだろうか?
ドレスを着てほしいが、嫌がりそうだ。
男の子みたいな格好でも、チマリは、
チマリだ。
好きな服を、一緒に、買いに行き、
増やしていこう。
食器や、家具も、2人で選ぼう。
ある程度、決めている方が、いいのかな?
案外、ものぐさに、見えたが、
とりあえず、俺が決めたら、
生活感ない家に、なりそうだ。
やはり、2人で決めていこう。

仕事を、辞めても、冒険者や、チマリと
なら、好きな事をさせてあげれる
くらいには、余裕があった。
今までは、仕事を理由に、結婚も、
考えず、両親もいない今、お金を、
使うことが、なかった。

所帯を持つと、守る対象の一番目が、
家族、妻となるから、今の俺では、
一番が、ストルグ王子では、
なくなった。
一番が、チマリに、なったのだ。
このままでは、警護に支障が出る。

「ストルグ王子、お話があります。」

やっとの事で、ストルグ王子に、
話せる日が来た。
だが、舞い上がっていた、俺は、
ストルグ王子の、何気ない一言に、
動揺どころか、
突き落とされた感覚に、陥ってしまった。
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